細菌と毒素の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・4番
解説
選択肢3の黄色ブドウ球菌が産生する表皮剥脱毒素は、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)の原因となる毒素で、正しい組み合わせです。選択肢4のA群溶血性レンサ球菌が産生する発熱毒素は、猩紅熱の発疹や毒素性ショック症候群の原因となる毒素で、これも正しい組み合わせです。
選択肢ごとの解説
- 1. ボツリヌス菌が産生するのは神経毒(ボツリヌス毒素)であり、エンテロトキシンではありません。エンテロトキシンは主に腸管に作用する毒素です。正しくは:ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)- 神経毒(ボツリヌス毒素)選びやすい理由:菌名と毒素名の響きが似ていて、知識があいまいだと混同しやすいかもしれません。混同注意:ボツリヌス毒素とエンテロトキシン。エンテロトキシンは大腸菌や黄色ブドウ球菌、ウェルシュ菌などが産生します。
- 2. 赤痢菌(特に志賀毒素産生赤痢菌)が産生するのは志賀毒素(Shiga toxin)であり、これはタンパク質合成阻害作用を持つ外毒素です。耐熱性溶血毒は一部のグラム陰性菌で見られますが、赤痢菌の主要な毒素ではありません。正しくは:赤痢菌(Shigella dysenteriae)- 志賀毒素選びやすい理由:グラム陰性菌が産生する毒素の多様性から、他の毒素と誤って結びつけてしまう可能性があります。混同注意:志賀毒素と耐熱性溶血毒。溶血毒には様々な種類があり、混同しやすいです。
- 3. 正解。黄色ブドウ球菌は表皮剥脱毒素(Exfoliative toxin, ET)を産生し、これはSSSS(Staphylococcal Scalded Skin Syndrome:ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群)の原因となります。この組み合わせは正しいです。選びやすい理由:特になし。標準的な知識です。混同注意:特にありませんが、黄色ブドウ球菌は他にもエンテロトキシン、毒素性ショック症候群毒素(TSST-1)など多くの毒素を産生するため、他の毒素と混同しない注意が必要です。
- 4. 正解。A群溶血性レンサ球菌は発熱毒素(Streptococcal pyrogenic exotoxin, SPE)を産生し、これは猩紅熱の赤い発疹や、毒素性ショック症候群(STSS)の原因となります。この組み合わせは正しいです。選びやすい理由:特になし。標準的な知識です。混同注意:特にありませんが、発熱毒素の別名であるエキソトキシンA、Cなど、他の命名法と混同しないよう注意が必要です。
- 5. 腸炎ビブリオが産生するのは耐熱性溶血毒(TDH)やTDH関連溶血毒(TRH)が主要な病原因子であり、ベロ毒素ではありません。ベロ毒素は主に志賀毒素産生性大腸菌(STEC)が産生する毒素の別名です。正しくは:腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)- 耐熱性溶血毒(TDH)選びやすい理由:両者とも食中毒の原因菌として有名であるため、毒素を混同しやすいかもしれません。混同注意:腸炎ビブリオの溶血毒と、志賀毒素産生性大腸菌(STEC)のベロ毒素(志賀毒素)。
国試ポイント
主要な細菌とその代表的な産生毒素、およびそれによって引き起こされる症状や疾患との関連を正確に理解しているかを問う問題です。特に、毒素の名称と菌名の組み合わせを正しく記憶しているかが重要です。
混同注意
細菌毒素は種類が多く、名称が似ていたり、同じ毒素が複数の菌種で産生されたり、一つの菌種が複数の毒素を産生したりするため、混同しやすい分野です。特に、エンテロトキシン、溶血毒、神経毒、サイトトキシンなどの広範な分類と、特定の菌が産生する固有名詞の毒素を区別する能力が問われます。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、選択肢の細菌と毒素の組み合わせが正しいか、その毒素がどのような病態を引き起こすかを判断できるよう、各細菌の主要な毒素とその作用機序、関連疾患を再確認する必要があります。
関連知識
ボツリヌス菌(神経毒)、破傷風菌(破傷風毒素、痙攣毒)、コレラ菌(コレラ毒素)、大腸菌(エンテロトキシン、ベロ毒素など)、百日咳菌(百日咳毒素)、緑膿菌(外毒素A)、炭疽菌(致死毒素、浮腫毒素)など、主要な病原細菌とその毒素について網羅的に学習することが推奨されます。