試験管内で37℃で行った反応のうち、溶血が観察されるのはどれか。2つ選べ。ただし、[]は反応後、カルシウムとマグネシウムを添加した生理食塩液で3回洗浄したことを示す。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・4番
解説
溶血反応は、抗体が赤血球表面に結合し、それに補体が結合・活性化されることで起こります。抗体は熱に比較的安定ですが、補体は56℃、30分の熱処理で不活化されます。選択肢2では、赤血球に抗体が結合した後に補体が作用するため溶血が起こります。洗浄操作は反応効率を高めます。選択肢4では、抗体は熱処理されても活性を失わないため、抗体と補体が存在すれば溶血が起こります。
選択肢ごとの解説
- 1. 補体による溶血反応が起こるためには、補体が赤血球表面に結合した抗体と複合体を形成する必要があります。この組み合わせには抗体がありません。正しくは:溶血には抗ヒツジ赤血球抗体が必要。選びやすい理由:モルモット補体は溶血反応によく使われるため、一見すると関連しそうに見えるかもしれません。しかし、補体単独では溶血を引き起こしません。混同注意:補体と溶血反応の関連性は理解していても、補体が作用するための条件(抗体の存在)を見落とす可能性があります。
- 2. 正解。ヒツジ赤血球に抗ヒツジ赤血球抗体が結合し、免疫複合体を形成します。その後、洗浄によって未結合の抗体を除去し、活性のあるモルモット補体を添加することで、古典経路による溶血が誘発されます。洗浄操作は、未結合の抗体が補体を消費するのを防ぎ、効率的な溶血を可能にします。
- 3. この場合、まずヒツジ赤血球とモルモット補体が反応しますが、抗体が存在しないため補体は活性化されません。洗浄によって、未結合の補体は洗い流されます。その後で抗体を加えても、すでに補体がないため溶血は起こりません。正しくは:抗体を先に赤血球に結合させるか、補体を洗浄せずに抗体と同時に加える必要がある。選びやすい理由:補体と抗体が両方存在するため、溶血が起こるように見えるかもしれませんが、その反応順序が重要です。混同注意:抗体と補体の反応順序が溶血反応に与える影響について混乱する可能性があります。
- 4. 正解。抗体は熱処理(56℃、30分)によって変性することはありません。そのため、ヒツジ赤血球と抗体は正常に結合し、免疫複合体を形成します。そこに活性のあるモルモット補体を加えることで、補体依存性の溶血反応が起こります。選びやすい理由:抗体が熱処理されていると聞くと、効果が失われると誤解しやすいかもしれません。しかし、抗体は比較的熱に安定です。混同注意:補体成分の不活化条件(56℃、30分)と抗体の安定性を混同する可能性があります。抗体は熱に強く、この処理では不活化されません。
- 5. モルモット補体を56℃で30分間処理すると、補体の主要な成分であるC1、C2、C4などが熱によって変性し、その活性を失います。したがって、抗体が結合した赤血球があっても、活性のない補体では溶血反応は起こりません。正しくは:補体を熱処理しないか、活性のある補体を用いる必要がある。選びやすい理由:抗体も補体も存在するため、溶血が起こるように見えるかもしれません。しかし、補体は熱に弱く、この条件で不活化されます。混同注意:抗体と補体のどちらが熱によって不活化されるのかを混同する可能性があります。補体は熱に非常に弱い性質を持っています。
国試ポイント
本問は、溶血反応における抗体と補体の役割、それぞれの熱に対する安定性、そして反応の順序が適切に理解されているかを問う問題です。補体は熱に弱いという重要な性質を正確に把握している必要があります。
混同注意
抗体と補体の熱安定性(どちらが56℃30分で不活化されるか)、および抗体と補体の反応順序。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出た場合、まず抗体の存在と活性、次に補体の存在と活性(特に熱処理の有無)、そして反応の順序を確認する。
関連知識
溶血反応の古典経路、補体成分の熱安定性、抗体の構造と機能。