漏出性腹水に合致する所見はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
漏出性腹水は、血管内の静水圧上昇や膠質浸透圧低下により、主に水分と低分子物質が血管外に漏出したものです。そのため、タンパク質濃度は低く、一般的に2.5g/dL未満が特徴とされます。比重も1.015以下で、LDH値も血清値の半分以下です。混濁は通常なく、pHも血液に近い中性です。選択肢5の総タンパク濃度1.8g/dLは、この漏出性腹水の診断基準に合致する典型的な所見です。
選択肢ごとの解説
- 1. 漏出性腹水は通常、透明または淡黄色の澄んだ液体です。混濁は炎症や感染を伴う滲出性腹水の特徴です。正しくは:漏出性腹水は一般的に透明または淡黄色である。選びやすい理由:腹水の色調変化は様々な病態を反映するため、混濁が病的な状態を示すこと自体は正しいが、漏出性腹水には合致しない。混同注意:細菌感染による腹膜炎などで生じる滲出性腹水の混濁と混同しやすい。
- 2. 腹水のpHが7.20と低い場合、細菌性腹膜炎などの炎症性病態(滲出性腹水)を示唆します。漏出性腹水では通常、血液とほぼ同じpH(7.35~7.45)を保ちます。正しくは:漏出性腹水のpHは通常7.35~7.45である。選びやすい理由:酸性に傾くことが病的な状態と理解できるため、何らかの異常と捉えやすい。混同注意:細菌性腹膜炎(滲出性)における腹水pHの低下と混同しやすい。
- 3. 漏出性腹水の比重は通常1.015以下です。比重1.026は、タンパク質含有量が多い滲出性腹水に合致する所見です。正しくは:漏出性腹水の比重は1.015以下である。選びやすい理由:比重が高くなることが、何らかの体液貯留と関連すると誤解しやすい。また、血液の比重と混同しやすい。混同注意:滲出性腹水の高比重と混同しやすい。血漿比重(約1.025)と比較して考えがちだが、漏出性腹水は血漿成分の一部が漏出したものであるため、通常は血漿より低い比重を示す。
- 4. LD値480U/Lは基準範囲(一般的に200U/L以下)を大幅に超えており、これは炎症や細胞破壊を伴う滲出性腹水の特徴です。漏出性腹水では、LD値は血清LD値の約半分かそれ以下になります。正しくは:漏出性腹水のLD値は血清LD値の半分以下である。選びやすい理由:LD値の高値が様々な疾患でみられるため、病的な状態の指標として捉えやすい。混同注意:悪性腫瘍や感染症による滲出性腹水におけるLD値の上昇と混同しやすい。
- 5. 正解。漏出性腹水は、血管内の浸透圧が低下したり、静水圧が上昇したりすることで、血漿成分のうち低分子成分(主に水と電解質)が血管外に漏出したものです。そのため、総タンパク濃度は低く、一般的に2.5g/dL未満(または2.0g/dL未満)とされます。1.8g/dLはこの基準を満たしており、漏出性腹水の特徴に合致します。
国試ポイント
腹水の分類(漏出性・滲出性)とその鑑別診断基準を正確に理解しているか問う問題です。特に総タンパク質濃度、LDH、比重、細胞数、pHといった主要な検査項目について、それぞれの腹水タイプでどのような値を示すかを覚える必要があります。
混同注意
漏出性腹水と滲出性腹水の鑑別基準の数値(特にタンパク、LD、比重)が混同しやすい。どちらが高い、どちらが低いかを正確に覚えることが重要。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まず腹水の分類(漏出性/滲出性)の基本的な定義を思い出し、主要な検査項目(タンパク質濃度、LD、比重、細胞数、外観、pHなど)について、それぞれの分類でどのような特徴を示すかを確認します。特に数値が提示されている場合は、その数値が各分類の基準値範囲内にあるかを照合します。
関連知識
・滲出性腹水の主な原因:腹膜炎(細菌性、結核性)、悪性腫瘍、膵炎など。・漏出性腹水の主な原因:肝硬変(門脈圧亢進症)、心不全、ネフローゼ症候群など。・腹水中のSAAG (Serum-Ascites Albumin Gradient) も鑑別に有用で、1.1g/dL以上で漏出性(門脈圧亢進症)、1.1g/dL未満で滲出性を強く示唆する。