悪性細胞で頻度の高い所見はどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・2番
解説
悪性細胞の形態学的特徴として、核の構造異常(核形不整、クロマチンの増量・不均等分布など)と、活発な増殖を示す所見(核小体の明瞭化、N/C比の増加など)が挙げられます。選択肢1の「核形不整」と選択肢2の「核小体明瞭化」は、いずれも悪性細胞で高頻度かつ特徴的に認められる所見です。一方、選択肢3の細胞質内顆粒や選択肢4の細胞質内粘液は、特定の悪性腫瘍や良性細胞でも見られることがあり、悪性細胞全般の高頻度所見とは言えません。選択肢5のN/C比は悪性細胞で『増加』するため誤りです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。悪性細胞では、染色体構造の異常や核分裂の異常により、核の形状が不規則になったり、いびつになったりすることが多く見られます。これは悪性度を評価する重要な指標です。
- 2. 正解。悪性細胞は増殖が活発であるため、リボソームRNAの合成が盛んに行われます。これに伴い、核小体が大きくなり、光学顕微鏡下で明瞭に観察されることが頻繁にあります。特に大型で複数個見られる場合は悪性度が高いと判断されます。
- 3. 細胞質内顆粒は、特定の細胞(好酸球、好中球、肥満細胞など)や特定の疾患(例:骨髄性白血病の一部)で見られますが、悪性細胞全般に共通する高頻度な所見ではありません。むしろ、良性の細胞でも見られることがあります。正しくは:悪性細胞に特異的な所見ではなく、様々な細胞や病態で観察される。選びやすい理由:特定の悪性腫瘍(例:顆粒球系腫瘍)では見られるため、限定的な知識があると誤って選んでしまう可能性がある。混同注意:特定の細胞種に特徴的な顆粒と、悪性細胞全般の形態学的特徴を混同しやすい。
- 4. 細胞質内粘液は、粘液産生性の腺癌(例:胃癌、大腸癌、卵巣癌など)で特徴的に見られる所見ですが、すべての悪性細胞に普遍的に見られる高頻度な所見ではありません。非粘液産生性の悪性腫瘍では見られません。正しくは:特定のタイプの悪性細胞(粘液産生性腺癌など)に限られた所見である。選びやすい理由:粘液産生性の腫瘍は悪性腫瘍の一部として認識されるため、悪性細胞の所見と認識しやすい。混同注意:悪性細胞の多様性の中で、特定のサブタイプに限定される特徴を、一般的な特徴と誤認しやすい。
- 5. 悪性細胞では、細胞の無秩序な増殖に伴い核が大きくなり、細胞質が相対的に減少するため、核と細胞質の面積比(N/C比)は『増加』するのが典型的な特徴です。N/C比の減少は通常、良性細胞や成熟細胞で見られる所見です。正しくは:核と細胞質の面積比(N/C比)は『増加』する。選びやすい理由:N/C比という用語自体は悪性細胞の診断で重要なので、用語に馴染みがあると、その変化の方向性を誤って記憶している場合がある。混同注意:核と細胞質の相対的な大きさが変化すること自体は認識していても、どちらが増加/減少するのかを逆に記憶してしまうことがある。
国試ポイント
悪性細胞の一般的な細胞学的特徴を問う問題です。特に、核の異常(形、大きさ、染色質、核小体)と細胞全体の増殖特性(N/C比)に関する知識が重要です。悪性細胞に特異的な所見と、特定の腫瘍タイプや良性細胞でも見られる所見とを区別できるかがポイントになります。
混同注意
悪性細胞の多様な形態学的特徴の中から、普遍的で高頻度な所見と、特定のサブタイプに限られる所見、あるいは良性細胞でも見られる所見とを混同しやすい。特にN/C比の変化方向を誤解しやすい。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、悪性細胞の細胞学的特徴が複数提示されたときに、その普遍性や特異性を正しく判断できるかを確認します。特に核の異常に関する深い理解が問われるでしょう。
関連知識
悪性細胞の形態学的特徴(異型性、多形性、核の大小不同、クロマチンの増量・凝集、異常核分裂像、N/C比の増大、細胞質の相対的減少、細胞間接着性の低下など)。特定の腫瘍における特徴的な所見(例:スキルス胃癌の印環細胞、粘液産生性腺癌の粘液貯留)。