遺伝子解析の際に推奨される脱灰液はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
遺伝子解析を目的とした組織検体の脱灰では、DNAやRNAの品質を保つことが非常に重要です。強酸性の脱灰液は、骨組織を迅速に脱灰する一方で、核酸を分解したり変性させたりするリスクが高いです。一方、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)は、カルシウムイオンをキレート(捕捉)することによって脱灰を行います。この方法は組織や核酸へのダメージが極めて少ないため、その後の遺伝子解析(PCR、シーケンスなど)に適した検体を得ることができます。ただし、EDTAによる脱灰は酸性脱灰液に比べて時間がかかります。
選択肢ごとの解説
- 1. 塩酸は強酸であり、DNAの分解を促進するため、遺伝子解析を目的とした検体には不適切です。正しくは:遺伝子解析目的の検体脱灰には使用しない。骨などの形態観察や免疫染色には使用されることがあるが、それでもDNA/RNAに影響は大きい。選びやすい理由:一般的な脱灰液として知られているため、選択肢として認識しやすい。混同注意:通常の病理組織学的検査における迅速脱灰液の一つとして混同しやすい。
- 2. 硝酸も強酸であり、DNAの分解を強く促進するため、遺伝子解析を目的とした検体には適しません。正しくは:遺伝子解析目的の検体脱灰には使用しない。選びやすい理由:強力な脱灰作用を持つため、脱灰液として広く知られている。混同注意:他の強酸性脱灰液と同様に、核酸保存への影響を考慮せずに選択してしまう可能性がある。
- 3. トリクロロ酢酸も強酸であるため、DNAを変性・分解させる作用があり、遺伝子解析には不向きです。正しくは:遺伝子解析目的の検体脱灰には使用しない。選びやすい理由:タンパク質の沈殿など、生化学で用いられる試薬として馴染みがあるため、脱灰液としても有効だと誤解するかもしれない。混同注意:強酸性脱灰液の一つとして、その特性を詳しく知らない場合に混同しやすい。
- 4. 正解。EDTAはカルシウムイオンをキレート捕捉することで脱灰作用を示します。この方法は酸による組織や核酸(DNA/RNA)の損傷を最小限に抑えることができるため、遺伝子解析を目的とした検体の脱灰に最も推奨されます。
- 5. プランク・リクロ液はホルミルサリチル酸や塩酸を含む強酸性の脱灰液であり、DNAを損傷するリスクが高いため、遺伝子解析には適していません。正しくは:遺伝子解析目的の検体脱灰には使用しない。選びやすい理由:一般的な脱灰液の一つとして名前を知っている学生がいる場合、選択肢として魅力的に見えるかもしれない。混同注意:他の強酸性脱灰液と、核酸への影響という観点で区別がついていない場合。
国試ポイント
病理組織学検査における脱灰液の種類とその特性(特に核酸への影響)に関する知識が問われています。遺伝子解析など、特殊な目的での検体処理における適切な試薬選択能力が評価されます。強酸性脱灰液とキレート剤による脱灰の違いを理解しておくことが重要です。
混同注意
強酸性脱灰液(塩酸、硝酸、トリクロロ酢酸、プランク・リクロ液など)は、迅速な脱灰が可能ですが、核酸や酵素活性を損なうリスクが高いです。EDTAは核酸保存に適していますが、脱灰に時間がかかります。目的によって使い分けが必要であることを混同しないように注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、他の核酸保存に配慮した固定液や処理方法(例:PFA固定、RNAlater使用など)についても知識が問われる可能性があります。また、脱灰後の組織診断の制約(石灰化が残存した場合など)についても理解を深めておきましょう。
関連知識
病理組織学における組織処理の基本工程(固定、脱灰、脱水、透徹、包埋、薄切、染色)、各工程で使用される試薬の種類と特徴、特に固定液(ホルマリン、ブアン液など)や脱灰液が核酸やタンパク質に与える影響。FISH法、PCR法、次世代シーケンサーなどの分子病理学的手法と、それに適した検体処理。