検便で診断できるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
無鉤条虫はヒトの小腸に成虫が寄生するため、便中に虫卵や受胎片(片節)が排出され、これらを検出することで診断が可能です。他の選択肢の寄生虫症は、ヒト体内では幼虫が組織に寄生するか、成虫になっても虫卵が便中に排出されないため、便検査では診断できません。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。無鉤条虫(Taenia saginata)の診断は、虫卵または受胎片(片節)を便中に確認することによって行われます。そのため、検便が有効な診断方法です。
- 2. 剛棘顎口虫症は、幼虫が皮下や内臓を移行することによって症状を引き起こすため、通常、便検査での診断は困難です。臨床症状、血清学的検査(ELISAなど)、組織検査(生検)などが主な診断方法です。正しくは:剛棘顎口虫症の診断は、皮下移行幼虫の摘出、血清学的検査(ELISA)、または幼虫移行に伴う臨床症状から行われます。選びやすい理由:寄生虫症全般に対する知識が曖昧だと、検便が多くの寄生虫症に用いられると誤解してしまう可能性があります。混同注意:広範囲な寄生虫症の診断方法。
- 3. Manson孤虫症(Spirometra mansoni)は、幼虫(プレロセルコイド)が皮下や筋肉、眼などに寄生し、成虫がヒトの腸管に寄生することは稀です。そのため、便から虫卵や虫体が見つかることは通常なく、診断は病変部からの幼虫の摘出や画像診断、血清学的検査が主となります。正しくは:Manson孤虫症の診断は、病変部からの幼虫の摘出、画像診断、血清学的検査が主な方法です。選びやすい理由:孤虫という名前から、成虫が消化管に寄生する条虫の一種と誤解し、便検査が有効だと考えてしまう可能性があります。混同注意:他の消化管寄生条虫(特に無鉤条虫や有鉤条虫)。
- 4. 広東住血線虫(Angiostrongylus cantonensis)は、通常、ヒト体内では脳や脊髄、眼などの神経組織に寄生し、成虫にはなりません。虫卵が産生されないため、便検査で虫卵が検出されることはなく、診断は髄液検査、画像診断、血清学的検査が中心となります。正しくは:広東住血線虫症の診断は、髄液中の好酸球増加、血清学的検査、画像診断が主な方法です。選びやすい理由:線虫という言葉から、腸管寄生線虫と混同し、検便が有効だと考えてしまう可能性があります。混同注意:腸管寄生線虫(例:回虫、鉤虫)。
- 5. 多包条虫症(Echinococcus multilocularis)は、ヒトでは幼虫が肝臓などに寄生し、成虫になることはありません。そのため、便中に虫卵が排出されることはなく、診断は画像診断(超音波、CT、MRI)や血清学的検査(抗体検出)が主な方法です。正しくは:多包条虫症の診断は、画像診断や血清学的検査が主な方法です。選びやすい理由:条虫という名前から、成虫が腸管に寄生する他の条虫症と混同し、便検査が有効だと考えてしまう可能性があります。混同注意:他の消化管寄生条虫(特に無鉤条虫や有鉤条虫)。
国試ポイント
寄生虫症の診断方法に関する知識、特にどの寄生虫がどの検体(便、血液、組織など)から検出されるかを正確に理解しているかが問われています。消化管に成虫が寄生し、虫卵や虫体が便中に排出されるかどうか、また、幼虫移行症の場合は便検査が不適当であることを識別する能力が必要です。
混同注意
多くの寄生虫症が存在するため、それぞれの寄生虫の生活環とヒトにおける寄生部位、それに伴う診断方法が混同されやすいです。特に「条虫」や「線虫」という分類だけで判断せず、個々の寄生虫の特性を理解することが重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、各寄生虫のヒトにおける主要な寄生部位と、それに対応する検体および診断方法(例:便、血液、髄液、組織など)をまず確認する。特に成虫が腸管に寄生し、虫卵または虫体が便中に排出されるかどうかが重要な判断基準となる。
関連知識
・無鉤条虫の生活環と診断(虫卵、受胎片)。・顎口虫、孤虫、広東住血線虫、エキノコックスのヒトにおける寄生部位と病態。・各寄生虫症の主な診断法(血清学的検査、画像診断、生検、髄液検査など)。