尿沈渣の無染色、強拡大標本(別冊No. 1)を別に示す。この構造物が生成される疾患はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
画像は「リン酸アンモニウムマグネシウム結晶(struvite)」であり、これは尿路感染症の原因菌である尿素分解酵素産生菌(例: Proteus spp.)による尿素分解で尿がアルカリ化し、アンモニアとマグネシウムとリン酸が結合することで形成されるため、慢性尿路感染症と関連が深い。
選択肢ごとの解説
- 1. 痛風では尿酸結晶がみられる。尿酸結晶は一般的に菱形や樽型、ロゼット型など多様な形態を示すが、画像のようなリン酸アンモニウムマグネシウム結晶の形状とは異なる。正しくは:痛風では尿酸結晶が形成される。選びやすい理由:尿沈渣で結晶がみられるという共通点から、結晶性疾患として誤って選択しやすい。混同注意:尿酸結晶
- 2. 正解。画像はリン酸アンモニウムマグネシウム結晶(ストラバイト結晶)である。この結晶は尿素分解酵素を産生する細菌による尿路感染症、特に慢性尿路感染症で尿がアルカリ性に傾くことで形成されやすい。選びやすい理由:正答であるため特になし。
- 3. 腫瘍崩壊症候群では、細胞の崩壊により核酸が多量に放出され、尿酸が過剰に生成されるため、尿酸結晶が多く出現する。画像のようなリン酸アンモニウムマグネシウム結晶とは異なる。正しくは:腫瘍崩壊症候群では尿酸結晶が形成される。選びやすい理由:血中の代謝産物が増加し結晶を形成するという共通点から、関連する疾患として誤って選択しやすい。混同注意:尿酸結晶
- 4. 副甲状腺機能亢進症では高カルシウム血症を来し、尿中へのカルシウム排泄が増加するため、シュウ酸カルシウム結晶やリン酸カルシウム結晶が形成されやすい。画像のようなリン酸アンモニウムマグネシウム結晶とは異なる。正しくは:副甲状腺機能亢進症ではシュウ酸カルシウム結晶やリン酸カルシウム結晶が形成される。選びやすい理由:腎結石の原因となる疾患として誤って選択しやすい。混同注意:シュウ酸カルシウム結晶、リン酸カルシウム結晶
- 5. 溶血性尿毒症症候群は、微小血管症性溶血性貧血、血小板減少、急性腎障害を主徴とする疾患であり、尿沈渣では赤血球円柱や顆粒円柱、赤血球などがみられるが、特定の結晶の形成とは直接関連しない。正しくは:溶血性尿毒症症候群では、赤血球円柱や顆粒円柱、赤血球がみられる。選びやすい理由:腎臓に関連する疾患であるため、尿沈渣の異常と結びつけて誤って選択しやすい。混同注意:赤血球円柱、顆粒円柱
国試ポイント
尿沈渣における結晶の種類と、それが関連する疾患・病態を結びつけて覚えること。
混同注意
尿中にみられる様々な結晶(尿酸結晶、シュウ酸カルシウム結晶など)はそれぞれ特徴的な形態を持つため、形状の違いを正確に識別することが重要である。
次に同じ論点が出たら
今後同様の画像問題が出題された際は、まず結晶の形状(今回であれば長方形の角柱状で、両端が斜めにカットされている特徴的な形状)から結晶の種類を特定し、その結晶がどのような尿性状(酸性かアルカリ性かなど)で出現しやすいか、そしてその尿性状を引き起こす疾患を判断する。
関連知識
リン酸アンモニウムマグネシウム結晶は、別名「ストラバイト結晶」または「三角フラスコ状結晶」「棺蓋状結晶」とも呼ばれ、アルカリ尿で出現しやすい。尿路結石の原因となることもあり、感染性結石として治療方針が異なる点も重要。