血液培養陽性ボトルのGram染色所見(別冊No. 15)を別に示す。考えられるのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
下図のグラム染色像は、卵円形の細胞が連なり、出芽(芽胞形成)している特徴的な形態を示している。これはCandida属などの酵母様真菌に典型的な所見であり、特に仮性菌糸の存在はCandida属を示唆する。Candida属はグラム陽性に染まる。
選択肢ごとの解説
- 1. Bacillus属はグラム陽性桿菌であり、下図のような酵母様真菌の形態とは異なる。正しくは:グラム陽性桿菌(連鎖状、芽胞形成など)であればBacillus属の可能性が考えられる。選びやすい理由:グラム陽性菌である点では共通しているが、形態が全く異なるため混同しにくい。混同注意:他のグラム陽性桿菌や芽胞形成菌とは混同しやすいが、酵母とは形態的に区別が容易。
- 2. 正解。下図のグラム染色所見は、卵円形の酵母細胞、仮性菌糸、そして芽胞形成(出芽)を示しており、これらはCandida属に特徴的な形態である。グラム染色ではCandida属はグラム陽性に染まる。選びやすい理由:グラム染色で酵母が確認された場合、最も頻繁に検出される病原性酵母であるため、第一候補となる。混同注意:他の酵母様真菌(例: Cryptococcus neoformans、Rhodotorula属など)と混同する可能性があるが、それらとの鑑別にはさらなる検査(培養、生化学的性状、莢膜染色など)が必要となる。しかし、仮性菌糸はCandida属の重要な特徴である。
- 3. Cutibacterium属(旧Propionibacterium属)はグラム陽性桿菌であり、主に皮膚常在菌として存在し、真菌である酵母の形態とは明らかに異なる。正しくは:グラム陽性桿菌(しばしば短桿菌やジフテロイド型)であればCutibacterium属の可能性が考えられる。選びやすい理由:血液培養汚染菌として検出されることがあるため、菌名自体は選択肢としてありうるが、形態が異なる。混同注意:他の嫌気性グラム陽性桿菌(例: Clostridium属など)とは混同しやすいが、酵母とは形態的に区別が容易。
- 4. Nocardia属はグラム陽性で、分岐する細い菌糸状の形態を示す放線菌であり、下図のような卵円形の酵母細胞とは形態が異なる。また、Nocardia属は弱抗酸性を示すことが多い。正しくは:グラム陽性で分岐する菌糸状の形態であればNocardia属の可能性が考えられる。選びやすい理由:真菌様の増殖形態を示すことがあるため、選択肢として考慮されやすいが、酵母とは形態が異なる。混同注意:真菌(特に放線菌様真菌)とは混同しやすいが、酵母とは区別できる。また、結核菌など他の抗酸菌と混同する可能性もある。
- 5. Pneumocystis属(Pneumocystis jirovecii)は、肺胞に寄生する真菌であるが、グラム染色では染まりにくく、通常のグラム染色では検出が困難である。検出にはゴモリ・メテナミン銀染色(GMS染色)などが用いられ、その形態も下図の酵母とは異なる。正しくは:GMS染色などで嚢子や栄養体を確認できればPneumocystis属の可能性が考えられる。選びやすい理由:真菌感染症の原因菌として知られているため、真菌の選択肢として考えられやすいが、グラム染色所見では判断できない。混同注意:他の真菌や原虫とは混同しやすいが、グラム染色で直接検出されないため、本問題の所見とは関連しない。
国試ポイント
血液培養陽性検体のグラム染色所見から、主要な病原菌(細菌、真菌)の形態的特徴を識別できるかどうかが問われている。特に、酵母様真菌のグラム染色像を正しく認識し、他の細菌や真菌と区別できる知識が求められる。
混同注意
他の酵母様真菌(Cryptococcus属、Rhodotorula属など)との形態鑑別は、グラム染色だけでは困難な場合がある。しかし、仮性菌糸の存在はCandida属に特徴的である。また、グラム陽性桿菌や放線菌、グラム染色で検出困難な真菌との区別も重要。
次に同じ論点が出たら
次に出題される場合、他の病原菌(例: ブドウ球菌、連鎖球菌、大腸菌、緑膿菌など)のグラム染色所見、あるいは別の真菌(例: Cryptococcusの莢膜染色像、Aspergillusの菌糸と分生子柄)が提示される可能性がある。また、血液培養からの分離菌種とその臨床的意義(常在菌か病原菌か)を問う問題も考えられる。
関連知識
主要なグラム陽性菌・グラム陰性菌、抗酸菌、真菌のグラム染色における形態的特徴、培養後のコロニー形態、主要な鑑別診断に必要な検査法(例: カタラーゼ試験、コアグラーゼ試験、オキシダーゼ試験、芽胞染色、抗酸染色など)。真菌では、酵母と糸状菌の形態、Candida属の仮性菌糸形成能力などが重要。