病原菌と選択分離培地の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
マイコプラズマは細胞壁を持たないため、一般的な細菌培地では増殖できません。PPLO寒天培地は、コレステロールや血清などの脂質を豊富に含み、マイコプラズマの増殖に必須な栄養因子を提供するため、マイコプラズマの選択分離に適しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。Mycoplasma pneumoniaeは細胞壁を持たないため、通常の細菌用培地では増殖が難しく、コレステロールなどの脂質や血清を添加したPPLO寒天培地のような特殊な培地を必要とします。この培地はマイコプラズマの増殖に適しており、選択分離培地として用いられます。
- 2. Neisseria gonorrhoeae(淋菌)の分離には、通常、サイヤーマーチン培地やNYC培地などの、栄養が豊富で他の菌の増殖を抑制する抗菌薬を含む培地が使用されます。SS寒天培地はサルモネラ属菌やシゲラ属菌の選択分離に用いられる培地であり、淋菌の分離には適していません。正しくは:Neisseria gonorrhoeae にはサイヤーマーチン培地(またはNYC培地、改良サイヤーマーチン培地など)。選びやすい理由:SS培地がグラム陰性桿菌の分離に用いられることは知っていても、淋菌がグラム陰性球菌であることを忘れてしまうと混同するかもしれません。選択分離培地の名前とその対象菌を漠然と覚えていると誤る可能性があります。混同注意:サルモネラ属菌やシゲラ属菌。これらはSS培地の対象菌です。
- 3. Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)の分離には、セトリミド寒天培地(CFP寒天培地)が一般的に用いられます。WYOα寒天培地は、主にCampylobacter属菌の分離に用いられる培地であり、緑膿菌の分離には適していません。正しくは:Pseudomonas aeruginosa にはセトリミド寒天培地(またはCFP寒天培地)。選びやすい理由:細菌名と培地名が似たようなアルファベットで構成されているように感じるため、語呂合わせなどで勘違いしやすいかもしれません。混同注意:Campylobacter属菌(WYOα寒天培地の対象菌)。
- 4. Shigella sonnei(ソンネ赤痢菌)はSS寒天培地やDHL寒天培地、MacConkey寒天培地などで分離されます。NAC寒天培地は、通常、Pseudomonas aeruginosaなどの非発酵グラム陰性桿菌の選択分離に用いられる培地であり、赤痢菌の分離には適していません。正しくは:Shigella sonnei にはSS寒天培地(またはDHL寒天培地)。選びやすい理由:いずれもグラム陰性桿菌であるという共通点があるため、知識が曖昧だと間違えやすいでしょう。混同注意:Pseudomonas aeruginosaなどの非発酵グラム陰性桿菌 (NAC寒天培地の対象菌)。
- 5. Vibrio parahaemolyticus(腸炎ビブリオ)の分離には、TCBS (Thiosulfate-Citrate-Bile salts-Sucrose) 寒天培地が一般的に用いられます。CIN寒天培地は、主にYersinia enterocolitica(エルシニア腸炎菌)の選択分離に用いられる培地であり、腸炎ビブリオの分離には適していません。正しくは:Vibrio parahaemolyticus にはTCBS寒天培地。選びやすい理由:いずれも腸管感染症の原因菌であり、培地の頭文字がアルファベット3文字であるため、混同しやすいかもしれません。混同注意:Yersinia enterocolitica (CIN寒天培地の対象菌)。
国試ポイント
本問題は、主要な病原細菌とその選択分離培地の組み合わせに関する基本的な知識を問うものです。特に、各培地がどの菌種の増殖を特異的に促進・選択するか、またその培地の特徴(含まれる成分や選択性を示す薬剤)と、対象菌の性質(栄養要求性や薬剤耐性)を理解しているかが重要です。複数の類似する名前の培地や対象菌が存在するため、正確な知識が求められます。
混同注意
類似した略語の培地(例:SS培地とTCBS培地)や、特定のグループに属する菌(例:グラム陰性桿菌)に対して汎用される培地と、より特異的な培地との混同が挙げられます。また、栄養要求性の高い菌(マイコプラズマ、淋菌など)と、通常の培地で増殖可能な菌との区別も重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、選択培地の名前だけでなく、その培地に含まれる選択因子(抗菌薬、胆汁酸塩など)や鑑別因子(糖、pH指示薬など)についても問われる可能性があるため、培地の構成成分とそれがどのように選択性や鑑別性を示すのかを理解しておく必要があります。また、非定型細菌(マイコプラズマ、クラミジアなど)の特殊な培養条件についても注意が必要です。
関連知識
選択培地とは:特定の微生物の増殖を促進または抑制することで、目的とする微生物を選択的に分離・培養するための培地。鑑別培地とは:微生物の生化学的特性(糖分解能、酵素活性など)に基づいて、菌種を区別するための培地。主要な細菌と選択培地の対応リスト(例:サルモネラ・シゲラ - SS培地、DHL培地;カンピロバクター - CCDA培地、WYOα寒天培地;淋菌 - サイヤーマーチン培地;緑膿菌 - セトリミド寒天培地;腸炎ビブリオ - TCBS培地;エルシニア - CIN培地)。マイコプラズマの生物学的特徴(細胞壁欠損、ステロール要求性)。