塩基置換により終止コドンが生じる遺伝子変異の種類はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
ナンセンス変異は、DNAの塩基置換によって、アミノ酸をコードするコドンが終止コドンに変化する突然変異の一種です。これにより、翻訳が途中で停止し、機能不全のタンパク質が生じます。選択肢の「塩基置換により終止コドンが生じる」という条件に最も正確に合致するのはナンセンス変異です。
選択肢ごとの解説
- 1. サイレント変異では、塩基置換が起こっても、遺伝コードの縮重性により同じアミノ酸が翻訳されるため、タンパク質の機能には影響がありません。終止コドンが生じることはありません。正しくは:サイレント変異は、塩基置換によってコドンは変化するが、翻訳されるアミノ酸は同じである変異です。選びやすい理由:塩基置換である点は共通していますが、結果としてアミノ酸配列に変化がないため、機能停止とは異なります。混同注意:ミスセンス変異(アミノ酸が変化する)やナンセンス変異(終止コドンが生じる)と混同しやすいですが、これらはアミノ酸配列に影響を与える点で異なります。
- 2. 正解。ナンセンス変異は、DNAの塩基置換によって、通常のアミノ酸をコードするコドンが翻訳終止コドンに変化する変異です。これにより、途中で翻訳が打ち切られ、短縮された機能不全のタンパク質が生成されます。正しくは:この選択肢は正しいです。選びやすい理由:正しい選択肢であるため、他の変異との違いを明確に理解していれば選択しやすいです。混同注意:ミスセンス変異(異なるアミノ酸に変化)やサイレント変異(アミノ酸に変化なし)との違いを明確に理解することが重要です。
- 3. ミスセンス変異では、塩基置換によって異なるアミノ酸が翻訳されますが、終止コドンが生じるわけではありません。その結果、タンパク質の機能が変化したり、失われたりすることはありますが、翻訳が途中で停止することはありません。正しくは:ミスセンス変異は、塩基置換によって、あるアミノ酸をコードするコドンが別のアミノ酸をコードするコドンに変化する変異です。選びやすい理由:塩基置換がアミノ酸配列に影響を与えるという点では共通していますが、終止コドンを生じるわけではないため誤りです。混同注意:ナンセンス変異(終止コドンが生じる)やサイレント変異(アミノ酸変化なし)と混同しやすいです。
- 4. フレームシフト変異は、塩基の挿入または欠失によって、その後のコドンの読み取り枠(フレーム)がずれる変異です。これにより、全く異なるアミノ酸配列が翻訳されたり、途中で終止コドンが生じたりすることもありますが、問題文は「塩基置換により終止コドンが生じる」と限定しており、挿入・欠失とは異なります。正しくは:フレームシフト変異は、DNA配列中の1つまたは2つの塩基の挿入または欠失によって、遺伝子の読み取り枠がずれてしまう変異です。選びやすい理由:終止コドンが生じる可能性もあるため、間違って選んでしまうかもしれません。しかし、原因が「塩基置換」ではなく「挿入・欠失」である点が異なります。混同注意:ナンセンス変異(塩基置換による終止コドン)やミスセンス変異(塩基置換によるアミノ酸変化)と混同しやすいですが、フレームシフトは挿入・欠失によるものです。
- 5. ミススプライシング変異は、RNAスプライシングの異常によってエクソンがスキップされたり、イントロンが残存したりする変異であり、DNAの塩基置換そのものが直接の原因となって終止コドンが生じるわけではありません。遺伝子変異の一種ではありますが、問題文の条件とは異なります。正しくは:ミススプライシング変異は、前駆mRNAからのイントロン除去とエクソン結合の過程に異常が生じる変異です。選びやすい理由:遺伝子変異の一種ではありますが、塩基置換による終止コドンという特定の条件には合致しません。混同注意:DNA配列そのものの変化による点突然変異(サイレント、ナンセンス、ミスセンス)とは異なるメカニズムの変異です。
国試ポイント
遺伝子変異の基本概念と、それぞれの変異がDNA配列、mRNA、およびタンパク質にどのような影響を与えるかを理解しているかが問われています。特に、点突然変異(サイレント、ミスセンス、ナンセンス)の種類と、フレームシフト変異、ミススプライシング変異との違いを正確に区別できることが重要です。
混同注意
サイレント変異、ミスセンス変異、ナンセンス変異は全て点突然変異(塩基置換)ですが、最終的なアミノ酸配列への影響が異なります。フレームシフト変異は挿入・欠失によるもので、塩基置換ではありません。ミススプライシング変異はスプライシング過程の異常です。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合は、まず「変異の原因(塩基置換か、挿入・欠失か、スプライシング異常か)」と「結果(アミノ酸変化なし、異なるアミノ酸、終止コドン、読み取り枠の変化など)」の2点を確認して判断します。
関連知識
遺伝コードの縮重性、セントラルドグマ(DNA→RNA→タンパク質)、翻訳の開始・伸長・終止、スプライシング機構、遺伝性疾患と変異の種類。