便中カルプロテクチンで正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
便中カルプロテクチンは、腸管の炎症性細胞である好中球から放出されるタンパク質です。そのため、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患の病態活動性を示す優れたマーカーとして、診断補助や治療効果のモニタリングに広く利用されています。他の選択肢は、カルプロテクチンの性質や生理作用に関して誤った記述です。
選択肢ごとの解説
- 1. カルプロテクチンは主に抗菌作用を示しますが、抗腫瘍効果は確認されていません。正しくは:抗菌作用や免疫調節作用に関与する。選びやすい理由:「抗」という接頭語から、炎症や疾患に対する作用を連想させやすいため、誤って選択される可能性があります。混同注意:抗生物質や抗がん剤のような薬効成分と混同しやすいかもしれません。
- 2. 便中カルプロテクチン濃度は、通常の食事内容によってはほとんど影響を受けないとされています。そのため、採便時の食事制限は通常不要です。正しくは:検査結果は食事内容の影響をほとんど受けない。選びやすい理由:便検査一般(例:便潜血検査)では食事制限が必要な場合があるため、カルプロテクチンも同様だと誤解する可能性があります。混同注意:便潜血検査における肉類の摂取制限など、他の便検査の注意点と混同する可能性があります。
- 3. 便中カルプロテクチンは、検体採取後も室温で数日間は比較的安定していることが知られています。これは、検査の利便性につながる特性です。正しくは:検体は室温でも比較的安定している。選びやすい理由:一般的な生化学検査の検体は室温で不安定なものが多いため、同様に不安定だと考える可能性があります。混同注意:血糖や酵素などの不安定な成分の検体保存条件と混同しやすいです。
- 4. カルプロテクチンは、好中球の細胞質内に存在するタンパク質であり、腸内細菌から分泌されるものではありません。腸管の炎症部位に集積した好中球から放出されます。正しくは:腸管の炎症部位に浸潤した好中球から分泌される。選びやすい理由:「便中」という言葉から、腸内環境や細菌と関連付けやすいという誤解を生む可能性があります。混同注意:腸内細菌が産生する他の代謝産物や酵素と混同する可能性があります。
- 5. 正解。便中カルプロテクチンは、炎症性腸疾患(IBD)、特に潰瘍性大腸炎やクローン病の腸管炎症の活動性マーカーとして、その病態評価や治療効果判定に広く活用されています。
国試ポイント
便中カルプロテクチンの生理的特性、安定性、および臨床的有用性(特に炎症性腸疾患の活動性マーカーとしての役割)が問われています。好中球由来であることや、食事の影響を受けにくいこと、室温での安定性なども基本的な知識として重要です。
混同注意
炎症性腸疾患の活動性マーカーとしては、CRPや赤沈、便中ラクトフェリンなどがありますが、それぞれ特性や検出部位が異なります。カルプロテクチンが好中球由来である点と、腸管局所の炎症を反映しやすい点が特徴です。
次に同じ論点が出たら
便中カルプロテクチンについて次に問われるとしたら、以下の点が考えられます。どの細胞から分泌されるか(好中球)。どのような疾患の活動性マーカーとして有用か(炎症性腸疾患、特に潰瘍性大腸炎、クローン病)。他の炎症マーカー(CRP, ESRなど)との比較。便潜血検査との違いや、食事制限の有無。検体の安定性に関する詳細な条件(冷蔵、冷凍保存など)。
関連知識
カルプロテクチンはS100タンパク質ファミリーに属し、好中球の細胞質に多く含まれる抗菌作用を持つタンパク質です。炎症性腸疾患の診断補助、活動性評価、再燃予測、治療効果判定に有用であり、小児のIBD診断にも活用されます。機能性胃腸症(過敏性腸症候群など)では上昇しないため、器質的疾患との鑑別にも役立ちます。