気管支擦過細胞診のPapanicolaou染色標本(別冊No. 11)を別に示す。組織型はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
この画像は、気管支擦過細胞診における小細胞癌の典型的なパパニコロウ染色標本を示しています。小型で円形から卵円形の異型細胞が密集して集塊を形成し、細胞質が乏しく、核のクロマチンは微細顆粒状で均一です。核小体は不明瞭で、核の圧排によるモールディング現象が顕著に見られます。これらの所見は小細胞癌に特有のものです。
選択肢ごとの解説
- 1. 腺癌は一般的に腺腔構造の形成や円柱状細胞を特徴としますが、下図の細胞群は小型で核が密集しており、これらの特徴とは異なります。正しくは:腺癌は腺腔構造や核小体明瞭な異型円柱細胞を呈します。選びやすい理由:肺癌の一種であるため、他の肺癌との鑑別が難しいと感じるかもしれません。混同注意:他の非小細胞肺癌(腺癌、扁平上皮癌)との混同。形態学的な特徴が大きく異なります。
- 2. 正解。小細胞癌は、小型で円形から卵円形の細胞が密集して集塊を形成し、核のクロマチンは微細顆粒状で均一に分布し、核小体は不明瞭です。細胞質は乏しく、核間には圧排によるモールディング現象が見られます。下図の所見はこれらの特徴と一致します。選びやすい理由:特徴的な細胞形態(小型、核の密集、クロマチン均一、核小体不明瞭、モールディング)が一致するため、正答として選びやすいです。
- 3. 平上皮癌は、異型性の強い扁平上皮細胞で、角化や細胞間橋の形成、豊富な好酸性細胞質などを特徴としますが、下図の細胞群はこれらの特徴を示していません。下図の細胞は小型で細胞質が乏しいです。正しくは:平上皮癌は角化、細胞間橋、豊富な好酸性細胞質を伴う異型扁平上皮細胞を特徴とします。選びやすい理由:肺癌の代表的な組織型であるため、選択肢として考えやすいかもしれません。混同注意:他の非小細胞肺癌(腺癌、扁平上皮癌)との混同。細胞サイズや細胞質の性状が異なります。
- 4. 悪性リンパ腫の細胞はリンパ球由来であり、一般的に単細胞性に散在し、細胞質が乏しく、核形不整を示すことが多いですが、下図のような強固な細胞集塊を形成し、モールディングを伴うことは稀です。正しくは:悪性リンパ腫は単細胞性に散在し、異型リンパ球が主体となります。選びやすい理由:小型の異型細胞が密集している点では共通するかもしれませんが、細胞の凝集性や核の性状が異なります。混同注意:小型円形細胞性腫瘍の鑑別。特にリンパ腫は散在性が強く、凝集性は低い点が小細胞癌と異なります。
- 5. カルチノイドは一般的に類円形の均一な細胞が索状や腺房状に配列し、核のクロマチンは'salt and pepper'(塩胡椒状)を呈しますが、下図の細胞は核のクロマチンが均一で、モールディング現象が見られるため異なります。正しくは:カルチノイドは'salt and pepper'クロマチンと均一な細胞形態を特徴とし、モールディングは稀です。選びやすい理由:神経内分泌腫瘍という点で小細胞癌と共通のルーツを持つため、混同しやすい可能性があります。しかし、形態学的には明確な違いがあります。混同注意:神経内分泌腫瘍(小細胞癌も含む)の鑑別。特にカルチノイドは核小体が明瞭でクロマチンが粗い点、モールディングが少ない点で小細胞癌と鑑別されます。
国試ポイント
肺の細胞診における各種肺癌の組織型診断、特に小細胞癌の細胞学的特徴を正確に識別できるかが問われています。典型的な形態的特徴(サイズ、核の性状、細胞質の量、配列、モールディングの有無)を理解していることが重要です。
混同注意
小細胞癌は、他の小型円形細胞性腫瘍(悪性リンパ腫、カルチノイド、未分化な腺癌や扁平上皮癌など)との鑑別が重要です。特にカルチノイドとの鑑別では、核のクロマチンパターン(均一 vs 'salt and pepper')、核小体の明瞭さ、モールディングの有無が鑑別点となります。リンパ腫は通常、より単細胞性に散在し、凝集性が低い傾向があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、細胞の大きさ、核の形態(クロマチンパターン、核小体の有無)、細胞質の量、細胞の配列や凝集性(モールディングの有無)に注目して判断します。
関連知識
肺癌の細胞診では、パパニコロウ染色による細胞形態の観察が最も基本となります。小細胞癌は化学療法や放射線療法への感受性が高く、早期診断と正確な組織型診断が治療方針決定に直結するため、非常に重要です。免疫組織化学染色(例: TTF-1, Synaptophysin, Chromogranin A, Ki-67)が鑑別診断に用いられることもあります。