反復神経刺激検査の小指外転筋における記録波形(別冊No. 4)を別に示す。この現象に関わるのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
神経筋接合部において、神経インパルスが神経終末に到達すると、電位依存性カルシウム(Ca)チャネルが開口し、細胞外から神経終末内にCaイオンが流入する。このCaイオンの流入が引き金となって、アセチルコリンがシナプス間隙に放出される。放出されたアセチルコリンが筋細胞膜上の受容体に結合することで、筋収縮が誘発される。したがって、この一連の現象、特に神経伝達物質の放出にはCaイオンが不可欠である。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。神経筋接合部でのアセチルコリン放出には、神経終末へのCaイオンの流入が不可欠である。反復神経刺激検査で観察される脱分極および後の神経伝達物質放出は、Caイオンが重要な役割を担う。
- 2. Clイオンは主に細胞膜の過分極や静止膜電位の維持に関与するが、神経筋接合部における興奮性神経伝達物質の放出や筋収縮の直接的なトリガーとしては機能しない。正しくは:ClイオンはGABA受容体やグリシン受容体を介して抑制性シナプス後電位を形成し、過分極や脱分極の抑制に関わる。選びやすい理由:イオンチャネル全般の知識から、神経活動に関わると考えやすいかもしれないが、アセチルコリン放出の直接的なトリガーではない。混同注意:静止膜電位や抑制性シナプス後電位に関わるイオンと混同しやすい。
- 3. Kイオンは主に細胞外への流出によって再分極を担い、活動電位の終結に関与する。神経筋接合部におけるアセチルコリン放出の直接的なトリガーではない。正しくは:Kイオンチャネルは活動電位の再分極と静止膜電位の維持に重要な役割を果たす。選びやすい理由:活動電位の発生と消滅に不可欠なイオンであるため、神経活動全体に関わると考えやすい。混同注意:活動電位の発生に関わるNaイオンや、興奮収縮連関に関わるCaイオンと混同しやすい。
- 4. Mgイオンは神経筋接合部においてCaイオンと競合し、アセチルコリン放出を抑制する作用がある。したがって、この現象の主役ではない。正しくは:MgイオンはCaチャネルをブロックすることで、神経終末からのアセチルコリン放出を抑制する。選びやすい理由:Caイオンと関連があるため、選択肢として魅力的だが、Caイオンとは逆の作用を持つ。混同注意:Caイオンの役割や、Mgイオンの拮抗作用を理解していないと誤解しやすい。
- 5. Naイオンは神経線維や筋細胞の活動電位の脱分極相に主要な役割を果たすが、神経終末からのアセチルコリン放出の直接的な引き金ではない。正しくは:Naイオンの細胞内流入が、活動電位の立ち上がり(脱分極)を引き起こす。選びやすい理由:活動電位の発生に最も関連の深いイオンであるため、神経活動全体に関わると考えやすい。混同注意:活動電位の発生に関わるNaイオンと、神経伝達物質放出に関わるCaイオンの役割を混同しやすい。
国試ポイント
神経伝達物質(特にアセチルコリン)の放出機序と、それに伴うイオンの役割について理解しているかが問われている。特にCaイオンが神経筋接合部でのアセチルコリン放出のトリガーとなることを正確に覚えているかが重要である。
混同注意
活動電位の発生に関わるNaイオンやKイオンと、神経伝達物質放出に関わるCaイオンの役割を混同しやすい。また、MgイオンのCaイオン拮抗作用も知識として重要である。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、各イオンが神経伝達のどのフェーズ(活動電位の発生、伝導、神経伝達物質放出、筋収縮)で主要な役割を果たすかを問われる可能性が高い。また、特定の疾患(例:ランバート・イートン症候群)と関連付けてCaチャネルの異常について問われることも考えられる。
関連知識
神経筋接合部の構造と機能、活動電位の発生と伝導、興奮収縮連関、各イオンチャネルの機能、重症筋無力症などの神経筋疾患における神経伝達の異常。