パラフィン切片の伸展について正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
パラフィン切片の伸展は、切片を水上に浮かせて温めることでしわを伸ばし、平坦にする操作です。この際、水中に気泡が入ると切片が破れたり、スライドガラスに貼り付けた際に気泡が残って観察の妨げになったりするため、気泡の発生を避けることが重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。パラフィン切片を伸展する際、水中に気泡が入ると切片が破損したり、染色ムラが生じたりするため、気泡の発生を防ぐように注意が必要です。
- 2. 切片の伸展は、スライドガラスに貼付する直前に水上で広げる操作であり、その際に完全に乾燥させてしまうと、切片が硬くなり、伸展が困難になったり、ひび割れたりする原因となります。正しくは:切片を水上に浮かせて適度に広げ、皺がない状態になったらスライドガラスに貼付します。その後、乾燥器で完全に乾燥させます。選びやすい理由:切片をスライドガラスに貼付した後は乾燥させるため、混同しやすいかもしれません。しかし、伸展操作自体は乾燥前に行われます。混同注意:スライドガラスへの貼付後の乾燥と、伸展前の切片の状態とを混同しやすいです。
- 3. 伸展の主な目的は、作成時に生じた切片のしわを取り除き、平坦にすることです。物理的な傷(例:ナイフによる切れ目)を修復する効果はありません。正しくは:伸展は、ミクロトームでの切断時に生じたしわを取り除き、切片を平坦にすることを目的とします。選びやすい理由:「修復」という言葉が、切片の品質改善を連想させるため、正しく聞こえるかもしれません。混同注意:しわの除去と、物理的な損傷の修復を混同しやすいです。
- 4. 切片の大きさにかかわらず、ミクロトームで切断したパラフィン切片には必ずしわが生じます。そのため、小さな切片であっても観察のために平坦にする伸展操作は必要です。正しくは:切片の大きさに関わらず、しわを取り除き平坦にするために伸展が必要です。選びやすい理由:小さいものだと「扱いやすいから大丈夫」と考えてしまうかもしれませんが、しわの発生は大きさによらず生じます。混同注意:切片の大きさと、しわの発生の有無とを混同しやすいです。
- 5. 伸展はパラフィンを軟化させ、しわを伸ばしやすい温度で行いますが、パラフィンの融点(約56~58℃)と同じ温度で行うと、パラフィンが溶けてしまい、切片の形が崩壊します。通常は融点より少し低い温度(約40~50℃)が適切です。正しくは:パラフィンが溶けない範囲で、融点よりやや低い温度(例:40~50℃程度)で行うのが一般的です。選びやすい理由:パラフィンを軟らかくしてしわを伸ばすという目的から、融点に近い温度が最適だと誤解しやすいです。混同注意:「軟化」と「融解」を混同しやすいです。
国試ポイント
病理組織標本作製の基本的な手技であるパラフィン切片の伸展操作について、その目的、注意点、適切な条件を理解しているかを問う問題です。特に、しわ取りと気泡防止が主なポイントとなります。
混同注意
伸展の目的(しわ取り、気泡防止)と、スライドガラス貼付後の乾燥や脱パラフィンなどの後工程との混同。また、パラフィンの軟化と融解の温度の違いについても注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
伸展の目的(しわ除去、気泡防止)と、適切な水温(融点よりやや低い温度)、乾燥との関係性について理解しているか。また、伸展によって何が『できない』のかも把握しているか。
関連知識
病理組織標本作製の全工程(固定、水洗、脱水、透徹、包埋、薄切、伸展、貼付、乾燥、脱パラフィン、染色、封入)と、各工程の目的や注意点。特にミクロトームでの薄切後の伸展の重要性。