末梢血のWright-Giemsa染色標本(別冊No. 9)を別に示す。考えられるのはどれか。2つ選べ。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・2番
解説
提示された末梢血塗抹標本(別冊No.92)には、著明な破砕赤血球(シストサイト)が多数認められます。この所見は、微小血管内で赤血球が物理的に破壊される微小血管障害性溶血性貧血に特徴的です。選択肢の中で、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と溶血性尿毒症症候群(HUS)は、典型的な微小血管障害性溶血性貧血であり、破砕赤血球の出現を主たる所見とします。したがって、これらの疾患が強く疑われます。他の選択肢は、それぞれ異なる赤血球形態異常を主とする疾患であり、画像のような多数の破砕赤血球を特徴とはしません。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。TTPでは、微小血管内で血小板血栓が形成されることにより、赤血球が破壊され、破砕赤血球(シストサイト)が出現します。この画像では、著明な破砕赤血球の出現が確認できます。
- 2. 正解。HUSもまた、微小血管障害性溶血性貧血の一種であり、赤血球が細くなった血管内を通過する際に物理的に破壊されることで、破砕赤血球(シストサイト)が特徴的に出現します。画像所見と合致します。
- 3. 無β-リポ蛋白血症では、赤血球の細胞膜異常により棘状赤血球(acanthocyte)が出現しますが、破砕赤血球は主要な所見ではありません。画像のような多数の破砕赤血球は通常見られません。正しくは:この疾患で特徴的なのは棘状赤血球である。選びやすい理由:先天性疾患であり、赤血球形態異常を伴うため、知識が曖昧だと選択肢として検討してしまうかもしれない。混同注意:他の赤血球形態異常を呈する疾患(例:遺伝性球状赤血球症、遺伝性楕円赤血球症など)との鑑別。
- 4. 原発性骨髄線維症では、骨髄の線維化により赤血球が骨髄から押し出される際に変形し、涙滴赤血球(dacrocyte)が特徴的に出現します。破砕赤血球は主要な所見ではありません。正しくは:この疾患で特徴的なのは涙滴赤血球である。選びやすい理由:骨髄疾患であるため、血球形態異常を伴うことは理解しやすい。しかし、特徴的な形態が異なる。混同注意:他の骨髄増殖性腫瘍や骨髄異形成症候群との鑑別。それぞれ特徴的な赤血球形態が異なる。
- 5. サラセミアはヘモグロビン合成異常による貧血で、小球性低色素性赤血球、標的赤血球(target cell)、赤血球大小不同、涙滴赤血球などが見られますが、著明な破砕赤血球の出現は一般的ではありません。正しくは:この疾患で特徴的なのは標的赤血球や小球性低色素性赤血球、赤芽球の出現である。選びやすい理由:遺伝性の貧血であり、赤血球の形態異常を伴うため、知識が曖昧だと選択肢として検討してしまうかもしれない。混同注意:鉄欠乏性貧血や他の溶血性貧血との鑑別。それぞれ特徴的な赤血球形態が異なる。
国試ポイント
微小血管障害性溶血性貧血の鑑別と、それに特徴的な末梢血塗抹標本所見(特に破砕赤血球)の理解を問う問題です。各疾患に特徴的な赤血球形態を正確に識別できる能力が求められます。
混同注意
各疾患に特徴的な赤血球形態(破砕赤血球、棘状赤血球、涙滴赤血球、標的赤血球など)の混同。特に、複数の赤血球形態異常を伴う疾患があるため、それぞれの主要な特徴を正確に把握しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、まず『画像にどのような特徴的な赤血球形態が見られるか』を判断し、その形態がどの疾患に最も強く関連するかを考える。特に『破砕赤血球』を見つけたら、微小血管障害性溶血性貧血を想起する訓練をしておく。
関連知識
微小血管障害性溶血性貧血(TTP、HUS、DICなど)、無β-リポ蛋白血症(棘状赤血球)、原発性骨髄線維症(涙滴赤血球)、サラセミア(小球性低色素性貧血、標的赤血球)。各疾患の病態生理と、それが末梢血塗抹標本にどのように反映されるかを理解することが重要です。