結核性胸膜炎に特異性の高い胸水中のマーカーはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
結核性胸膜炎では、胸水中に存在するリンパ球の活性化によってアデノシンデアミナーゼ(ADA)の産生が増加するため、胸水ADA値が著しく上昇します。この上昇は結核性胸膜炎に非常に特異的であり、診断において重要なマーカーとされています。他の選択肢のマーカーは、結核性胸膜炎とは異なる疾患(悪性腫瘍、胸膜中皮腫など)や、非特異的な炎症で上昇します。
選択肢ごとの解説
- 1. LDは胸水中に含まれる様々な細胞の崩壊によって上昇する酵素であり、結核性胸膜炎だけでなく、悪性腫瘍、肺炎、心不全など多くの疾患で上昇するため、特異性は低い。正しくは:LDの胸水/血清比は漏出性か滲出性かの鑑別に用いられるが、特定の疾患に特異的ではない。選びやすい理由:胸水検査でよく測定される項目であるため、鑑別疾患として想起しやすい。混同注意:滲出性胸水の鑑別マーカーの一つとして挙げられるため、特異的なマーカーと誤解しやすい。
- 2. CEAは主に腺癌に由来する腫瘍マーカーであり、悪性胸水、特に腺癌による転移性胸水で高値を示すが、結核性胸膜炎では通常上昇しない。特異性が異なる。正しくは:CEAは悪性胸水の診断、特に腺癌との鑑別において重要なマーカーである。選びやすい理由:胸水の悪性腫瘍との鑑別で用いられるため、胸水マーカーとして知識が整理されていないと選択肢に選びがち。混同注意:悪性腫瘍に伴う胸水と、炎症性胸水(結核性を含む)との鑑別が混同されやすい。
- 3. NSEは主に小細胞肺癌などの神経内分泌腫瘍のマーカーであり、結核性胸膜炎での特異的な上昇は報告されていない。正しくは:NSEは小細胞肺癌の診断補助や病期判定に用いられる腫瘍マーカーである。選びやすい理由:腫瘍マーカーの一種であるため、悪性胸水の可能性を考慮した際に想起される可能性がある。混同注意:別の腫瘍マーカーであるCEAと同様に、胸水の悪性疾患との鑑別で用いられることがあるため、結核性との関連を誤解しやすい。
- 4. ヒアルロン酸は胸膜中皮腫の診断に特異性の高いマーカーであり、結核性胸膜炎では通常上昇しない。正しくは:ヒアルロン酸は胸膜中皮腫の診断に非常に有用なマーカーである。選びやすい理由:胸膜疾患の鑑別マーカーとして知識があれば、選択肢として魅力的だが、疾患特異性が異なるため誤り。混同注意:他の胸膜疾患、特に胸膜中皮腫のマーカーと混同しやすい。
- 5. 正解。アデノシンデアミナーゼ(ADA)は、リンパ球、特にTリンパ球に多く存在する酵素であり、結核性胸膜炎では胸水中のリンパ球増加に伴いADA活性が顕著に上昇するため、結核性胸膜炎に対する特異性と感度が高いマーカーとして知られている。
国試ポイント
結核性胸膜炎の診断に用いられる胸水マーカーとして、アデノシンデアミナーゼ(ADA)の特異性を問う問題です。他の胸水に関連するマーカー(LD、CEA、ヒアルロン酸など)との鑑別能力が試されます。
混同注意
胸水中のLDやCEAは悪性胸水、ヒアルロン酸は胸膜中皮腫のマーカーであるため、これらの特異的な疾患との関連が混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に類似の問題が出た場合、胸水の性状(漏出性か滲出性か)、胸水の細胞学的所見、そして疾患に特異的な各種胸水マーカーとその基準値を正確に区別できるかどうかがポイントになります。特に、複数の疾患で上昇する非特異的なマーカーと、特定の疾患に強く関連する特異的マーカーの違いを理解しておく必要があります。
関連知識
胸水の分類:漏出性/滲出性(Lightの基準)。滲出性胸水の鑑別:悪性腫瘍、結核、細菌性肺炎、心不全、膠原病など。各疾患に特異的な胸水マーカーとして、CEA/CA19-9/CYFRA21-1(悪性腫瘍)、ヒアルロン酸(胸膜中皮腫)、ADA(結核性胸膜炎)などが挙げられます。また、胸水中の細胞分画(リンパ球優位/好中球優位)も鑑別に重要です。