電子顕微鏡標本作製で透過型と走査型に共通するのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
電子顕微鏡標本作製において、組織や細胞の形態を保護するために、透過型と走査型の両方で二重固定(グルタルアルデヒド固定後に四酸化オスミウム固定)が共通して実施されます。他の選択肢は、どちらか一方の電子顕微鏡に特有の操作です。樹脂包埋、超薄切、酢酸ウラン染色は透過型電子顕微鏡の、金属イオン蒸着は走査型電子顕微鏡の主な前処理です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。透過型電子顕微鏡(TEM)でも走査型電子顕微鏡(SEM)でも、組織や細胞の形態を良好に保存するために、グルタルアルデヒドによる前固定と四酸化オスミウムによる後固定という二段階の固定(二重固定)が一般的に行われます。
- 2. 樹脂包埋は、主に透過型電子顕微鏡(TEM)で超薄切を行うために必要な工程です。走査型電子顕微鏡(SEM)では、多くの場合、包埋せずに直接観察できる形状の試料を用いるか、必要であればパラフィン包埋など別の方法が取られることがあります。正しくは:樹脂包埋は主に透過型電子顕微鏡(TEM)で超薄切するために行われる。選びやすい理由:一般的な病理組織標本の作製プロセスの一部として思い浮かびやすい。また、SEMでも特殊な場合に行われることもあるため、迷いやすい。混同注意:光学顕微鏡用のパラフィン包埋と混同する。SEMでは必ずしも必要ではないことを見落とす。
- 3. 超薄切は、電子線が透過できるように非常に薄い切片(数十nm)を作成する操作で、主に透過型電子顕微鏡(TEM)の観察に必須の工程です。走査型電子顕微鏡(SEM)では、試料の表面構造を観察するため、切片を作製しないか、作製する場合でも超薄切は通常行いません。正しくは:超薄切は主に透過型電子顕微鏡(TEM)の観察に必須の工程である。選びやすい理由:「切片を作る」というイメージで、SEMでも何らかの切片が必要だと誤解する可能性がある。混同注意:光学顕微鏡の薄切と混同する。SEMが表面観察であることを見落とす。
- 4. 酢酸ウラン染色(電子染色)は、透過型電子顕微鏡(TEM)でコントラストを向上させるために行われる重金属染色です。走査型電子顕微鏡(SEM)では、電子線が試料表面を走査して反射電子や二次電子を検出するため、このような透過性のための染色は行いません。正しくは:酢酸ウラン染色は、透過型電子顕微鏡(TEM)でコントラストを向上させるために行われる。選びやすい理由:「染色」という言葉から、TEMとSEMの両方で何らかの処理が必要だと感じるかもしれない。混同注意:光学顕微鏡のヘマトキシリン・エオシン染色などと混同する。TEMとSEMの観察原理の違いを理解できていない。
- 5. 金属イオン蒸着(金や白金など)は、主に走査型電子顕微鏡(SEM)で非導電性の試料の表面に導電膜を形成し、チャージアップを防ぎ、二次電子放出効率を高めるために行われます。透過型電子顕微鏡(TEM)では、試料の透過性を利用するため、このような蒸着は原則として行いません。正しくは:金属イオン蒸着は、主に走査型電子顕微鏡(SEM)で非導電性試料の導電性付与と二次電子放出効率の向上のために行われる。選びやすい理由:TEMとSEMのどちらかで特殊な前処理が必要なことは知っていても、どちらに何が必要かを混同しやすい。混同注意:TEMのレプリカ法やシャドウイングと混同する。SEMでのチャージアップ防止の必要性を忘れる。
国試ポイント
透過型電子顕微鏡(TEM)と走査型電子顕微鏡(SEM)の標本作製過程における共通点と相違点を理解しているか問う問題です。特に、それぞれの顕微鏡の観察原理(透過 vs 表面)に基づいた前処理の違いを正確に把握しているかが重要です。
混同注意
各前処理工程がどちらの電子顕微鏡に特有のものかを混同しやすい。特に「固定」が両方に共通することを見落としやすい。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出た場合、まずTEMとSEMの観察原理の違いを思い出し、それに基づいて各前処理がなぜ必要かを判断します。例えば、TEMは透過像なので薄く切る必要があり、SEMは表面像なので切る必要がない、といった原則です。
関連知識
透過型電子顕微鏡の原理と応用、走査型電子顕微鏡の原理と応用、各固定液の役割(グルタルアルデヒド、四酸化オスミウム)、電子染色(ウラン、鉛)、包埋剤の種類、超薄切の意義、金属蒸着の目的(チャージアップ防止)。