萎縮を示す心臓のH-E染色標本(別冊No. 7)を別に示す。矢印で示すのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
萎縮性心臓では、心筋細胞が萎縮し、老齢化とともに細胞内のミトコンドリアなどの分解されなかった残渣がリポフスチンとして蓄積します。リポフスチンは「消耗性色素」とも呼ばれ、H-E染色では黄褐色〜褐色を呈する顆粒状として観察され、特に核の周囲に沈着する傾向があります。本設問の画像では、矢印が心筋細胞の細胞質内に見られる褐色顆粒を示しており、これはリポフスチンの特徴と一致します。
選択肢ごとの解説
- 1. メラニンは通常、皮膚や眼に多く見られ、心臓細胞では一般的ではありません。心臓に病的に沈着する場合は褐色心筋症とは異なる病態です。正しくは:メラニンは、メラノサイトによって産生される黒褐色の色素であり、心筋細胞に蓄積する褐色萎縮の原因物質ではありません。選びやすい理由:褐色であるため、他の褐色色素と混同しやすいかもしれません。混同注意:リポフスチンと色調が似ていると誤解されることがあります。
- 2. アミロイドは、異常なタンパク質が線維状に沈着したもので、H-E染色では通常、ピンク色に均一に染まり、硝子様に見えます。褐色顆粒状ではありません。正しくは:アミロイドはコンゴーレッド染色で特徴的な赤色を示し、偏光顕微鏡下で緑色の複屈折を示します。H-E染色では通常淡いピンク色に染まります。選びやすい理由:心臓に病的に蓄積する物質であるため、可能性として考えてしまうかもしれません。混同注意:他の心臓疾患で沈着する物質(例:石灰化など)と混同する可能性があります。
- 3. グリコーゲンは多糖類であり、H-E染色では通常は脱落して空胞として観察されるか、PAS染色で赤紫色に染まります。褐色顆粒状ではありません。正しくは:グリコーゲンは細胞質に貯蔵される多糖で、H-E染色では無色透明の空胞として観察されるか、保存状態によっては不明瞭になります。選びやすい理由:心筋細胞の代謝に関連する物質であるため、選択肢として考えやすいかもしれません。混同注意:細胞内の貯蔵物質全般と混同されることがあります。
- 4. 正解。萎縮性心臓では、心筋細胞が萎縮する際に細胞内の老廃物であるリポフスチンが蓄積します。これは『消耗性色素』とも呼ばれ、H-E染色では細胞質内に黄褐色または褐色の顆粒として観察される特徴があります。設問の画像で矢印が示しているのは、このリポフスチンの蓄積と考えられます。正しくは:正解のため修正不要。選びやすい理由:正解の選択肢ですが、他の褐色に見える物質との鑑別が必要です。混同注意:ヘモジデリンやメラニンなど、他の褐色色素と混同されることがあります。
- 5. ホルマリン色素は、組織固定が不適切だった場合に組織中に沈着する黒褐色の顆粒状物質ですが、心筋細胞の萎縮に伴って内因的に蓄積する色素ではありません。また、通常は結晶状や不規則な塊として見られます。正しくは:ホルマリン色素は、酸性ホルマリン固定液中で血液中のヘモグロビンが変性して生成される黒褐色の結晶状物質で、通常は組織の表面や血管内に見られます。選びやすい理由:褐色の色素であるため、形が似ていると混同しやすいかもしれません。混同注意:ヘモジデリンやメラニン、リポフスチンといった内因性色素と誤認されることがあります。
国試ポイント
萎縮性心臓におけるH-E染色所見の知識、特にリポフスチンの特徴とそれがどのような病態で出現するかを問う問題です。他の褐色色素や細胞内貯蔵物質との鑑別が重要となります。
混同注意
メラニン、ヘモジデリン、ホルマリン色素といった他の褐色〜黒褐色色素。これらは色調が似ていても、その由来、形態、病理学的意義が異なります。
次に同じ論点が出たら
次に出題される際は、リポフスチン以外の色素(例:ヘモジデリン、メラニン、ビリルビンなど)のH-E染色所見を鑑別させる問題や、特定の疾患(例:ヘモクロマトーシス、肝硬変など)における色素沈着を問う問題が考えられます。また、特殊染色(例:コンゴーレッド染色、ベルリン青染色など)との関連も重要になります。
関連知識
褐色萎縮(心臓、肝臓など)、消耗性色素、リソソームの残渣、加齢性変化。また、他の色素沈着症(ヘモジデローシス、ヘモクロマトーシス、メラニン沈着など)とそのH-E染色所見。