急性心筋梗塞の診断に用いられないのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
BNPは心不全の診断や重症度評価に用いられるマーカーであり、心筋壊死を直接検出する急性心筋梗塞の診断マーカーとしては適切ではありません。他の選択肢はすべて急性心筋梗塞の診断に利用されるマーカーです。
選択肢ごとの解説
- 1. CK-MBは心筋に特異性が高く、急性心筋梗塞の診断に用いられる主要な酵素マーカーの一つです。正しくは:急性心筋梗塞の診断に用いられます。選びやすい理由:他の選択肢と比べてより古典的なマーカーであり、新しい高感度トロポニンなどと比較されやすいですが、依然として重要なマーカーです。混同注意:CK全体と混同し、骨格筋由来CKの影響を誤解することがあります。
- 2. ミオグロビンは心筋梗塞の発症早期に上昇するため、早期診断に有用ですが、心筋特異性が低いため他の筋肉損傷でも上昇します。正しくは:急性心筋梗塞の診断、特に早期診断に用いられます。選びやすい理由:特異性が低いという点で適切でないと誤解されやすいですが、早期マーカーとしての有用性があります。混同注意:心筋特異性の低い他のマーカーと混同することがあります。
- 3. 心筋トロポニンTは心筋特異性が高く、心筋壊死の非常に感度の高いマーカーであり、急性心筋梗塞診断のゴールドスタンダードの一つです。正しくは:急性心筋梗塞の診断に非常に重要なマーカーとして用いられます。選びやすい理由:現在最も重要視されるマーカーの一つであるため、逆に「これだけではない」と考えてしまう可能性があります。混同注意:トロポニンI(cTnI)と機能や診断的意義を混同することがありますが、どちらも心筋梗塞の診断に用いられます。
- 4. H-FABPは心筋に豊富に存在し、心筋梗塞の発症早期に上昇するため、特に発症早期の診断マーカーとして有用です。正しくは:急性心筋梗塞の診断、特に早期診断に用いられます。選びやすい理由:比較的新しいマーカーであるため、まだ十分に浸透していないと誤解する可能性がありますが、臨床現場で利用されています。混同注意:ミオグロビンと同じく早期マーカーであるため、両者の違いや特性を混同することがあります。
- 5. 正解。BNPは主に心臓の心室から分泌され、心不全の重症度評価や予後予測に用いられるマーカーですが、急性心筋梗塞の診断そのもの(心筋壊死の検出)には直接用いられません。正しくは:BNPは心不全の診断や重症度評価に用いられ、急性心筋梗塞の診断(心筋壊死の検出)には直接用いられません。選びやすい理由:心臓に関連するマーカーであり、心筋梗塞によって心不全を合併することが多いため、心筋梗塞と関連が深いと誤解しやすいです。混同注意:急性心筋梗塞による心不全合併時の評価マーカーと、急性心筋梗塞自体の診断マーカーとを混同することがあります。また、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)も同様に心不全のマーカーです。
国試ポイント
急性心筋梗塞の診断に用いられる代表的なバイオマーカーとその役割を正確に区別できるか、特に心臓関連マーカーであっても用途が異なるものを識別できるかが問われています。特にBNPは心臓関連疾患で頻繁に登場するため、その診断的意義を正しく理解している必要があります。
混同注意
心筋壊死の診断マーカー(トロポニン、CK-MB、ミオグロビン、H-FABPなど)と、心不全の診断・重症度評価マーカー(BNP、NT-proBNPなど)が混同しやすいです。また、各マーカーの特異性や感度、上昇・ピーク・半減期の違いも混同の元になります。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出たら、各心筋マーカーの「特異性」「感度」「上昇・ピーク時間」「用途(診断、早期診断、重症度評価など)」を区別できるかを確認します。
関連知識
急性心筋梗塞の診断基準(WHO基準、ESC/ACC基準、Universal Definitionなど)、心筋マーカーの動態(発症からの時間経過とマーカーの上昇・ピーク・低下)、心筋逸脱酵素の種類とそれぞれの特徴(CK, CK-MB, LD, AST)、トロポニン(T, I)の構造と機能、早期診断マーカーの重要性(ミオグロビン、H-FABP)、心不全の病態生理とBNPの役割。