重炭酸イオンで正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
代謝性アルカローシスは、体内の重炭酸イオン(HCO3-)が過剰になり、血液がアルカリ性に傾いた状態を指します。したがって、代謝性アルカローシスでは血漿中の重炭酸イオン濃度は上昇します。
選択肢ごとの解説
- 1. 腎尿細管では重炭酸イオンが積極的に再吸収され、酸塩基平衡の維持に重要な役割を果たすため、この記述は誤りです。正しくは:腎尿細管で効率的に再吸収される。選びやすい理由:尿中に排出されるイメージがあるかもしれませんが、pH調整のために大部分が再吸収されます。混同注意:尿中への水素イオンの排泄と混同するかもしれません。重炭酸イオンはHCO3-で、H+とは逆の動きをします。
- 2. アニオンギャップの計算式は (Na+) - (Cl- + HCO3-) であり、重炭酸イオンは主要な陰イオンとして計算に含まれます。正しくは:アニオンギャップの計算式に含まれる。選びやすい理由:アニオンギャップの異常を見る際に、未測定陰イオンの増加に注目するため、重炭酸イオンそのものに注目しないと誤解する可能性があります。混同注意:未測定陰イオンと混同し、既測定陰イオンとしての重炭酸イオンの役割を見落とす可能性があります。
- 3. 細胞外液において最も濃度が高い陰イオンは塩素イオン(Cl-)であり、重炭酸イオンは塩素イオンに次いで2番目に多い陰イオンです。正しくは:細胞外液中の陰イオンで塩素イオンに次いで濃度が高い。選びやすい理由:主要な陰イオンであることは間違いないため、最も高いと勘違いしやすいかもしれません。混同注意:細胞外液の主要電解質の相対的な濃度順位と混同する可能性があります。
- 4. 正解。代謝性アルカローシスは、血液中の重炭酸イオン濃度が異常に増加し、血液がアルカリ性(pH上昇)に傾く状態を指します。したがって、この記述は正しいです。
- 5. 重炭酸イオンの動脈血中基準範囲は通常22~28 mmol/L程度であり、50 mmol/Lは著しい高値で、基準範囲を大きく逸脱しています。代謝性アルカローシスを示唆するレベルです。正しくは:動脈血中濃度50 mmol/Lは基準範囲を逸脱している。選びやすい理由:電解質の基準値は覚えにくいため、おおよその数字が合っているように見えてしまう可能性があります。混同注意:他の電解質や検査項目の基準値と混同する可能性があります。
国試ポイント
重炭酸イオンの生理学的役割(酸塩基平衡、腎臓での再吸収)、細胞外液中の電解質分布、アニオンギャップの計算、基準値と病態との関連性について、基本的な知識を総合的に問う問題です。特に、主要な電解質の基準値と異常時の変動を理解しているかが重要です。
混同注意
重炭酸イオンと他の陰イオン(Cl-、タンパク質など)の細胞外液中濃度順位。酸塩基平衡における重炭酸イオンの役割と、H+やCO2の役割。アニオンギャップの「計算に含まれる電解質」と「未測定陰イオン」。腎臓における重炭酸イオンの「再吸収」と「生成」。
次に同じ論点が出たら
重炭酸イオンが主要な緩衝系としてどのように機能するか。重炭酸イオンの変動が、アニオンギャップにどのように影響するか。腎機能障害や呼吸機能障害が、重炭酸イオン濃度にどのような影響を与えるか。動脈血ガス分析におけるHCO3-、PCO2、pHの関係性を、実際の症例問題で判断できるか。
関連知識
酸塩基平衡のメカニズム(重炭酸緩衝系、呼吸性代償、腎性代償)。電解質(Na+, K+, Cl-, HCO3-など)の細胞内外濃度と生理的役割。アニオンギャップの意義と高値を示す疾患(乳酸アシドーシス、糖尿病性ケトアシドーシスなど)。腎臓における重炭酸イオンの再吸収と生成メカニズム。呼吸性アシドーシス/アルカローシス、代謝性アシドーシス/アルカローシスの病態と検査所見。