発がん性が指摘されているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
ホルムアルデヒドは国際がん研究機関(IARC)によりグループ1(ヒトに対して発がん性がある)に分類されており、特に鼻咽頭がんや白血病との関連が指摘されています。遺伝毒性を持つ代謝物が生じることでDNA損傷を引き起こし、細胞の正常な増殖を阻害するためと考えられています。
選択肢ごとの解説
- 1. キシレンは主に溶剤として用いられ、中枢神経系への急性毒性や肝機能障害の可能性が指摘されていますが、IARCの分類ではグループ3(ヒトに対する発がん性について分類できない)に分類されており、ヒトに対する明確な発がん性証拠は確立されていません。正しくは:ヒトに対する発がん性は明確には確立されていない。選びやすい理由:有機溶剤であり、毒性があるため発がん性もあると誤解しやすい。混同注意:ベンゼンなどの発がん性有機溶剤。
- 2. メタノールは、経口摂取や吸入により視神経障害やアシドーシスを引き起こす急性毒性が強い物質ですが、IARCではグループ3(ヒトに対する発がん性について分類できない)に分類されており、ヒトに対する発がん性は明確には確立されていません。正しくは:ヒトに対する発がん性は明確には確立されていない。選びやすい理由:アルコール類であり、毒性が強いことから発がん性もあると誤解しやすい。混同注意:エタノール(飲酒による発がん性)や、他の発がん性アルデヒド類(アセトアルデヒドなど)。
- 3. パラフィンは石油製品の一つで、化粧品や医薬品の基剤として広く使用されており、IARCではグループ3(ヒトに対する発がん性について分類できない)に分類されており、ヒトに対する発がん性は明確には確立されていません。ただし、未精製のパラフィンは発がん性を示す場合があります。正しくは:ヒトに対する発がん性は明確には確立されていない(ただし、未精製パラフィンは除く)。選びやすい理由:石油由来であり、一部の石油製品に発がん性があることから連想しやすい。混同注意:発がん性のある鉱物油や、多環芳香族炭化水素(PAH)。
- 4. 正解。ホルムアルデヒドはIARCのグループ1(ヒトに対して発がん性がある)に分類されており、特に鼻咽頭がんや骨髄性白血病との関連が明確に指摘されています。選びやすい理由:建築材料や防腐剤として身近な物質であり、その毒性や健康影響が広く知られているため。混同注意:類似のアルデヒド類(アセトアルデヒドなど)の毒性。ただし、IARC分類ではホルムアルデヒドはグループ1、アセトアルデヒドはグループ2Bであるため注意が必要。
- 5. エチレンジアミン四酢酸〈EDTA〉は金属キレート剤として医薬品や食品添加物、分析試薬として広く利用されており、IARCではグループ3(ヒトに対する発がん性について分類できない)に分類されており、ヒトに対する発がん性は明確には確立されていません。正しくは:ヒトに対する発がん性は明確には確立されていない。選びやすい理由:化学物質であり、体内で金属と結合するなど生理活性を持つことから、発がん性も疑われやすい。混同注意:他の化学療法剤や、より強い毒性を持つ有機金属化合物。
国試ポイント
IARCの発がん性分類(特にグループ1)に挙げられている主要な化学物質を覚えること。
混同注意
一般的な毒性と発がん性の違い。急性毒性はなくとも、長期曝露で発がん性を示す物質がある点。
次に同じ論点が出たら
化学物質の発がん性に関する問題が出た場合は、まずIARC分類でグループ1に分類されている物質を優先的に検討する。特に、鼻腔・咽頭の疾患や血液系疾患との関連が示唆される物質に注意する。
関連知識
IARC発がん性分類の各グループの定義(グループ1、2A、2Bなど)と、代表的な物質(アスベスト、ベンゼン、放射線など)。職業性発がん物質の例。