健常成人の血清免疫電気泳動像(別冊No. 14)を別に示す。矢印が示す沈降線に相当するのはどれか。ただし、泳動像上部は写真、下部はその一部の模式図を示す。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
免疫電気泳動において、免疫グロブリンはそれぞれ特徴的な泳動位置を示します。IgMは分子量が大きいため、β2-γ領域に泳動し、IgAとIgGの間に特徴的な沈降線を形成します。下図の矢印は、このIgMの沈降線位置を正確に示しています。
選択肢ごとの解説
- 1. IgAはβ-γ領域に移動しますが、IgMよりも移動度が速く、沈降線もより陽極側に現れます。正しくは:IgAはβ-γグロブリン領域に移動し、IgMより陽極側に沈降線が現れます。選びやすい理由:免疫グロブリンの一種であるため、他の免疫グロブリンと混同しやすい。混同注意:IgGやIgMとの相対的な泳動位置
- 2. IgGは主にγグロブリン領域に広く分布し、最も陰極側に沈降線が検出されます。図の矢印はそれよりも陽極側の沈降線を示しています。正しくは:IgGはγグロブリン領域に最も広く分布し、最も陰極側に現れます。選びやすい理由:最も量の多い免疫グロブリンであるため、代表的なものとして選んでしまいがち。混同注意:他の免疫グロブリン(IgA, IgM)の泳動位置
- 3. 正解。IgMは主にβ2-γ領域に沈降線として検出されます。その移動度はIgAよりも遅く、IgGよりも速い位置に現れる特徴があります。図の矢印はIgAとIgGの間に位置する、特徴的な沈降線を示しており、これはIgMに相当します。
- 4. 補体C3はβ1グロブリン領域に泳動し、IgMの沈降線よりも陽極側(よりアルブミンに近い側)に現れます。正しくは:補体C3はβ1グロブリン領域に泳動します。選びやすい理由:血清タンパク質の一種であり、免疫反応に関わるため、免疫グロブリンと混同する可能性がある。混同注意:βグロブリンに泳動する他のタンパク質(トランスフェリンなど)
- 5. トランスフェリンはβ1グロブリン領域に泳動し、IgMの沈降線よりもさらに陽極側(アルブミンに近い側)に検出されます。正しくは:トランスフェリンはβ1グロブリン領域に泳動します。選びやすい理由:血清電気泳動で重要なタンパク質であり、β領域に泳動するため混同しやすい。混同注意:他のβグロブリン成分(補体C3など)
国試ポイント
免疫電気泳動における主要な血清タンパク質、特に免疫グロブリン(IgG, IgA, IgM)の相対的な泳動位置と沈降線の特徴を正確に理解しているかが問われています。視覚情報から正しい成分を識別する能力が必要です。
混同注意
各免疫グロブリンの泳動位置(IgGは陰極側、IgAはβ-γ、IgMはβ2-γでIgAより陰極側)を正確に覚えていないと、互いに混同しやすいです。また、補体C3やトランスフェリンといった他のβグロブリン成分の泳動位置とも混同する可能性があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、まず泳動の全体像(アルブミン、α1, α2, β1, β2, γグロブリンの各分画)を把握し、その上で免疫グロブリン間の相対的な位置関係(IgGが最も陰極側、IgAがβ-γ、IgMがIgAより陰極側かつIgGより陽極側)を確認することが重要です。他のβグロブリン(トランスフェリン、補体C3など)の標準的な位置も合わせて確認します。
関連知識
血清電気泳動の基本原理、各グロブリン分画に含まれる主要タンパク質の種類とその生理的役割、および免疫グロブリンの構造と分子量。特にIgMがペンタマー構造をとるため、分子量が大きいことを理解していると、泳動特性を推測しやすくなります。