Michaelis定数〈Km〉について正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
競合阻害剤は酵素の活性部位に基質と競合して結合し、酵素-基質複合体の形成を妨げます。これにより、反応速度が最大速度の半分に達するためには、より高い基質濃度が必要となるため、Km値は見かけ上増加します。しかし、最終的に十分な基質が存在すれば、競合阻害剤の存在下でも最大反応速度(Vmax)自体は変化しません。
選択肢ごとの解説
- 1. Km値は酵素の活性部位のイオン化状態に影響されるため、pHの変化によって変動します。酵素反応は最適なpH範囲でのみ効率的に進行します。正しくは:測定時のpHが変わると、その値は変動する。選びやすい理由:定数という言葉から、環境要因に左右されないと誤解する可能性がある。混同注意:物理定数のような絶対的な定数と混同しやすいが、Kmは酵素と基質の結合能を示すものであり、環境条件に依存する生化学的な定数である。
- 2. アイソザイムは同じ反応を触媒するが、アミノ酸配列が異なり、基質に対する親和性も異なるため、Km値はアイソザイム間で差異があります。この差異がそれぞれの生理的役割の違いを反映しています。正しくは:同じ種類の酵素のアイソザイム間では、Km値に違いが見られる。選びやすい理由:同じ反応を触媒するという共通点から、Kmも同じだと誤解する可能性がある。混同注意:アイソザイムの定義は同じ反応を触媒する酵素であるが、その性質(Km, Vmax, 至適pHなど)は異なることを理解していないと混同しやすい。
- 3. Km値は酵素がVmaxの半分に達するときの基質濃度を示します。Km値が小さいほど、より少ない基質濃度で最大反応速度の半分に達するため、酵素と基質の親和性は高いとされます。Km値が大きい場合は、より多くの基質が必要となり、親和性は低いことを意味します。正しくは:Km値が小さいほど、酵素と基質の親和性は高いと判断される。選びやすい理由:定数(Km)と親和性(結合の強さ)が正比例すると直感的に考えてしまうかもしれない。混同注意:解離定数Kdと混同しやすい。Kdが小さいほど結合力は強いが、Kmは必ずしもKdと一致するわけではない。しかし、一般的にKmが小さいほど親和性が高いという傾向は共通している。
- 4. 正解。競合阻害剤は酵素の活性部位で基質と競合し、酵素と基質の結合を阻害します。結果として、最大反応速度の半分に達するためには、より多くの基質が必要となるため、Km値は見かけ上大きくなります(Vmaxは変化しません)。選びやすい理由:阻害剤の存在によって、KmだけでなくVmaxも変化すると誤解することがあるかもしれないが、競合阻害ではVmaxは変化しないことを理解しているかが重要。混同注意:非競合阻害や不競合阻害のKm値やVmaxへの影響と混同しやすい。
- 5. Km値は、最大反応速度(Vmax)の半分に達するときの『基質濃度』を示します。Vmaxの半分の速度そのものを指すものではありません。正しくは:最大反応速度(Vmax)の半分の速度に達するときの基質濃度を指す。選びやすい理由:Vmaxの半分という言葉が直接的に関連しているため、Kmそのものが速度であると誤解しやすい。混同注意:KmとVmax/2の概念を混同しやすい。Kmは基質濃度であり、Vmax/2は反応速度である。
国試ポイント
ミカエリス定数(Km)の定義、その意義、そして様々な因子(pH、温度、阻害剤の種類など)がKm値に与える影響について問われることが多いです。特に競合阻害剤と非競合阻害剤がKmとVmaxに及ぼす影響の違いは頻出論点です。
混同注意
Km値とVmax、Kmと酵素-基質親和性の関係、競合阻害と非競合阻害でのKm/Vmaxの変化、Kmが示すのが『基質濃度』であること。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合、Kmの定義(Vmax/2における基質濃度)、Kmと親和性の逆相関関係、そして各阻害剤(競合、非競合、不競合)がKmとVmaxにそれぞれどのような影響を与えるかを正確に理解しているかを問う問題が出る可能性が高いです。
関連知識
ミカエリス・メンテンの式、ラインウィーバー・バークプロット、酵素阻害の種類(競合、非競合、不競合)、アイソザイムの性質、酵素反応の至適pH。