交差適合試験の主試験において、生理食塩液法陰性、間接抗グロブリン試験陽性となる原因として最も考えられるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
生理食塩液法は、主にIgM抗体(完全抗体)や非常に強力なIgG抗体(不完全抗体)を検出するのに適していますが、IgG抗体のほとんどは生理食塩液中では赤血球を直接凝集させることができません。一方、間接抗グロブリン試験(クームス試験)は、IgG抗体(不完全抗体)が生理食塩液中では凝集を起こさないが赤血球表面に結合している場合に、抗ヒトグロブリン血清(抗IgG抗体)を添加することでIgG抗体同士を架橋させ、赤血球凝集を引き起こす検出法です。Jk抗体(Kidd抗体)は、輸血副作用の原因となる代表的なIgG不規則抗体であり、生理食塩液法では陰性でも、間接抗グロブリン試験で陽性となる典型例です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。Jk抗体(Kidd抗体)は不規則抗体の一種で、通常、生理食塩液法では検出されにくく、間接抗グロブリン試験(抗ヒトグロブリン血清を用いることで抗体が架橋して凝集する)で検出されます。これは溶血性輸血副作用の原因となる可能性があります。
- 2. Rh血液型不適合による抗D抗体などのRh抗体は、不規則抗体ですが、通常は生理食塩液法でも反応を示すことがあります。特に強力な抗体であれば凝集が見られます。また、間接抗グロブリン試験で検出されるのは同じですが、生理食塩液法で『陰性』であるという条件には合致しません。正しくは:Rh抗体は生理食塩液法でも反応を示すことがあるため、生理食塩液法で陰性という今回の条件とは一致しません。選びやすい理由:Rh不適合は輸血医療において重要な不適合反応であり、不規則抗体として間接抗グロブリン試験で検出されるため、選択肢として魅力的です。混同注意:Jk抗体とRh抗体はどちらも不規則抗体ですが、生理食塩液法での検出感度に差があることを混同しやすいです。
- 3. ABO血液型不適合の場合、自然抗体である抗A抗体や抗B抗体は、通常、生理食塩液法で非常に強く反応します(主凝集)。この問題文では生理食塩液法で陰性であるため、ABO不適合は考えにくいです。正しくは:ABO不適合の場合、生理食塩液法で強い凝集反応を示すため、この問題の条件とは異なります。選びやすい理由:ABO不適合は最も重篤な輸血副作用を引き起こすため、輸血関連の問題では常に考慮される選択肢です。混同注意:間接抗グロブリン試験とABO式の直接凝集反応のメカニズムと検出法を混同する可能性があります。
- 4. 冷式自己抗体(例:抗I抗体)は低温で反応し、生理食塩液法では室温(20-24℃)で凝集を示すことがありますが、体温では反応しないか、非常に弱くなります。間接抗グロブリン試験で陽性となることもありますが、問題文の『生理食塩液法陰性』という条件と必ずしも一致しません。また、自己抗体は通常、同種輸血反応の原因とはなりにくいです。正しくは:冷式自己抗体は低温で反応し、体温下では反応が弱まるか見られません。交差適合試験の条件によっては生理食塩液法で凝集が見られることもあり、『陰性』という条件には完全には合致しません。選びやすい理由:自己抗体も間接抗グロブリン試験で陽性となることがあるため、誤って選択してしまう可能性があります。混同注意:自己抗体と不規則抗体(同種抗体)による反応の違い、および反応温度を混同する可能性があります。
- 5. 汎血球凝集反応は、多くの赤血球に反応する抗体(例:汎反応性抗体)や、赤血球が原因で非特異的に凝集を起こす状態を指します。間接抗グロブリン試験で陽性となる可能性はありますが、生理食塩液法でも凝集が見られることが多いため、『生理食塩液法陰性』という条件には合致しません。正しくは:汎血球凝集反応は、生理食塩液法でも凝集が見られることが多いため、この問題の条件とは異なります。選びやすい理由:広範な凝集を示す状態として、間接抗グロブリン試験での陽性反応を連想させることがあります。混同注意:特異的な抗体による反応と、非特異的な、あるいは広範な凝集を引き起こす状態を混同する可能性があります。
国試ポイント
交差適合試験における各検査法の検出感度と、主要な血液型抗体(特に不規則抗体)の性質を理解しているかを問う問題です。生理食塩液法で検出されにくいが間接抗グロブリン試験で検出されるIgG抗体の特徴を理解していることが重要です。
混同注意
Rh抗体もIgG抗体であり間接抗グロブリン試験で検出されるため混同しやすいですが、Rh抗体はJk抗体よりも比較的生理食塩液法で凝集を示しやすい場合がある点が異なります。また、ABO不適合は生理食塩液法で強く検出されるため、鑑別が容易です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、生理食塩液法で検出されにくいが間接抗グロブリン試験で検出される抗体の特徴(IgG不完全抗体)と、その代表例(Jk、Fy、一部のRhなど)を問う可能性が高いです。また、逆のパターン(生理食塩液法で陽性だが間接抗グロブリン試験で陰性または反応が弱い)を問う問題も考えられます(例:一部の冷式抗体)。
関連知識
交差適合試験(主試験、副試験)、間接抗グロブリン試験の原理、IgM抗体とIgG抗体の特性、主要な不規則抗体(Rh, Kell, Kidd, Duffyなど)の検出法と臨床的意義。