細菌の遺伝に関する記述で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
細菌の遺伝子伝達様式の一つである形質導入は、バクテリオファージが媒介となって細菌のDNAを別の細菌に運び込む現象を指します。他の選択肢は、細菌の染色体の特徴、プラスミドの構造、FプラスミドやRプラスミドの機能と伝達様式について誤った記述をしています。
選択肢ごとの解説
- 1. 細菌は原核生物であり、核膜を持ちません。そのため、染色体は細胞質内に「核様体」として存在しています。正しくは:細菌の染色体は細胞質内の核様体として存在する。選びやすい理由:真核生物の細胞構造と混同している場合、染色体が核膜内にあるという記述を正しいと誤解する可能性があります。混同注意:真核生物の核(核膜で囲まれた中に染色体がある)と、原核生物の核様体(核膜がない)を混同しています。
- 2. プラスミドは一般的に、独立して複製可能な二本鎖環状DNA分子として存在します。正しくは:プラスミドは二本鎖DNAである。選びやすい理由:一部のウイルスや特定の状況下では一本鎖DNAが存在するため、遺伝物質の種類が多様であることを知っていると、正しいと勘違いしやすいかもしれません。混同注意:一本鎖DNAをゲノムに持つウイルスなど、他の遺伝物質の形態と混同しています。
- 3. Fプラスミド(性因子プラスミド)は、細菌の接合(コンジュゲーション)に必要な性線毛の形成など、接合に関わる遺伝子をコードしています。薬剤耐性遺伝子を持つのはRプラスミドです。正しくは:Fプラスミドは接合に関わる遺伝子である。または、Rプラスミドは薬剤耐性遺伝子である。選びやすい理由:プラスミドが遺伝子の水平伝播に関わることは事実ですが、Fプラスミドの機能とRプラスミドの機能を混同して選択してしまう可能性があります。混同注意:Fプラスミド(性因子)とRプラスミド(薬剤耐性因子)のそれぞれの機能を混同しています。
- 4. Rプラスミド(薬剤耐性プラスミド)は、主に細菌の接合(コンジュゲーション)という細胞間接触を伴うメカニズムによって他の細菌に伝達されます。形質転換は、細菌が周囲の裸のDNAを直接取り込む現象です。正しくは:Rプラスミドは主に接合によって伝達される。選びやすい理由:細菌における遺伝子の水平伝播には形質転換、形質導入、接合といった様々なメカニズムがあるため、特定のプラスミドと伝達様式の組み合わせを正確に覚えていないと間違えやすいでしょう。混同注意:細菌の主要な遺伝子伝達方法である接合、形質転換、形質導入の定義と、どのメカニズムが特定のプラスミドの伝達に主に関わるかを混同しています。
- 5. 正解。形質導入(Transduction)は、細菌に感染するウイルスであるバクテリオファージが、ある細菌から別の細菌へ遺伝子を運ぶことによって遺伝情報を伝達する現象であり、この記述は正しいです。
国試ポイント
細菌の基本的な細胞構造、プラスミドの種類とその機能、そして細菌における遺伝子伝達のメカニズム(接合、形質転換、形質導入)を正確に理解しているかを問う問題です。特に、それぞれの伝達様式がどのような媒介物(または媒介物なし)で行われるかの知識が重要です。
混同注意
細菌の遺伝子伝達の3つの主要な方法(接合、形質転換、形質導入)の定義と、それぞれの媒介物や条件が混同しやすいポイントです。また、FプラスミドとRプラスミドの機能も混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、細菌の遺伝子伝達の各メカニズム(接合、形質転換、形質導入)について、具体例を挙げて説明できるか、またはそれぞれの現象に関わる特定の因子(プラスミド、バクテリオファージ、裸のDNA)を問われる可能性があります。また、FプラスミドやRプラスミドの具体的な機能や、それらがどのような遺伝子をコードしているかといった詳細も問われうるでしょう。
関連知識
細菌の細胞構造(核様体、細胞壁、細胞膜、プラスミドなど)、プラスミドの種類(Fプラスミド、Rプラスミドなど)とそれぞれの機能、細菌の遺伝子伝達機構(接合、形質転換、形質導入)の詳細(接合:細胞間接触によるプラスミドや染色体DNAの伝達、形質転換:周囲の裸のDNAを取り込む現象、形質導入:バクテリオファージを介したDNAの伝達)。