通性嫌気性菌はどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・5番
解説
通性嫌気性菌とは、酸素が存在する好気的環境でも、酸素が存在しない嫌気的環境でも増殖できる細菌のことです。本問題の選択肢では、エシェリヒア・コリ(大腸菌)とストレプトコッカス・アガラクチアエ(B群溶血連鎖球菌)がこれに該当します。アシネトバクター・バウマニとレジオネラ・ニューモフィラは好気性菌であり、フソバクテリウム・ヌクレアタムは偏性嫌気性菌です。
選択肢ごとの解説
- 1. この菌は、酸素が存在する環境下で活発に増殖する好気性菌です。正しくは:酸素が豊富な環境で主に増殖する好気性菌である。選びやすい理由:グラム陰性桿菌であり、他の腸内細菌と見た目が似ているため、誤って通性嫌気性菌と判断してしまう可能性があります。混同注意:シュードモナス・アエルギノーサ(緑膿菌)など、他のグラム陰性好気性菌。
- 2. 正解。大腸菌は、酸素の有無にかかわらず増殖が可能な、代表的な通性嫌気性菌です。酸素があれば呼吸を行い、酸素がなければ発酵を行います。
- 3. この菌は、酸素が存在すると増殖が阻害される、厳密な偏性嫌気性菌です。正しくは:酸素が存在しない環境でのみ増殖する偏性嫌気性菌である。選びやすい理由:口腔内の常在菌であり、嫌気性環境で多く見られるため、嫌気性菌であることは正しいですが、通性ではなく偏性嫌気性菌である点を見落としやすいです。混同注意:バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)など、他の偏性嫌気性菌。
- 4. この菌は、増殖に酸素を必須とする好気性菌です。また、L-システインなどの特殊な栄養素も必要とします。正しくは:酸素を必要とする好気性菌である。選びやすい理由:環境中に広く分布し、肺炎の原因菌として知られるため、酸素要求性に関する情報と結びつきにくいと感じるかもしれません。混同注意:マイコプラズマ・ニューモニアエ(Mycoplasma pneumoniae)など、非定型肺炎の原因菌ですが、酸素要求性は異なります。
- 5. 正解。連鎖球菌のほとんどは、酸素が存在する環境でも、存在しない環境でも増殖できる通性嫌気性菌に分類されます。
国試ポイント
細菌の酸素要求性に関する知識は、微生物学の基本的な概念として頻繁に出題されます。特に、代表的な菌種がどの酸素要求性分類(好気性菌、偏性嫌気性菌、通性嫌気性菌、微好気性菌、耐性嫌気性菌)に属するかを問う問題が多く見られます。各分類の定義と、それぞれの代表例を正確に覚えているかが問われます。
混同注意
通性嫌気性菌と耐性嫌気性菌(aerotolerant anaerobes)は混同されやすいです。耐性嫌気性菌は酸素があっても死滅しませんが、酸素を利用せず発酵代謝のみを行います。一方、通性嫌気性菌は酸素があれば呼吸代謝を行い、より効率的にエネルギーを得ることができます。また、偏性嫌気性菌と微好気性菌も間違えやすい概念です。微好気性菌は低酸素濃度で最もよく増殖しますが、酸素が存在しないと増殖できません。偏性嫌気性菌は酸素が存在すると増殖が阻害されるか、死滅します。
次に同じ論点が出たら
次に同様の問題が出題された場合、選択肢に挙げられた各細菌の基本的な性状(グラム染色性、形態、酸素要求性、主要な感染症)を正確に識別できるかを問われるでしょう。特に、臨床で遭遇する頻度の高い主要な細菌について、これらの基本情報を確実に記憶しておく必要があります。酵素活性(カタラーゼ、オキシダーゼなど)も、酸素要求性分類と関連付けて問われることがあります。
関連知識
細菌の酸素要求性分類には以下の種類があります。 1. 好気性菌:酸素を最終電子受容体とする呼吸代謝を行う。酸素がないと増殖できない。例:緑膿菌、結核菌。 2. 偏性嫌気性菌:酸素が存在すると増殖できない、または死滅する。嫌気呼吸や発酵代謝を行う。カタラーゼやスーパーオキシドディスムターゼなどの活性酸素除去酵素を持たないことが多い。例:破傷風菌、ボツリヌス菌、バクテロイデス属。 3. 通性嫌気性菌:酸素の有無にかかわらず増殖できる。酸素があれば呼吸を行い、なければ発酵を行う。例:大腸菌、サルモネラ菌、ブドウ球菌、連鎖球菌。 4. 微好気性菌:低酸素濃度(数%)でのみ増殖する。例:カンピロバクター属、ヘリコバクター・ピロリ。 5. 耐性嫌気性菌:酸素があっても増殖を阻害されないが、酸素を利用しない(発酵のみ)。例:乳酸菌の一部。