日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法において2つ以上の酵素反応を利用しているのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・3番
解説
JSCC勧告法において、ASTはオキサロ酢酸生成後のMDH反応、CKはATP生成後のHK-G-6-PDH反応と、それぞれ目的酵素の反応生成物をさらに別の酵素で反応させることで、より測定しやすい物質を生成し、その変化量を追う多段階(連結)酵素反応を利用しています。一方、ALP、γ-GT、LDは、それぞれ基質が目的酵素によって直接分解・変換される1段階の酵素反応が測定の原理となります。
選択肢ごとの解説
- 1. ALPのJSCC勧告法は、基質(p-ニトロフェニルリン酸)がALPによって分解され、p-ニトロフェノールが生成される1段階の反応を測定します。この生成物の吸光度変化を追うことで酵素活性を算出します。正しくは:ALPの測定法は通常1段階の酵素反応を利用します。選びやすい理由:酵素活性測定の基本的な知識と混同しやすいですが、多段階反応ではないです。混同注意:複数段階の酵素反応を用いるASTやCKのような測定法と混同することがあります。
- 2. 正解。ASTのJSCC勧告法は、ASTによるアミノ基転移反応で生成されたオキサロ酢酸を、さらにマラートデヒドロゲナーゼ(MDH)によってリンゴ酸に還元する反応を利用します。このMDH反応で消費されるNADHの減少量を測定するため、2段階の酵素反応が関与しています。
- 3. 正解。CKのJSCC勧告法は、CKによってクレアチンリン酸とADPからATPとクレアチンが生成される反応と、その生成されたATPを利用してヘキソキナーゼ(HK)およびグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G-6-PDH)が作用する複数の段階(最終的にNADPHが生成される)の酵素反応を利用します。
- 4. γ-GTのJSCC勧告法は、L-γ-グルタミル-3-カルボキシ-4-ニトロアニリドを基質とし、グリシルグリシンをアミノ基受容体として、γ-GTが加水分解および転移反応を行う1段階の酵素反応を測定します。この反応で遊離する3-カルボキシ-4-ニトロアニリンの生成量を吸光度で追うことで酵素活性を算出します。正しくは:γ-GTの測定法は通常1段階の酵素反応を利用します。選びやすい理由:酵素活性測定の基本的な知識と混同しやすいですが、多段階反応ではないです。混同注意:複数段階の酵素反応を用いるASTやCKのような測定法と混同することがあります。
- 5. LDのJSCC勧告法は、ピルビン酸とNADHを基質とし、LDがピルビン酸を乳酸に還元する反応を利用します。この1段階の反応で消費されるNADHの減少量を直接測定します。正しくは:LDの測定法は通常1段階の酵素反応を利用します。選びやすい理由:NADHの変化を追う点で、他の多段階反応と似ているように感じやすいですが、LD自身の反応は1段階です。混同注意:NADHを指標とする酵素反応は他にも多く、多段階反応と誤解しやすいですが、LD自身の触媒反応は単一です。
国試ポイント
この問題は、主要な臨床検査項目である酵素の測定原理、特にJSCC勧告法における酵素反応の段階数に関する知識を問うものです。個々の酵素測定法が、単一の反応か、あるいは複数の酵素が連携する多段階反応(連結酵素反応)であるかを理解しているかが重要です。
混同注意
多くの酵素測定法が最終的にNADH/NADPHの吸光度変化を利用するため、その変化がどの段階の反応によって起こっているのかを混同しやすいです。直接NADH/NADPHが消費/生成される反応なのか、それとも目的酵素の反応生成物を別の酵素がさらに変化させる連結反応の最終段階で起こるのかを区別することが重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、各酵素のJSCC勧告法の反応経路図を思い浮かべ、その経路中に目的酵素以外の補助酵素が関与しているかどうかを確認すると判断できます。
関連知識
連結酵素反応(coupled enzyme assay)の原理、各酵素測定における具体的な基質・補酵素・補助酵素、そして反応における生成物・消費物の理解。特にJSCC勧告法の具体的な反応スキーム。