酵素活性測定の酵素と基質の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
α-アミラーゼの活性測定には、澱粉のような天然基質の他に、4,6-エチリデン-4-ニトロフェニル-マルトヘプタシドのような合成基質が使用されます。この合成基質はα-アミラーゼによって分解されることで、色の変化などを利用して酵素活性を測定することが可能です。他の選択肢では、示されている物質が基質ではなく、生成物、補酵素、あるいは活性化剤であり、それぞれの酵素における役割が正しくありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 4-ニトロフェノールは、ALP(アルカリホスファターゼ)活性測定において、酵素反応によって生成される物質であり、基質ではありません。正しくは:ALPの活性測定における基質はp-ニトロフェニルリン酸です。選びやすい理由:ALPの測定に「ニトロフェノール」という言葉が関連するため、正しい選択肢のように感じられる可能性があります。混同注意:酵素反応における基質(p-ニトロフェニルリン酸)と生成物(4-ニトロフェノール)の区別が混同されやすいです。
- 2. L-グルタミンはALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)の主要な基質ではありません。ALTはL-アラニンとα-ケトグルタル酸を基質とします。正しくは:ALTの基質はL-アラニンとα-ケトグルタル酸です。選びやすい理由:アミノトランスフェラーゼの名称やアミノ酸関連の物質であることから、L-グルタミンが基質であると誤解しやすいかもしれません。混同注意:基質であるL-アラニンやα-ケトグルタル酸、および生成物であるL-グルタミン酸とL-グルタミンが混同されることがあります。
- 3. ピリドキサルリン酸(PLP)は、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)の補酵素であり、酵素が作用する基質ではありません。酵素反応を助ける役割を担います。正しくは:ASTの基質はL-アスパラギン酸とα-ケトグルタル酸です。選びやすい理由:ピリドキサルリン酸がアミノトランスフェラーゼの活性に不可欠な成分であるため、基質と勘違いしやすいことがあります。混同注意:酵素の基質と補酵素(または補助因子)の役割が混同されやすいです。
- 4. N-アセチルシステイン(NAC)はCK(クレアチンキナーゼ)活性測定において、酵素を安定化させ、活性化させるための試薬であり、酵素が作用する基質ではありません。正しくは:CKの基質はクレアチンリン酸とADP(またはクレアチンとATP)です。選びやすい理由:NACがCK測定法の重要な構成要素であるため、基質と誤って認識しやすいかもしれません。混同注意:酵素活性化剤と酵素が分解・変換する基質の区別が混同されやすいです。
- 5. 正解。4,6-エチリデン-4-ニトロフェニル-マルトヘプタシドは、α-アミラーゼ活性測定に広く用いられる合成基質の一つです。この基質はα-アミラーゼによって特異的に分解され、生成物の吸光度変化から酵素活性を測定します。国際臨床化学連合(IFCC)勧告法でも推奨されています。
国試ポイント
臨床検査技師国家試験では、主要な酵素の活性測定原理、特にその酵素が作用する『基質』、反応によって『生成される物質』、反応に必要な『補酵素』や『活性化剤』など、各成分の役割を正確に理解しているかが問われます。それぞれの物質が酵素反応のどの段階でどのように関与するかを把握しておくことが重要です。
混同注意
酵素活性測定においては、基質、生成物、補酵素、活性化剤、阻害剤といった各成分の役割が混同されやすいです。特に名称が似ている物質や、測定系に必須の物質であっても、その役割が基質ではない場合があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、まず問題文が「基質」を求めているのか、あるいは「補酵素」「生成物」「活性化剤」といった他の成分を求めているのかを明確に識別することが重要です。その上で、各酵素の標準的な測定法におけるこれら物質の正しい名称と役割を迅速に想起できるかを確認し、選択肢がその役割と一致しているかを判断します。
関連知識
ALP活性測定ではp-ニトロフェニルリン酸が基質で4-ニトロフェノールが生成物です。ALT/AST活性測定ではL-アラニン/L-アスパラギン酸とα-ケトグルタル酸が基質で、ピリドキサルリン酸は補酵素です。CK活性測定ではクレアチンリン酸とADPが基質で、N-アセチルシステインは活性化剤として機能します。これらの物質の正確な役割を理解しておく必要があります。