Ⅲ型高脂血症として正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
Ⅲ型高脂血症では、カイロミクロンとVLDLの代謝障害により、これらの残渣(カイロミクロン残渣、VLDL残渣/β-VLDL)が血中に蓄積します。これらのリポ蛋白残渣はトリグリセライドとコレステロールを豊富に含んでいるため、血中のトリグリセライドおよびコレステロール値がともに上昇します。
選択肢ごとの解説
- 1. Ⅲ型高脂血症はカイロミクロン残渣やVLDL残渣が蓄積するタイプであり、トリグリセライド値は上昇しますが、その主な病態は動脈硬化です。急性膵炎は、主に高トリグリセライド血症(特に1000 mg/dL以上)によって引き起こされることが多く、これは特にⅠ型やⅤ型高脂血症で顕著です。Ⅲ型が直接的に膵炎の主要な原因となることは稀です。正しくは:急性膵炎の主要な原因となるのは、重度の高トリグリセライド血症を伴うⅠ型やⅤ型高脂血症である。選びやすい理由:高脂血症全体でトリグリセライドが高い場合は膵炎のリスクが高まるという一般的な知識から、誤って選んでしまう可能性がある。混同注意:Ⅰ型高脂血症やⅤ型高脂血症(Chylomicronemia syndrome)と混同する可能性がある。
- 2. アキレス腱黄色腫は、主にⅡ型高脂血症(家族性高コレステロール血症)に特徴的な身体所見です。Ⅲ型高脂血症では、手掌や肘、膝などに扁平黄色腫(palmoplantar xanthomasやtuberoeruptive xanthomas)が見られることが多いです。正しくは:アキレス腱黄色腫はⅡ型高脂血症(家族性高コレステロール血症)に特徴的である。Ⅲ型高脂血症では扁平黄色腫などが観察される。選びやすい理由:高脂血症と黄色腫という関連性から、詳細を混同して選んでしまう可能性がある。混同注意:Ⅱ型高脂血症(家族性高コレステロール血症)と混同する可能性がある。
- 3. Ⅲ型高脂血症は、異常なリポ蛋白(β-VLDL)が蓄積するため、強力な動脈硬化促進因子となります。重度の動脈硬化、特に末梢動脈疾患を引き起こしやすいことで知られています。正しくは:動脈硬化の強力な原因となる。選びやすい理由:高脂血症はすべて動脈硬化の原因になるということを逆手に取ったひっかけで、誤って選んでしまう可能性がある。混同注意:高脂血症と動脈硬化の関係性について、特定の型との関連性を誤解する可能性がある。
- 4. 正解。Ⅲ型高脂血症は、リポ蛋白リパーゼによるカイロミクロンとVLDLの分解が不完全であるために、これらの中間代謝産物であるカイロミクロン残渣(CM remnant)とVLDL残渣(IDL、β-VLDL)が血中に蓄積します。これらの残渣はコレステロールとトリグリセライドの両方を豊富に含むため、結果として血中トリグリセライド値も上昇します(ただし、コレステロール値も上昇する)。
- 5. Ⅲ型高脂血症の主要な原因は、アポリポ蛋白E(ApoE)の遺伝子異常(特にApoE2/E2ホモ接合体)です。ApoEはカイロミクロン残渣やVLDL残渣が肝臓に取り込まれる際の重要なリガンドであり、その機能不全がこれらのリポ蛋白のクリアランス障害を引き起こします。アポリポ蛋白C2(ApoC-Ⅱ)の欠損や機能異常は、主にⅠ型高脂血症(家族性リポ蛋白リパーゼ欠損症)の原因となります。正しくは:アポリポ蛋白Eの遺伝子異常が病因である。選びやすい理由:アポリポ蛋白の異常が原因であることは正しいが、具体的なアポリポ蛋白の種類を混同して選んでしまう可能性がある。混同注意:Ⅰ型高脂血症(家族性リポ蛋白リパーゼ欠損症)の病因であるアポリポ蛋白C2の異常と混同する可能性がある。また、アポリポ蛋白Eの役割に関する知識と混同する可能性がある。
国試ポイント
高脂血症の各タイプ(特にフレデリクソン分類)における主要な異常リポ蛋白、原因遺伝子、脂質異常のパターン(コレステロール、トリグリセライドの上昇)、および特徴的な臨床所見を正確に理解しているかが問われる。特に、それぞれの型に特異的なアポリポ蛋白の異常や身体所見は重要。
混同注意
各型高脂血症の病態、原因となるアポリポ蛋白、特徴的な身体所見が混同しやすい。特に、Ⅰ型(ApoC-Ⅱ欠損、重度高TG血症)、Ⅱ型(LDL受容体異常、高LDL-C、腱黄色腫)、Ⅲ型(ApoE2/E2、β-VLDL、高TG/高TC、扁平黄色腫)は区別して理解する必要がある。
次に同じ論点が出たら
次にⅢ型高脂血症が問われた場合、その特徴的な脂質プロファイル(高トリグリセライド血症と高コレステロール血症の併発)、異常リポ蛋白(β-VLDL)、原因遺伝子(ApoE2/E2)、そして特有の黄色腫(扁平黄色腫)のいずれかを問われる可能性が高い。
関連知識
フレデリクソン分類、各高脂血症の遺伝的背景、リポ蛋白代謝経路、アポリポ蛋白の種類とその機能(ApoE、ApoC-Ⅱなど)、脂質異常症の臨床症状(黄色腫の種類と部位、膵炎、動脈硬化)。