疾患と検査所見の組合せで正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は、GPIアンカー型タンパク質の合成異常により、赤血球表面の補体制御因子であるCD55(DAF: Decay Accelerating Factor)やCD59(MIRL: Membrane Inhibitory Reactive Lysis)が欠損する遺伝性疾患です。これらの因子の欠損により、赤血球が補体による攻撃を受けやすくなり、血管内溶血が起こります。したがって、赤血球細胞表面のCD55欠損はPNHの診断に不可欠な検査所見です。
選択肢ごとの解説
- 1. 腎性貧血はエリスロポエチンの産生不足により赤血球が減少する病態で、赤血球の形態異常による浸透圧抵抗性の変化は通常みられません。正しくは:腎性貧血では血清エリスロポエチンの産生低下、正球性正色素性貧血を呈します。赤血球浸透圧抵抗性は、遺伝性球状赤血球症などで減弱します。選びやすい理由:貧血であることから、赤血球の何らかの異常と結びつけやすいですが、腎性貧血の本質的な病態ではありません。混同注意:遺伝性球状赤血球症などの溶血性貧血と混同しやすいです。
- 2. サラセミアはヘモグロビン合成異常による遺伝性疾患であり、免疫学的機序による赤血球破壊ではないため、直接Coombs試験は通常陰性です。正しくは:サラセミアでは、ヘモグロビン電気泳動で異常ヘモグロビン(例:HbA2高値、HbF高値)が確認されます。直接Coombs試験陽性は自己免疫性溶血性貧血でみられます。選びやすい理由:溶血性貧血という共通点から、他の溶血性貧血の検査所見と混同しがちです。混同注意:自己免疫性溶血性貧血と混同しやすいです。
- 3. 遺伝性球状赤血球症は赤血球膜の異常に起因する溶血性貧血であり、ヘモグロビン構成成分の異常ではありません。HbF高値はサラセミアや再生不良性貧血、骨髄異形成症候群などで見られることがあります。正しくは:遺伝性球状赤血球症では、赤血球浸透圧抵抗性の低下や、末梢血塗抹標本での球状赤血球の増加が特徴的です。選びやすい理由:溶血性貧血であるため、なんらかのヘモグロビン異常と結びつけやすいかもしれません。混同注意:サラセミアなどのヘモグロビン症と混同しやすいです。
- 4. 自己免疫性溶血性貧血では赤血球が破壊されるため、組織の酸素不足を補うために、腎臓からのエリスロポエチン産生は通常亢進します。正しくは:自己免疫性溶血性貧血では、直接Coombs試験陽性や血清間接ビリルビン高値、LDH高値などがみられ、骨髄からの赤血球産生を促進するため血清エリスロポエチンは上昇します。選びやすい理由:貧血があるとエリスロポエチンが影響を受けるという知識から、選択肢を選びやすいかもしれませんが、その方向性が誤りです。混同注意:腎性貧血におけるエリスロポエチン低下と混同しやすいです。
- 5. 正解。発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は、造血幹細胞のPIGA遺伝子異常により、GPIアンカー型タンパク質(CD55、CD59など)が赤血球表面から欠損することで、補体による溶血が起こりやすくなる疾患です。したがって、赤血球細胞表面のCD55欠損はPNHの診断に重要な所見です。
国試ポイント
各疾患の病態生理と、それに直結する特異的な検査所見を正確に理解しているかが問われます。特に溶血性貧血の種類が多く、それぞれ原因や検査所見が異なるため、混同せずに区別できる知識が重要です。
混同注意
各溶血性貧血(遺伝性球状赤血球症、サラセミア、自己免疫性溶血性貧血、発作性夜間ヘモグロビン尿症)の検査所見、および腎性貧血と他の貧血の鑑別。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合は、疾患の根本的な原因と、それによって直接引き起こされる検査所見(特に特異性の高いマーカー)に着目して判断します。
関連知識
PNHにおけるCD59欠損、フローサイトメトリーによる診断、GPIアンカー型タンパク質の機能、補体経路。溶血性貧血の分類(血管内/血管外、遺伝性/後天性、免疫性/非免疫性)。