毒素型食中毒の病原体で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
黄色ブドウ球菌は、食品中でエンテロトキシンという毒素を産生し、この毒素を摂取することで短時間で食中毒症状(吐き気、嘔吐、腹痛など)を引き起こします。この毒素は耐熱性であるため、菌が死滅しても症状が出ることが特徴です。他の選択肢の菌は、主に菌の増殖や感染によって症状を引き起こす感染型食中毒に分類されます。
選択肢ごとの解説
- 1. カンピロバクターは感染型食中毒の原因菌であり、毒素型ではありません。菌が体内で増殖・感染することで症状を引き起こします。正しくは:これは感染型食中毒の主要な原因菌の一つです。選びやすい理由:食中毒の代表的な原因菌の一つであるため、知識がある学生は選択肢として意識しやすいです。混同注意:サルモネラ菌や病原性大腸菌O157など、他の主要な感染型食中毒菌と混同されることがあります。
- 2. リステリアは主に感染型食中毒菌であり、特に免疫力の低下した人や妊婦で重症化する特徴があります。毒素産生も報告されますが、分類上は感染型です。正しくは:この菌は体内で増殖することで食中毒症状を引き起こす感染型食中毒菌です。選びやすい理由:他の選択肢と同様に食中毒の原因菌として知られているため、選択肢として見慣れている可能性があります。混同注意:加熱調理で死滅しにくい特性を持つ菌として、他の食中毒菌と比較検討されることがあります。
- 3. 赤痢菌は細菌性赤痢の起因菌であり、シガ毒素を産生しますが、分類としては「感染型」食中毒に属します。発症には菌の増殖と腸管上皮への侵入が必須です。正しくは:この菌は体内で増殖・感染することで発症する感染型食中毒菌です。産生する毒素は病原性の一部を担います。選びやすい理由:毒素(シガ毒素)を産生するという点で、毒素型食中毒と混同しやすいです。混同注意:志賀毒素産生性大腸菌(STEC)など、毒素を産生するが感染型に分類される他の食中毒菌と混同されることがあります。
- 4. 正解。黄色ブドウ球菌は食品中で増殖する際に、エンテロトキシンという毒素を産生します。この毒素は熱に強く、食品が加熱されて菌が死滅しても残存し、摂取することで食中毒を引き起こします。これは典型的な毒素型食中毒の機序です。
- 5. 腸炎ビブリオは感染型食中毒菌であり、菌が腸管内で増殖することで症状を引き起こします。耐熱性溶血毒 (TDH) を産生することもありますが、毒素型には分類されません。正しくは:これは体内で菌が増殖して発症する感染型食中毒の原因菌です。選びやすい理由:海産物に関連する食中毒として有名であること、また「毒素」という言葉に引きずられて誤って選んでしまう可能性があります。混同注意:他の魚介類を介する感染型食中毒菌や、毒素を産生するが感染型に分類される他の菌と混同されることがあります。
国試ポイント
食中毒の主要な分類(感染型、毒素型、中間型)と、それぞれの代表的な原因菌、およびその特徴(毒素産生の有無、毒素の性状、発症機序など)を正確に理解しているかが問われています。特に、毒素を産生する菌であっても、発症に菌の増殖・感染が必須である場合は感染型に分類される点に注意が必要です。
混同注意
毒素を産生する食中毒菌(例:病原性大腸菌O157、ウェルシュ菌、セレウス菌)と、その毒素の作用機序(感染型か毒素型か、中間型か)が混同されやすいです。また、食中毒の種類(細菌性、ウイルス性、化学性など)と、それぞれの病原体の特徴も関連知識として問われることがあります。
次に同じ論点が出たら
次回は、他の毒素型食中毒菌(ボツリヌス菌、セレウス菌の嘔吐型など)や、感染型と毒素型の中間型(ウェルシュ菌、セレウス菌の下痢型など)が問われる可能性があります。また、潜伏期間や主な症状、原因食品との組み合わせで出題されることも考えられます。食中毒の予防策や検査方法も関連して問われる可能性があります。
関連知識
食中毒の分類(感染型、毒素型、中間型)ごとの主な原因菌(サルモネラ、腸炎ビブリオ、カンピロバクター、病原性大腸菌、黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌、ウェルシュ菌、セレウス菌など)、それぞれの菌が産生する毒素の種類と特徴(耐熱性、神経毒性など)、発症までの潜伏期間、主な症状、原因食品。特にボツリヌス菌も代表的な毒素型食中毒菌です。