組織の固定原理がメチレン架橋によるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
ホルマリンの主成分であるホルムアルデヒドは、タンパク質のリジンやアルギニンなどのアミノ基と反応し、メチレン架橋(-CH2-)を形成します。この架橋結合によってタンパク質分子が連結され、組織構造が化学的に安定化され、自己融解や腐敗が防がれます。このメカニズムは、組織の収縮や硬化が比較的少なく、抗原性が保たれやすいため、病理診断において最も広く用いられています。
選択肢ごとの解説
- 1. 酢酸は、タンパク質を凝固させることなく核を固定し、塩基性色素の染まりを良くする働きがありますが、メチレン架橋を形成する作用はありません。主に核を膨張させる作用を持ちます。正しくは:主な作用はタンパク質の沈殿と凝固であり、核を膨張させることで細胞質が引き締まりすぎないようにする効果があります。選びやすい理由:他の固定液(ブアン液など)と組み合わせてよく使用されるため、固定液として馴染みがあります。混同注意:タンパク質を凝固させる固定液、または酸性の固定液。
- 2. アセトンは有機溶媒として脱水作用とタンパク質変性凝固作用によって組織を固定しますが、メチレン架橋は形成しません。正しくは:主な作用はタンパク質の変性凝固と脱水です。酵素組織化学検査など、特定の目的で用いられます。選びやすい理由:迅速固定や酵素活性を保持したい場合に用いられるため、固定液の一つとして認識されやすいです。混同注意:アルコール系の脱水性・凝固性固定液。
- 3. エタノールはタンパク質を変性・凝固させ、脱水することで組織を固定しますが、メチレン架橋を形成する作用はありません。正しくは:主な作用はタンパク質の変性凝固と脱水です。細胞診標本の固定によく使われます。選びやすい理由:細胞診の固定で広く使われるため、非常に一般的な固定液です。混同注意:アセトンなど、他の脱水性・凝固性固定液。
- 4. ピクリン酸はタンパク質を凝固させ、ピクリン酸塩を形成することで組織を固定しますが、メチレン架橋の形成とは異なります。正しくは:主な作用はタンパク質の凝固・沈殿であり、黄色の色素が付着するという特徴があります。選びやすい理由:ブアン液の主成分として知られ、組織固定に用いられます。混同注意:他のタンパク質凝固性固定液。
- 5. 正解。ホルマリン(ホルムアルデヒド)は、組織中のタンパク質のアミノ基と反応し、メチレン架橋(-CH2-)を形成することで、タンパク質分子間を結合させ、組織構造を安定化させます。この作用は非凝固性固定に分類されます。
国試ポイント
組織固定液の作用機序は、国家試験で頻繁に問われる重要項目です。特にホルマリンの「メチレン架橋形成」は、その代表的な作用として必ず押さえておく必要があります。他にも、固定液を「凝固性固定液」と「非凝固性固定液(添加性固定液)」に分類し、それぞれの代表例と作用機序を理解しておくことが求められます。
混同注意
メチレン架橋を形成する「非凝固性固定液」であるホルマリンと、タンパク質を変性・凝固させる「凝固性固定液」(例:アルコール、アセトン、酢酸、ピクリン酸)との作用機序の区別が混同されやすい点です。また、グルタルアルデヒドも架橋結合を形成しますが、メチレン架橋はホルムアルデヒド特有のものです。
次に同じ論点が出たら
類似問題が出た場合、まず問われている固定液の「作用機序(凝固性か非凝固性か)」と「具体的な化学反応(架橋形成、変性、沈殿など)」に注目します。特に架橋結合の有無、およびその種類(メチレン架橋など)がキーワードとなります。
関連知識
凝固性固定液: タンパク質を物理的に凝固・沈殿させる。例:エタノール、アセトン、メタノール、酢酸、ピクリン酸、昇汞。非凝固性固定液(添加性固定液): タンパク質と化学的に結合(架橋)して固定する。例:ホルマリン、グルタルアルデヒド、オスミウム酸。各固定液の長所・短所、用途(例:細胞診、酵素組織化学、電子顕微鏡)。複合固定液(ブアン液、カルノア液、ザンボーニ液など)の組成と特徴。