抗原抗体反応について正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
抗原抗体反応は、抗原と抗体の相互作用による特異的な結合であり、水素結合、疎水結合、イオン結合、ファンデルワールス力などの非共有結合性相互作用の積み重ねによって形成されます。これらの結合は個々には弱いですが、多数の結合が働くことで高い結合特異性と親和性を生み出します。
選択肢ごとの解説
- 1. 抗原抗体反応は可逆的な反応であり、結合と解離の平衡状態にあります。結合力(親和性)が高いほど解離しにくいですが、完全に不可逆ではありません。正しくは:抗原抗体反応は可逆的な反応である。選びやすい理由:特異性が非常に高いため、強固に結合するというイメージから不可逆的と誤解しやすいかもしれません。混同注意:酵素-基質反応のような、結合後に共有結合などで構造が変化し不可逆となる反応と混同しやすいです。
- 2. 抗原抗体反応に関与する結合は、共有結合ではなく、水素結合、疎水結合、イオン結合、ファンデルワールス力などの非共有結合性相互作用です。正しくは:主に非共有結合性相互作用によって結合が形成される。選びやすい理由:生体内の強固な結合のイメージから、共有結合が関与すると考えるかもしれませんが、特異性の高さは非共有結合の多重性によります。混同注意:高分子化合物間の結合として、共有結合が一般的に強固であるため、抗原抗体複合体も共有結合で安定化されていると誤解しやすいです。
- 3. 正解。抗原抗体反応は、水素結合、疎水結合、イオン結合、ファンデルワールス力といった様々な非共有結合性相互作用の集合によって形成されます。水素結合はその重要な要素の一つです。正しくは:正しいため修正不要
- 4. 抗原抗体反応はpHに影響を受けやすく、特に極端な酸性またはアルカリ性の条件下では、抗体や抗原の立体構造が変化し、結合が不安定になったり解離したりします。最適なpH範囲が存在します。正しくは:抗原抗体複合体の安定性は、pH条件に影響を受ける。選びやすい理由:特異性が高いため、あらゆる環境下で安定していると錯覚しやすいかもしれません。混同注意:他の一般的な化学反応がpHの影響を受けるのと同様に、抗原抗体反応も生体内の他の分子間相互作用と似て、pHの影響を受けやすいことを理解しておく必要があります。
- 5. 多くの抗体(免疫グロブリン)は熱に弱く、特に56℃で30分程度の加熱により変性し、抗原結合能が低下することが知られています(例:補体の失活条件)。そのため、抗原抗体複合体もこの温度では不安定になり、結合が解離しやすくなります。正しくは:56℃の高温条件下では、抗原抗体複合体は不安定になることがある。選びやすい理由:体温(約37℃)より少し高い程度の温度であるため、比較的安定していると誤解しやすいかもしれません。しかし、これは生体外での反応や抗体の安定性に関する重要な温度です。混同注意:熱処理による補体の失活温度(56℃、30分)と混同し、抗体自体や複合体が失活することと理解しやすいです。
国試ポイント
抗原抗体反応の基本的な性質(可逆性、関与する結合の種類、環境要因の影響)を理解しているかを問う問題です。特に、共有結合ではないこと、非共有結合性相互作用の集合であること、pHや温度で影響を受けることが頻出ポイントです。
混同注意
共有結合と非共有結合、可逆反応と不可逆反応、pHや温度の影響範囲に関する誤解。
次に同じ論点が出たら
今後も抗原抗体反応の物理化学的特性や、それに影響を与える要因(イオン強度、攪拌など)を問う問題が出題される可能性があります。特に、それぞれの結合の種類と性質を正確に把握しておくことが重要です。
関連知識
抗原決定基(エピトープ)、抗体可変部(パラトープ)、親和性(affinity)、アビディティ(avidity)、抗原抗体反応の測定法(凝集反応、沈降反応、ELISAなど)