細胞診検査材料のうち、最も低速遠心で集細胞法を行うのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
髄液は、健常時では細胞数が非常に少なく(通常5細胞/μL以下)、採取される細胞もリンパ球などの脆弱な細胞が多いため、細胞の損傷を最小限に抑え、かつ効率よく細胞を回収するために、他の検体よりも格段に低い遠心分離速度(一般的には500rpm以下、数分間)が推奨されます。これにより、細胞の破壊を防ぎつつ、診断に必要な細胞をスライドガラス上に集めることができます。
選択肢ごとの解説
- 1. 尿検体の場合、比重が髄液より高いため、比較的高い遠心分離速度で細胞を沈殿させます。正しくは:尿は髄液より高い遠心分離速度を用いる。選びやすい理由:体腔液や体液の一種であり、細胞診でよく扱われる検体であるため、低速遠心を用いると誤解する可能性がある。混同注意:他の体腔液や分泌液と同じように低速遠心で処理すると混同しやすい。
- 2. 胸水は体腔液の一つであり、細胞密度や粘度により異なりますが、一般的に髄液より高い遠心分離速度が用いられます。正しくは:胸水は髄液より高い遠心分離速度を用いる。選びやすい理由:体腔液であるため、低速遠心と関連付けやすい。混同注意:低蛋白、低細胞数の体腔液全般と混同しやすいが、髄液は特に細胞数が少なく、脆弱なため。
- 3. 膵液は消化酵素を含むため細胞が自己消化されやすく、迅速な処理が必要ですが、細胞密度や比重から髄液より高い遠心分離速度で集細胞します。正しくは:膵液は髄液より高い遠心分離速度を用いる。選びやすい理由:消化液であり、細胞が変性しやすいため、デリケートな処理が必要と考えるかもしれないが、それが低速遠心に直結するわけではない。混同注意:細胞の脆弱性を考慮する点では共通するが、遠心速度の基準は異なる。
- 4. 正解。髄液(脳脊髄液)は、通常、細胞数が非常に少なく、細胞自体も脆弱であるため、細胞の破壊を防ぎつつ効率よく集細胞するために最も低速で遠心分離を行います。一般的に、他の体腔液や排泄物よりも低い遠心速度(例: 500rpm以下)が推奨されます。
- 5. 胆汁は消化液であり、粘度が高く、細胞も比較的しっかりしていることが多いですが、髄液よりは高い遠心分離速度で集細胞します。正しくは:胆汁は髄液より高い遠心分離速度を用いる。選びやすい理由:消化液であるため、特殊な処理が必要と考えるかもしれないが、それが低速遠心に直結するわけではない。混同注意:他の消化液や粘性のある体液と混同しやすい。
国試ポイント
細胞診における各種検体の特性と、それに合わせた適切な検体処理(特に遠心分離の条件)について問われる問題です。特に細胞数の少ない検体や細胞が脆弱な検体に対する配慮がポイントとなります。髄液は細胞数、細胞の脆弱性、診断の緊急性から、特殊な処理が求められることを理解しておく必要があります。
混同注意
他の体腔液(胸水、腹水など)や尿といった、比較的細胞数が少なくても一般的な速度で遠心分離を行う検体と混同しやすい。髄液は特に細胞数が極めて少なく、細胞が脆弱であるという点で他の検体と区別される。
次に同じ論点が出たら
次に類似の問題が出た場合、検体の細胞密度、細胞の種類(脆弱性)、診断の緊急性を考慮して、最も細胞にダメージを与えずに回収できる方法を選ぶ視点が必要です。
関連知識
細胞診の検体処理方法(塗抹法、固定法、染色法)、各種体腔液・分泌液の細胞学的特徴、遠心分離の原理と細胞への影響(G値と回転数)、細胞の種類と脆弱性。