令和2(2020)年度傷病分類別医科診療医療費が最も多いのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
厚生労働省が発表する国民医療費統計(医科診療医療費の傷病分類別統計)によると、令和2年度(2020年度)およびそれ以前の複数の年度において、「循環器系の疾患」が最も医療費総額が高い区分となっています。これは、高血圧、心疾患、脳血管疾患といった病気が、罹患率の高さ、長期にわたる治療の必要性、そして時には高額な医療処置を伴うため、特に高齢化の進む日本において社会全体の医療費負担の大きな要因となっているためです。
選択肢ごとの解説
- 1. 新生物(がん・腫瘍)の治療には高額な費用がかかるケースが多いですが、医療費全体の総額としては循環器系の疾患に次ぐ位置にあり、最も高額ではありません。正しくは:新生物〈腫瘍〉は、個別の治療費用が高額になる傾向がありますが、医療費総額では第2位であることが多いです。選びやすい理由:がん治療の高度化や長期化により、個々の患者にかかる医療費が高額であるという印象から、全体総額も最も高いと考えられやすいです。混同注意:患者一人あたりの費用が高いことと、傷病分類全体の総額が高いこととを混同しやすいです。
- 2. 呼吸器系の疾患、例えば風邪やインフルエンザなどは非常に多くの人が罹患しますが、全体としての医療費総額は循環器系の疾患ほどには達しません。正しくは:呼吸器系の疾患は、有病率が高い一方で、医療費総額では上位ではありません。選びやすい理由:季節性疾患や感染症で受診する人が多いため、医療費総額も多いと思われがちです。混同注意:罹患する人の多さと、長期的な治療や高額な医療を要する疾患の総医療費を混同しやすいです。
- 3. 正解。高血圧症、心疾患、脳血管疾患といった循環器系の疾患は、日本の高齢化社会において罹患者が非常に多く、長期にわたる管理や治療、時には高額な手術や処置が必要となるため、医科診療医療費の総額が最も高くなっています。これは長年続く傾向です。
- 4. 腎不全に対する人工透析のように一人の患者にかかる医療費が非常に高額な疾患も含まれますが、全体としての有病率や総医療費は循環器系の疾患には及びません。正しくは:腎尿路生殖器系の疾患は、特定の治療が高額であるものの、全体の医療費総額では最も高額ではありません。選びやすい理由:人工透析など、特定の治療費が非常に高額であるという知識から、この分類が全体でも高いと誤解されやすいです。混同注意:特定の治療の費用と、疾患分類全体の総額を混同しやすいです。
- 5. 関節炎や骨粗鬆症、腰痛など、筋骨格系及び結合組織の疾患も高齢者に多く見られますが、その医療費総額は循環器系の疾患と比較すると低いです。正しくは:筋骨格系及び結合組織の疾患は、有病率は高いですが、医療費総額では最も高額ではありません。選びやすい理由:高齢者に非常に多く見られる疾患群であるため、医療費総額も高いと思われがちです。混同注意:有病率の高さと、個々の治療の費用や長期管理の費用総額を混同しやすいです。
国試ポイント
この問題は、日本の医療費に関する基本的な統計データを理解しているか、特にどの疾患群が医療財政に最も大きな影響を与えているかという公衆衛生的な視点を持っているかを問うものです。単に病気の知識だけでなく、医療制度全体に対する理解が求められます。
混同注意
新生物〈腫瘍〉(がん)は、個々の治療費が高額であり、社会的な関心も高いため、医療費総額も最も高いと誤解されやすいですが、総額では循環器系疾患が上回ります。また、糖尿病などの内分泌・栄養及び代謝疾患も医療費が高いですが、循環器系の疾患の多くが糖尿病の合併症として現れるなど、密接な関連があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、日本の高齢化と慢性疾患の状況を考慮し、長期的な管理が必要で有病率の高い疾患群が医療費を押し上げる傾向にあることを中心に判断すると良いでしょう。特に循環器系疾患、新生物〈腫瘍〉、内分泌・栄養及び代謝疾患(糖尿病など)が上位を占める傾向を覚えておくことが重要です。
関連知識
国民医療費の推移、主要な死因別統計、介護保険制度における傷病分類別費用、医療技術の進歩と医療費への影響、予防医療の重要性など。