試験紙法で尿潜血が陽性、尿沈渣で赤血球が陰性となるのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・4番
解説
尿試験紙法による潜血反応は、尿中のヘムタンパク質(ヘモグロビンやミオグロビン)が持つペルオキシダーゼ様活性を利用しています。このため、赤血球が尿中に存在しなくても、ヘモグロビン尿やミオグロビン尿が存在すれば陽性となります。尿沈渣で赤血球が陰性ということは、赤血球そのものは尿中に存在しないことを意味します。これらの条件を満たすのは、赤血球の血管内溶血によってヘモグロビンが尿中に排出される「ABO型不適合輸血」と、筋肉の破壊によってミオグロビンが尿中に排出される「横紋筋融解症」です。
選択肢ごとの解説
- 1. IgA腎症では糸球体性血尿が生じるため、尿沈渣で赤血球が検出されます。正しくは:IgA腎症は尿試験紙法で潜血陽性、尿沈渣で赤血球陽性となります。選びやすい理由:血尿を呈する腎疾患の一つであるため、混同しやすいかもしれません。混同注意:ミオグロビン尿やヘモグロビン尿による潜血陽性と、赤血球が伴う血尿を混同する可能性があります。
- 2. 尿路結石では尿路の損傷により出血が生じるため、尿沈渣で赤血球が検出されます。正しくは:尿路結石は尿試験紙法で潜血陽性、尿沈渣で赤血球陽性となります。選びやすい理由:肉眼的血尿の原因として非常に有名であるため、選択肢として魅力的かもしれません。混同注意:ミオグロビン尿やヘモグロビン尿による潜血陽性と、赤血球が伴う血尿を混同する可能性があります。
- 3. 正解。横紋筋融解症では、破壊された筋肉からミオグロビンが尿中に排出されます。ミオグロビンはヘムタンパク質であるため、尿試験紙法の潜血反応(ペルオキシダーゼ様活性)を陽性化させますが、ミオグロビン自体は赤血球ではないため尿沈渣で赤血球は検出されません。
- 4. 正解。ABO型不適合輸血では、輸血された赤血球が血管内で破壊され(血管内溶血)、ヘモグロビンが血漿中に遊離し、腎臓でろ過されて尿中に排出されます。ヘモグロビンはヘムタンパク質であるため、尿試験紙法の潜血反応(ペルオキシダーゼ様活性)を陽性化させますが、ヘモグロビン自体は赤血球ではないため尿沈渣で赤血球は検出されません。
- 5. 急速進行性糸球体腎炎では糸球体病変により血尿を呈するため、尿沈渣で赤血球が検出されます。正しくは:急速進行性糸球体腎炎は尿試験紙法で潜血陽性、尿沈渣で赤血球陽性となります。選びやすい理由:重篤な腎疾患であり、血尿が症状の一つであるため、誤って選びやすいかもしれません。混同注意:ミオグロビン尿やヘモグロビン尿による潜血陽性との区別。
国試ポイント
尿試験紙法での潜血陽性と尿沈渣での赤血球陰性という組み合わせが、ヘモグロビン尿やミオグロビン尿を示すことを理解しているか問う問題です。血尿と血色素尿(ミオグロビン尿、ヘモグロビン尿)の鑑別が重要となります。
混同注意
血尿(赤血球が尿中に存在する状態)と、血色素尿(ヘモグロビンやミオグロビンが尿中に存在するが赤血球そのものは存在しない状態)の区別が混同しやすいポイントです。どちらも尿試験紙法で潜血陽性となるため、尿沈渣の結果が鑑別には不可欠であることを理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、まず『尿試験紙法の潜血陽性』が何を意味するのか(赤血球の有無ではなく、ヘムタンパク質の有無)を判断し、次に『尿沈渣の赤血球陰性』から赤血球そのものは存在しないことを確認し、この両方を満たす疾患を選択するという手順で判断します。
関連知識
尿試験紙法での潜血反応の原理(ペルオキシダーゼ様活性)、ヘモグロビン尿とミオグロビン尿の定義と原因疾患、尿沈渣検査の意義と結果の解釈、溶血性貧血や横紋筋融解症の病態生理。