AST活性測定用試薬(日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法)に含まれないのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)活性のJSCC勧告法では、ASTがL-アスパラギン酸と2-オキソグルタル酸を基質として、オキサロ酢酸とL-グルタミン酸を生成する反応を利用します。この生成されたオキサロ酢酸は、共役酵素であるリンゴ酸脱水素酵素(MDH)と補酵素NADHの存在下で速やかにL-リンゴ酸へと還元されます。この際、NADHが酸化されてNAD+になるため、340nmにおけるNADHの吸光度減少速度を測定することでAST活性を算出します。したがって、試薬として直接添加されるのは基質(L-アスパラギン酸、2-オキソグルタル酸)、共役酵素(リンゴ酸脱水素酵素)、そしてNADHであり、オキサロ酢酸はAST反応の生成物であり、その後の共役反応の基質として消費される物質であるため、試薬としては含まれません。
選択肢ごとの解説
- 1. NADHは、マレート脱水素酵素によるオキサロ酢酸の還元反応に必須の補酵素であるため、測定系に添加されます。この反応におけるNADHの消費量(340nmの吸光度減少)を測定することでAST活性を算出します。
- 2. 正解。オキサロ酢酸は、ASTが触媒するL-アスパラギン酸と2-オキソグルタル酸の反応によって生成される中間代謝物です。試薬として直接添加されるのではなく、ASTの活性によって系内で生成され、直ちに共役反応で消費されます。正しくは:AST活性測定のJSCC勧告法において、オキサロ酢酸は試薬としては添加されません。これはAST反応の生成物であり、共役反応の基質となります。選びやすい理由:AST反応の生成物であり、共役反応の基質として重要な役割を担うため、試薬として必要だと誤解しやすいかもしれません。混同注意:ASTの基質であるL-アスパラギン酸や2-オキソグルタル酸、または共役反応の基質であるNADHや共役酵素であるリンゴ酸脱水素酵素と混同し、試薬として添加されるべきものと誤解することがあります。
- 3. L-アスパラギン酸は、ASTがアミノ基転移反応を行うための主要な基質の一つであるため、酵素反応を開始させるために試薬として添加されます。
- 4. リンゴ酸脱水素酵素(MDH)は、ASTによって生成されるオキサロ酢酸をNADHとL-リンゴ酸に変換する共役酵素です。この酵素の働きによりNADHの消費が起こり、AST活性を測定できるため、必須試薬として添加されます。
- 5. 2-オキソグルタル酸は、ASTがアミノ基転移反応を行うためのもう一つの主要な基質であるため、酵素反応を開始させるために試薬として添加されます。
国試ポイント
AST活性測定のJSCC勧告法における酵素反応の原理と、それに伴う主要な構成試薬の種類を正確に理解しているかを問う問題です。特に、主反応の生成物が共役反応の基質となる点を把握し、何が「添加される試薬」で何が「反応の中間体」であるかを区別できるかが重要となります。
混同注意
オキサロ酢酸はAST反応の生成物であるため、反応経路の途中に登場することは理解できますが、それが試薬として加えられる基質の一つであるかのように誤解されることがあります。また、類似するトランスアミナーゼであるALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)の測定系と比較して、それぞれの基質、生成物、および共役酵素を混同しやすいです。ALTの場合はピルビン酸が生成され、LDH(乳酸脱水素酵素)とNADHで乳酸に変換されます。
次に同じ論点が出たら
次回、類似の問題が出題された場合、ASTとALTのそれぞれのJSCC勧告法(またはIFCC勧告法)における主反応と共役反応の全容(基質、生成物、共役酵素、補酵素)を正確に書き出せるかを確認することが重要です。特に、何が「添加される試薬」で、何が「反応の中間体」であるかを区別できるようにしましょう。
関連知識
AST(GOT)とALT(GPT)は、肝機能検査において重要な逸脱酵素であり、その活性測定法は臨床検査で頻繁に用いられます。両酵素ともトランスアミナーゼであり、アミノ基転移反応を触媒します。補酵素としてピリドキサールリン酸(PLP)が必要であることも関連知識として重要です。JSCC勧告法だけでなく、IFCC勧告法についても学習しておくと良いでしょう。