四肢誘導心電図(別冊No. 3)を別に示す。正しいのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
下に示す心電図では、P波またはQRS波の直前に、心臓の電気的興奮を誘発する細く鋭いスパイク(刺激波)が規則的に記録されています。この所見は、人工ペースメーカーが心臓を電気的に刺激し、拍動を維持している状態を示す典型的な波形であり、「ペーシングリズム」と診断されます。特にQRS波の直前にスパイクが見られる場合、心室ペーシングが行われていると考えられます。
選択肢ごとの解説
- 1. 右脚ブロックの診断基準は、V1誘導でのrSR'パターン(M型QRS波)、V6誘導での幅広いS波、およびQRS幅が0.12秒以上であることですが、この心電図にはその特徴がありません。正しくは:右脚ブロックの特徴的な波形(V1のrSR'、V6の幅広いS波、QRS幅延長)が見られません。選びやすい理由:QRS波形にわずかな異常があるように見えるため、ブロックを疑うかもしれませんが、明確なブロックパターンではありません。混同注意:脚ブロックの診断基準と混同しやすいです。
- 2. 房室ブロックの診断にはP波とQRS波の関係を評価しますが、この心電図ではP波に続いて規則的にQRS波が出現しており、P-R間隔もほぼ一定で、ブロックを示唆するP波の脱落やP-R間隔の延長はありません。正しくは:P波の後にQRS波が規則的に続いており、P-R間隔も正常範囲で、房室ブロックの兆候はありません。選びやすい理由:徐脈である場合、房室ブロックを疑うことがありますが、この波形ではP波とQRS波の関連に異常は見られません。混同注意:洞不全症候群や他の徐脈性不整脈と混同する可能性があります。
- 3. WPW症候群の診断基準は、P-R間隔の短縮(0.12秒未満)、デルタ波(QRS波の立ち上がりのスラー)、およびQRS幅の延長ですが、この心電図ではこれらの所見が認められません。正しくは:P-R間隔の短縮やデルタ波、QRS幅延長といったWPW症候群の所見はありません。選びやすい理由:QRS波形がわずかに変形しているように見える場合、デルタ波と誤解する可能性があります。混同注意:期外収縮のQRS波形や、脚ブロックによるQRS波形変化と混同することがあります。
- 4. 正解。心電図波形全体にわたり、QRS波の直前またはP波の直前に細い線状のスパイク(ペースメーカー刺激波)が規則的に認められます。これはペースメーカーが心臓を電気的に刺激していることを示す典型的な所見です。特にこの画像ではQRS波の直前にスパイクが確認でき、心室ペーシングが行われていることを示唆しています。混同注意:筋肉の振戦などによるアーチファクトと見間違える可能性もありますが、ペースメーカーのスパイクは非常に規則的で鋭いのが特徴です。
- 5. 不随意運動によるアーチファクトは、基線の不規則な揺れや、不規則なスパイクとして現れることが多いですが、この心電図に見られるスパイクは非常に規則的で、心臓の電気活動と同期しているように見えます。これは不随意運動によるものとは異なり、ペースメーカー刺激によるものです。正しくは:不随意運動によるアーチファクトは不規則な波形の乱れや基線の動揺として現れますが、この心電図では規則的で鋭いスパイクが見られ、これはペースメーカーの刺激によるものです。選びやすい理由:アーチファクトが疑わしい波形であるため、選択しやすいですが、スパイクの規則性と心拍との関連性が異なります。混同注意:他の種類のアーチファクト(交流障害、電極接触不良など)と混同することがあります。
国試ポイント
本問題は、ペースメーカーによる心電図波形の特徴を正確に識別できるかを問うものです。ペースメーカーのスパイク波形、その規則性、およびそれが心臓のどの部位を刺激しているか(P波前なら心房、QRS波前なら心室)を理解していることが重要です。
混同注意
ペースメーカーのスパイクと不随意運動(振戦)によるアーチファクト、または交流障害によるノイズを混同しないよう注意が必要です。ペースメーカーのスパイクは非常に規則的で鋭く、心拍と同期しています。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が問われた場合、心電図に細く鋭いスパイクが認められるか、そのスパイクが心臓のどの活動(P波、QRS波)の直前に出現しているか、およびスパイクの規則性を確認することで判断します。
関連知識
ペースメーカーの種類(単腔式、二腔式)、VVI/AAI/DDDなどのモード、ペースメーカー不全(キャプチャー不全、センシング不全など)時の心電図所見、およびペースメーカー植え込み患者の管理について関連知識があります。