神経伝導検査で評価できる神経線維はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
神経伝導検査は、末梢神経の有髄線維、特に太い運動神経線維や感覚神経線維の伝導速度や活動電位を測定することで、神経機能障害の有無や種類を評価する検査です。Aα線維は、最も太い有髄線維であり、運動神経線維(骨格筋を支配)および筋紡錘からの感覚神経線維(Ia線維)に分類されます。これらの線維は伝導速度が速く、電位も大きく検出が容易であるため、神経伝導検査の主要な評価対象となります。したがって、選択肢の中で神経伝導検査で最も直接的かつ一般的に評価されるのはAα線維です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。神経伝導検査は、主に有髄の太い運動神経線維や感覚神経線維の伝導速度や活動電位を評価します。Aα線維は、最も太く伝導速度が速い有髄線維であり、運動神経線維(骨格筋への運動指令)および一部の感覚神経線維(筋紡錘からのIa群線維など)に分類されるため、神経伝導検査の主要な評価対象となります。
- 2. Aγ線維は、筋紡錘内の錘内筋線維(筋の長さの感覚受容器)を支配する運動神経線維ですが、その太さや数がAα線維に比べて小さく、通常の神経伝導検査で単独で評価することは困難です。正しくは:Aγ線維は筋紡錘内の錘内筋線維を支配する運動神経線維であり、通常の神経伝導検査の主要な評価対象ではありません。選びやすい理由:A線維群に属し、運動に関わるため、Aα線維と同じように評価できると誤解しやすいかもしれません。混同注意:Aα線維(骨格筋を支配)とAγ線維(筋紡錘を支配)の機能的な違いや、神経伝導検査の検出限界について混同する可能性があります。
- 3. Aδ線維は、比較的細い有髄線維で、痛覚(速い痛み)や温度覚、圧覚などを伝達します。神経伝導検査で評価されることはありますが、通常、一般的な神経伝導検査の主要な目的はAα線維の評価であり、Aδ線維の評価は特殊な感覚神経伝導検査(例えば、皮膚生検を伴う小径線維ニューロパチーの評価など)に限られます。問題文の「神経伝導検査」は一般的にAα線維の評価を指すことが多いです。正しくは:Aδ線維は痛覚や温度覚を伝える細い有髄線維であり、一般的な神経伝導検査の主要な評価対象ではありません。特殊な検査でのみ評価されます。選びやすい理由:A線維群に属し、感覚伝導に関わるため、Aα線維と同じく評価対象になると考えるかもしれませんが、その太さと機能(痛み・温度覚)の違いから主要な対象ではないことに注意が必要です。混同注意:A線維群の他の線維(特にAα線維やAβ線維)との機能的・構造的違いや、神経伝導検査が対象とする主要な線維の種類について混同しやすいです。
- 4. B線維は自律神経系の節前線維に分類される有髄線維で、一般的に神経伝導検査の対象とはなりません。神経伝導検査は主に末梢神経の運動・感覚線維を評価します。正しくは:B線維は自律神経系の節前線維であり、神経伝導検査の対象外です。選びやすい理由:有髄線維であるため、伝導速度の評価が可能だと思ってしまうかもしれませんが、その機能と場所から通常の検査対象ではありません。混同注意:自律神経と体性神経の区別、およびそれぞれの神経線維が伝達する情報や評価方法について混同する可能性があります。
- 5. C線維は無髄線維で、痛覚(遅い痛み)、温度覚、かゆみ、自律神経の節後線維などを伝達します。伝導速度が極めて遅く、通常の神経伝導検査では評価が困難であり、測定も一般的ではありません。正しくは:C線維は無髄線維で伝導速度が非常に遅く、一般的な神経伝導検査の評価対象ではありません。選びやすい理由:感覚を伝えるため、感覚神経の評価という点で選んでしまうかもしれませんが、無髄で伝導速度が遅いという特性から一般的な神経伝導検査には不向きです。混同注意:有髄線維と無髄線維の違い、およびそれぞれの伝導速度や神経伝導検査での評価のしやすさについて混同する可能性があります。
国試ポイント
神経線維の分類(A, B, C線維、およびA線維内のサブタイプ)、それぞれの特徴(有髄/無髄、太さ、伝導速度、伝達する情報)、および主要な検査法(特に神経伝導検査)との関連性が頻出ポイントです。どの線維がどの機能を持ち、どの検査で評価されるかを正確に理解しているかが問われます。
混同注意
A線維群(Aα, Aβ, Aγ, Aδ)の機能と太さ、伝導速度の区別。自律神経線維(B, C線維の一部)と体性神経線維の区別。神経伝導検査で「評価可能」な線維と「主要な評価対象」となる線維のニュアンスの違い。
次に同じ論点が出たら
問題文が「一般的な神経伝導検査」を指すのか、「特殊な神経伝導検査」も含むのかを注意深く読む。各選択肢の線維が「有髄か無髄か」、「太いか細いか」、「伝達する情報が何か」を素早く判断する。特に、運動神経と感覚神経のどちらの機能を持つかを意識する。
関連知識
神経線維の分類には、Erlanger-Gasserの分類(A, B, C線維)とLloydの分類(Ia, Ib, II, III, IV線維)があり、Aα線維はLloydのIa線維に相当します。各神経線維の機能と伝導速度も重要で、Aαは運動・固有受容感覚(約70-120 m/s)、Aβは触圧覚・振動覚・固有受容感覚(約30-70 m/s)、Aγは筋紡錘錘内筋への運動支配(約15-30 m/s)、Aδは痛覚(速い)・温度覚(約5-30 m/s)、Bは自律神経節前線維(約3-15 m/s)、Cは痛覚(遅い)・温度覚・かゆみ・自律神経節後線維(約0.5-2 m/s)です。神経伝導検査は、末梢神経に電気刺激を与え、誘発される複合筋活動電位(CMAP)や感覚神経活動電位(SNAP)を記録し、その振幅、潜時、伝導速度などを分析します。主に太い有髄線維の異常を検出するのに優れています。