人体の磁気共鳴画像を得るために対象としている核種はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
磁気共鳴画像法(MRI)は、生体内の原子核が持つ磁気的な性質を利用して画像を得る技術です。人体MRIでは、特に水や脂肪に豊富に含まれる水素原子の原子核(プロトン、¹H)がターゲットとなります。水素原子核は核スピンを持ち、外部磁場をかけることで特定の周波数の電磁波と共鳴し、その際に発生する信号を検出して画像化します。
選択肢ごとの解説
- 1. 硫黄はMRIの信号源としては一般的ではありません。天然存在比が低く、かつMRIに必須の核スピンを持つ同位体(³³S)の磁気モーメントが小さいため、感度が非常に低いです。正しくは:MRIで主に利用されるのは¹H(プロトン)です。選びやすい理由:生体内に存在する元素ではありますが、MRIの原理に合致しないため選びやすい要素はありません。混同注意:生体内の様々な元素と混同する可能性があります。
- 2. 酸素(¹⁶O)は核スピンを持たないため、MRIの信号を発生しません。生体内で最も多く存在する元素の一つですが、MRIの対象核種にはなりません。正しくは:MRIで主に利用されるのは核スピンを持つ¹H(プロトン)です。選びやすい理由:生体内に非常に豊富に存在する元素であるため、重要な役割を担っているように感じられ、選択肢として魅力的かもしれません。混同注意:生体内の様々な元素と混同する可能性があります。
- 3. 正解。人体MRIでは、体内の水分や脂肪に豊富に含まれる水素原子(プロトン、¹H)の核磁気共鳴現象を利用して画像を作成します。水素原子核は核スピンを持ち、磁場中で共鳴しやすいため、MRIの信号源として最適です。
- 4. 炭素(¹²C)は核スピンを持たないため、MRIの信号を発生しません。また、核スピンを持つ¹³Cは天然存在比が低く、感度が非常に悪いため、一般的なMRIでは利用されません。研究目的では使われることがありますが、人体MRIの主要な対象ではありません。正しくは:MRIで主に利用されるのは核スピンを持つ¹H(プロトン)です。選びやすい理由:生体内の有機物に豊富に含まれるため、MRIに関連するのではないかと誤解を招くかもしれません。混同注意:生体内の様々な元素と混同する可能性があります。
- 5. 窒素(¹⁴N)は核スピンを持ちますが、四極子モーメントがあるためT2緩和時間が非常に短く、信号が検出しにくいです。そのため、MRIの信号源としては一般的ではありません。¹⁵Nは核スピンを持ちますが、天然存在比が低く、感度も低いです。正しくは:MRIで主に利用されるのは核スピンを持ち、生体内に豊富な¹H(プロトン)です。選びやすい理由:生体内の主要な構成元素であるため、MRIに関連するのではないかと誤解を招くかもしれません。混同注意:生体内の様々な元素と混同する可能性があります。
国試ポイント
MRIの基本的な原理、特にどの核種を対象としているかを問う問題です。生体内の主要構成元素とその物理的特性(核スピンの有無など)を理解しているかが重要です。
混同注意
生体内の他の主要な元素(酸素、炭素、窒素など)と混同しやすいです。これらの元素がなぜMRIの主要な対象とならないのか、その理由(核スピンの有無や感度)を理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、水素以外の核種(例: ナトリウム²³Na、リン³¹P)を対象とした特殊なMRIについて、その目的や限界を問われる可能性があります。また、緩和時間T1, T2の基礎的な概念と画像コントラストへの影響、造影剤の種類と作用機序も重要です。
関連知識
MRIの原理(核磁気共鳴)、緩和時間(T1, T2)、核スピン、天然存在比、磁気モーメント。水分子、脂肪組織の化学組成。