針筋電図検査において急性脱神経でみられるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
急性脱神経(神経損傷後2~3週間経過した時点から)では、神経支配を失った筋線維の膜電位が不安定になり、自発的な活動電位が発生するようになる。この自発活動の代表的なものとして、陽性鋭波と線維自発電位(fibrillation potentials)が挙げられる。これらは針筋電図検査において安静時に観察される所見であり、神経原性疾患の診断に極めて重要である。
選択肢ごとの解説
- 1. 急速動員は、筋疾患(ミオパチー)において、個々の筋線維の機能が低下しているため、同じ力を出すのにより多くの運動単位が動員される現象である。脱神経では運動単位が減少するため、この所見はみられない。正しくは:筋原性疾患でみられる。選びやすい理由:運動単位の動員に関する用語なので、神経や筋の異常と関連があるように見えるかもしれないが、脱神経の病態とは直接関係しない。混同注意:正常な動員パターン、あるいは神経原性疾患でみられる「動員パターンの減少」と混同しやすい。
- 2. 正解。陽性鋭波は、筋線維が神経支配を失った(脱神経した)際に発生する、特徴的な自発活動である。急性脱神経から2~3週間経過した頃から出現し始め、慢性期まで持続することがある。神経原性疾患の診断において非常に重要な所見の一つである。混同注意:線維自発電位(Fibrillation potentials)も同様に脱神経を示し、陽性鋭波とよく一緒にみられる。
- 3. 高振幅電位は、慢性期の神経原性疾患において、残存する神経線維が脱神経した筋線維を再支配(側枝発芽)することで、一つの運動単位が担当する筋線維の数が増加した結果としてみられる。急性脱神経では通常みられない。正しくは:慢性期の神経原性疾患でみられる。選びやすい理由:神経が障害されている点で関連があるように見えるが、時間経過が異なり、急性期の特徴ではない。混同注意:正常な運動単位電位(MUAP)、あるいは多相性電位など、MUAPの形態変化と混同しやすい。
- 4. 多相性電位は、運動単位内における筋線維の興奮伝達速度のばらつきや、筋線維の同期性の低下によって生じる。神経原性疾患における再支配過程や、筋疾患で見られることがあるが、急性脱神経に特異的な所見ではない。陽性鋭波のような自発活動ではない。正しくは:神経原性疾患の再支配過程や筋原性疾患でみられる。選びやすい理由:神経や筋肉の異常を示す電位の異常であり、脱神経と関連があるように思える。混同注意:高振幅電位、短持続・低振幅電位(筋原性疾患)、巨大電位(慢性神経原性)など、他の運動単位電位の形態変化と混同しやすい。
- 5. ミオトニー放電は、筋疾患の中でも特に筋強直症(ミオトニー)に特徴的な自発活動である。筋線維膜の興奮性が異常に高まっているために生じ、神経支配の有無とは直接関連しない。正しくは:筋強直症に特徴的な所見である。選びやすい理由:筋電図で記録される異常な自発活動であるため、何らかの病的な状態を示しているという点で関連があるように見えるかもしれない。混同注意:陽性鋭波や線維自発電位といった他の自発活動と混同しやすいが、音や波形の特徴が大きく異なる。
国試ポイント
針筋電図検査における急性脱神経の所見(特に自発活動)に関する基本的な知識が問われている。陽性鋭波と線維自発電位が最も重要であり、これらが安静時に見られる脱神経所見であることを理解しているかが鍵となる。他の選択肢は、筋疾患や慢性神経原性疾患、あるいは別の特定の病態に特徴的な所見であり、それらとの鑑別能力も試されている。
混同注意
線維自発電位(fibrillation potentials)は陽性鋭波と同様に急性脱神経の所見として非常に重要である。また、慢性神経原性変化(高振幅電位、巨大電位、多相性電位)、筋原性変化(短持続・低振幅電位、急速動員)、筋強直症に特有のミオトニー放電など、他の病態でみられる特徴的な針筋電図所見と混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
次回同様の論点が出題された場合、急性期と慢性期の神経原性疾患の鑑別所見、および神経原性疾患と筋原性疾患の鑑別所見について問われる可能性が高い。特に、自発活動の種類と出現時期、運動単位電位(MUAP)の形態変化(振幅、持続時間、多相性)、干渉波パターン(減少、急速動員)を正確に理解しておく必要がある。
関連知識
針筋電図では、安静時の活動(自発活動)、軽収縮時の運動単位電位(MUAP)の形態、最大収縮時の干渉波パターンなどを評価する。各病態(急性神経原性疾患、慢性神経原性疾患、筋原性疾患、神経筋接合部疾患、ミオトニー症候群など)に特徴的な所見を体系的に理解しておく必要がある。急性脱神経では、初期には変化がないか、自発活動が未出現の場合があることに注意。