細胞壁合成阻害薬はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
バンコマイシンはグリコペプチド系抗菌薬であり、細胞壁の主要構成成分であるペプチドグリカン合成の最終段階を阻害します。具体的には、N-アセチルムラミン酸とN-アセチルグルコサミンからなるペプチドグリカンの前駆体D-Ala-D-Alaに結合し、細胞壁の架橋形成を妨げることで細菌の増殖を抑制します。
選択肢ごとの解説
- 1. コリスチンは細胞膜に作用し、その透過性を変化させることで殺菌効果を発揮します。細胞壁合成を阻害する薬剤ではありません。正しくは:コリスチンは細胞膜機能阻害薬です。選びやすい理由:グラム陰性菌に有効な抗菌薬であるため、他の抗菌薬と混同しやすいかもしれません。混同注意:他の細胞壁合成阻害薬(ペニシリン系、セフェム系など)や、異なる作用機序を持つ抗菌薬(タンパク質合成阻害、DNA合成阻害など)と混同しやすいです。
- 2. ゲンタマイシンはアミノグリコシド系抗菌薬であり、細菌のリボソーム30Sサブユニットに結合してタンパク質合成を阻害します。細胞壁合成を阻害する作用はありません。正しくは:ゲンタマイシンはタンパク質合成阻害薬です。選びやすい理由:幅広いグラム陰性菌に有効な強力な抗菌薬であり、作用機序が複数あると誤解されやすいかもしれません。混同注意:他のタンパク質合成阻害薬(テトラサイクリン系、マクロライド系など)や、異なる作用機序を持つ抗菌薬と混同しやすいです。
- 3. 正解。バンコマイシンはグリコペプチド系抗菌薬であり、ペプチドグリカン前駆体のD-Ala-D-Ala末端に結合することで、細胞壁の架橋形成を阻害し、細胞壁合成を抑制します。これはグラム陽性菌、特にMRSAに対する主要な作用機序です。選びやすい理由:特になし。作用機序を理解していれば正答できる選択肢です。混同注意:特になし。正確な知識が求められます。
- 4. レボフロキサシンはフルオロキノロン系抗菌薬であり、細菌のDNAジャイレースやトポイソメラーゼIVを阻害することでDNA複製を抑制します。細胞壁合成を阻害する作用はありません。正しくは:レボフロキサシンは核酸合成阻害薬です。選びやすい理由:幅広い抗菌スペクトルを持つため、万能薬のように感じられ、作用機序も多岐にわたると錯覚しやすいかもしれません。混同注意:他の核酸合成阻害薬(リファンピシンなど)や、異なる作用機序を持つ抗菌薬と混同しやすいです。
- 5. クロラムフェニコールは細菌のリボソーム50Sサブユニットに結合し、ペプチジル転移酵素の作用を阻害することでタンパク質合成を抑制します。細胞壁合成を阻害する作用はありません。正しくは:クロラムフェニコールはタンパク質合成阻害薬です。選びやすい理由:古い歴史を持つ広域抗菌薬であるため、その作用機序について曖昧な記憶になりやすいかもしれません。混同注意:他のタンパク質合成阻害薬(マクロライド系、リンコマイシン系など)や、異なる作用機序を持つ抗菌薬と混同しやすいです。
国試ポイント
抗菌薬の作用機序は、国家試験で非常に頻繁に問われる重要事項です。特に代表的な抗菌薬については、その分類と作用機序を正確に理解しているかが試されます。細胞壁合成阻害薬、タンパク質合成阻害薬、核酸合成阻害薬、細胞膜機能阻害薬などの主要な分類と、それぞれの代表的な薬剤を関連付けて覚えることが重要です。
混同注意
各抗菌薬の分類と作用機序が混同しやすい。特に、細胞壁合成阻害薬の中にはβ-ラクタム系とグリコペプチド系があり、作用点が異なることにも注意が必要。また、タンパク質合成阻害薬はリボソームの30Sサブユニットと50Sサブユニットのどちらに作用するかでさらに細分化される。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、選択肢に挙げられた抗菌薬がどの系統に属し、具体的に細菌のどの部位(細胞壁、細胞膜、リボソーム、核酸など)に作用して、どのような生物学的プロセス(合成、複製、透過性など)を阻害するのかを判断できるかどうかが問われるだろう。
関連知識
β-ラクタム系抗菌薬(ペニシリン、セフェムなど)も細胞壁合成阻害薬であり、ペニシリン結合タンパク質(PBP)を阻害することでペプチドグリカン架橋形成を阻害する。イソニアジドは抗結核薬で、マイコバクテリアの細胞壁構成成分であるミコール酸の合成を阻害する。ホスホマイシンも細胞壁合成初期段階を阻害する。これらも細胞壁合成阻害薬として認識しておく必要がある。