医療安全で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
円滑なコミュニケーションは、医療従事者間の情報共有、状況認識の統一、チームワークの向上に不可欠であり、これらが医療事故の予防、特に誤認や見落としによる事故を防ぐ上で極めて重要な役割を果たします。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。円滑なコミュニケーションは、医療チーム内での情報伝達ミスや誤解を防ぎ、患者への適切なケアを保障する上で極めて重要です。報告・連絡・相談(ホウレンソウ)の徹底や情報共有ツール(電子カルテ、カンファレンス)の活用が事故防止に繋がります。選びやすい理由:医療現場での経験から、コミュニケーション不足が問題となる場面が多いことを認識しているため。混同注意:コミュニケーションが単なる個人のスキルと捉えられがちだが、組織全体のシステムとして重要であることを理解しているか。
- 2. インシデントレポートの主な目的は、発生したインシデントの状況や背景、原因を分析し、再発防止策を検討することです。個人を特定し、責任を追及することは、報告をためらわせる要因となり、システムの改善を妨げます。これは「個人罰主義からシステム改善」への転換という考えに基づいています。正しくは:インシデントレポートの主な目的は、医療安全体制の改善と再発防止策の検討です。選びやすい理由:一般的な組織における問題発生時の原因究明が、個人特定と結びつけられやすい傾向があるため。混同注意:懲罰的な目的と学習・改善の目的。
- 3. 臨床検査業務におけるインシデントは、検査前(検体採取・受付)、検査中(測定)、検査後(報告)の全てのプロセスで発生する可能性がありますが、最も多く発生するのは検体採取ミスや誤認などの「検査前プロセス」とされています。これは、患者との接触が最も多く、手作業が多いためヒューマンエラーが起こりやすいことに起因します。正しくは:臨床検査業務におけるインシデントは、検体採取や受付などの検査前プロセスで最も多く発生します。選びやすい理由:検査結果の解釈や報告におけるミスが重篤な結果に繋がるため、検査後プロセスに目が行きやすい。混同注意:インシデントの重症度と発生頻度。
- 4. ハインリッヒの法則(1:29:300の法則)では、1件の重大事故の背景には、29件の軽傷を伴う事故と300件の傷害のない(ヒヤリハット)事故が隠れているとされます。この選択肢の「約10件の軽微な事故」という比率は誤りです。正しくは:ハインリッヒの法則によると、1件の重大事故の背景には、約29件の軽傷事故と約300件の傷害のない事故(ヒヤリハット)が隠れています。選びやすい理由:ハインリッヒの法則という言葉は知っていても、具体的な数値比率を正確に覚えていない場合があるため。混同注意:ハインリッヒの法則の具体的な数値比率。
- 5. 医療現場で起こる事故の多くは、単一の原因ではなく、環境要因、組織的要因、人間関係、コミュニケーション不足、システムの問題など、複数の要因が複雑に絡み合って発生します。技術的なスキル不足も一因となり得ますが、主な原因はシステムの不備やヒューマンエラー、コミュニケーションエラーなど複合的なものです。正しくは:医療現場で起こる事故の多くは、システムの問題、コミュニケーション不足、ヒューマンエラーなど、複数の要因が複雑に絡み合って発生します。選びやすい理由:医療行為には高度な技術が求められるため、技術不足が直接的な事故原因であると考えやすい。混同注意:個人の技術とシステム全体のリスク管理。
国試ポイント
医療安全におけるコミュニケーションの重要性、インシデントレポートの目的、ハインリッヒの法則、および医療事故の主な原因について正確に理解しているか。
混同注意
インシデントレポートの目的と、ハインリッヒの法則における事故の比率。
次に同じ論点が出たら
医療安全に関する問題では、コミュニケーション、システム改善、学習の文化といった組織的側面を重視する選択肢が正答である傾向にあることを意識して判断する。
関連知識
ヒューマンエラーの分類(知識不足、スキル不足、ルール違反、注意散漫など)、エラープルーフ設計、フェイルセーフの原則、チームSTEPPS。