細胞形態の特徴と疾患の組合せで誤っているのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
環状鉄芽球は、ミトコンドリアにおける鉄利用障害を原因とする鉄芽球性貧血に特徴的な赤芽球の形態です。特に骨髄異形成症候群(MDS)の一部である環状鉄芽球性貧血(RARS)や、先天性鉄芽球性貧血、アルコール中毒、特定の薬剤の影響などで見られます。一方、サラセミアはヘモグロビン鎖の合成異常による遺伝性疾患であり、小赤血球性低色素性貧血、標的赤血球、有核赤血球の出現が主な特徴であり、環状鉄芽球の出現は一般的ではありません。したがって、「環状鉄芽球サラセミア」の組み合わせは誤りです。
選択肢ごとの解説
- 1. 伝染性単核球症はEBウイルス感染が原因で、ウイルスに感染したB細胞に対する細胞傷害性T細胞(キラーT細胞)が活性化し、末梢血中に形態の異なる異型リンパ球として観察されるため、この組み合わせは正しいです。
- 2. 正解。環状鉄芽球は、赤芽球のミトコンドリアに鉄が異常に沈着し、その沈着が核の周囲をリング状に取り囲むように見える特徴的な細胞です。これはサラセミアで認められるものではなく、鉄芽球性貧血(特に骨髄異形成症候群の一部である環状鉄芽球性貧血や、先天性鉄芽球性貧血など)において特徴的に見られます。サラセミアはヘモグロビン鎖の合成異常による遺伝性疾患で、標的赤血球や小赤血球が特徴です。正しくは:環状鉄芽球は、鉄芽球性貧血(特に骨髄異形成症候群の環状鉄芽球性貧血)で特徴的に見られます。選びやすい理由:サラセミアも貧血の一種であり、鉄の代謝に関連する病態(鉄過剰など)を伴うことがあるため、鉄芽球という言葉から連想して誤って選んでしまう可能性があります。しかし、サラセミアにおける鉄過剰は環状鉄芽球の形成とは異なる機序です。混同注意:環状鉄芽球と、サラセミアでよく見られる他の赤血球形態異常(例えば、標的赤血球、小赤血球、点状赤血球など)とが混同される可能性があります。また、鉄芽球性貧血とサラセミアはどちらも貧血を呈する疾患群ですが、その病態生理は大きく異なります。
- 3. May-Hegglin異常症は、MYH9遺伝子の異常による遺伝性疾患であり、巨大な血小板、好中球内にDöhle小体様の封入体、および血小板減少を特徴とするため、この組み合わせは正しいです。
- 4. 重度の細菌感染症や炎症性疾患では、好中球の顆粒が大型化・粗大化してアズール顆粒が強く染まる「中毒性顆粒」が出現します。これは好中球の活性化や機能亢進を反映する形態学的変化であり、この組み合わせは正しいです。
- 5. 骨髄異形成症候群 (MDS) は、造血幹細胞の異常によって血球の成熟と分化に障害が生じる疾患群です。MDSの特徴的な形態異常の一つとして、小型で核の分葉が不十分な微小巨核球や、単核様の巨核球などが挙げられるため、この組み合わせは正しいです。
国試ポイント
本問題は、主要な血液疾患における特徴的な細胞形態とその関連疾患を正確に結びつける知識を問うものです。特に「誤っているのはどれか」という形式であるため、各選択肢の組み合わせについて、正しいか誤りかを明確に判断できる深い理解が求められます。臨床検査技師として、末梢血塗抹や骨髄塗抹の鏡検で得られる細胞所見から、鑑別診断に繋がる正確な知識が必須であることを示しています。
混同注意
環状鉄芽球と、鉄欠乏性貧血や慢性疾患に伴う貧血の骨髄における鉄染色所見が混同されることがあります。また、伝染性単核球症の異型リンパ球と、急性白血病の芽球や他のウイルス感染症で見られる反応性リンパ球との鑑別も重要です。各疾患に特異的な形態と、非特異的な反応性変化を区別する能力が問われます。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、まず提示された細胞形態がどの血球系統に属し、その形態が何を意味するのかを正確に把握することが重要です。次に、その形態が特徴的に見られる疾患を複数想起し、与えられた選択肢の疾患がそのリストに含まれるか、あるいは明らかに除外されるかを判断します。特に、特定の細胞形態が複数の疾患で見られる場合と、ある疾患に非常に特徴的な形態である場合との区別を意識して学習すると良いでしょう。
関連知識
伝染性単核球症の病態生理、異型リンパ球の形態学的特徴と分類。鉄芽球性貧血の病型分類(先天性、後天性)と環状鉄芽球の診断基準、MDSにおける異形成所見。サラセミアの分類(α、β)、ヘモグロビン電気泳動所見、末梢血像の特徴。May-Hegglin異常症を含む遺伝性血小板異常症の臨床像と血球形態。中毒性顆粒やDöhle小体など、好中球の反応性変化の意義。骨髄異形成症候群 (MDS) のWHO分類における各系統の異形成所見、特に巨核球系の異常(微小巨核球など)。