血小板無力症で異常となるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
血小板無力症は、血小板表面の糖タンパク質(GP)IIb/IIIa複合体の欠損または機能異常によって特徴づけられる遺伝性疾患です。GP IIb/IIIaは、血小板が他の血小板と結合し、凝集塊を形成するために不可欠なフィブリノゲン受容体です。ADPなどの生理的アゴニストはGP IIb/IIIaを活性化し、凝集を誘導します。したがって、GP IIb/IIIaが機能しない血小板無力症では、ADPによる血小板凝集能が著しく低下します。一方で、血小板粘着能(GP Ib/IX/VとVWFの結合)やリストセチン凝集能(GP Ib/IX/Vを介する)は正常に保たれます。血小板数や凝固時間も通常は正常です。
選択肢ごとの解説
- 1. 凝固時間は外因系および内因系凝固経路の異常を反映するものであり、血小板無力症では主に一次止血が障害されるため、通常は異常を示しません。正しくは:凝固時間は正常です。プロトロンビン時間 (PT) や活性化部分トロンボプラスチン時間 (APTT) なども通常は正常です。選びやすい理由:出血傾向があるため、凝固全体に問題があると思われがちですが、血小板機能の異常と凝固因子の異常は区別されます。混同注意:一次止血(血小板機能)と二次止血(凝固因子)の役割混同。
- 2. 血小板無力症は血小板の機能異常であり、血小板の産生や破壊に問題がないため、血小板数は正常範囲内です。正しくは:血小板数は正常です。減少していれば血小板減少症となります。選びやすい理由:血小板に問題がある疾患のため、数も異常と思われがちですが、無力症は『機能』の異常です。混同注意:血小板機能異常と血小板数異常(血小板減少症など)の混同。
- 3. 血小板無力症では、血小板の粘着(VWFを介した血管内皮への接着)は正常に行われます。これは主に糖タンパク質Ib/IX/V複合体が関与しており、血小板無力症で欠損しているのは糖タンパク質IIb/IIIaです。正しくは:血小板粘着能は正常です。異常を呈するのはベルナール・スーリエ症候群など、GP Ib/IX/V複合体異常の疾患です。選びやすい理由:血小板機能全般が障害される印象があるため、粘着も異常と思われやすいです。しかし、血小板無力症の主要な病態は凝集障害です。混同注意:血小板粘着と血小板凝集の病態生理の違い、およびそれぞれの異常を呈する疾患(ベルナール・スーリエ症候群と血小板無力症)の混同。
- 4. 正解。血小板無力症(Glanzmann型血小板無力症)では、血小板表面の糖タンパク質(GP)IIb/IIIa複合体が欠損または機能不全を起こしています。このGP IIb/IIIaは、ADPを含む様々な生理的アゴニスト(コラーゲン、トロンビンなど)によって活性化された血小板同士をフィブリノゲンを介して架橋し、凝集を成立させるために不可欠です。したがって、ADPによる血小板凝集能は著しく低下または消失します。
- 5. リストセチンによる血小板凝集は、フォン・ヴィルブランド因子(VWF)が血小板表面の糖タンパク質Ib/IX/V複合体と結合することによって引き起こされます。血小板無力症ではGP IIb/IIIa複合体が異常である一方、GP Ib/IX/V複合体は正常であるため、リストセチンによる凝集能は正常に保たれます。正しくは:リストセチンによる凝集能は正常です。異常を示すのはフォン・ヴィルブランド病やベルナール・スーリエ症候群です。選びやすい理由:血小板の凝集全般に問題があると思われがちですが、リストセチン凝集はGP Ib/IX/V経路を介するため、GP IIb/IIIa異常の血小板無力症では正常です。混同注意:フォン・ヴィルブランド病やベルナール・スーリエ症候群と血小板無力症の病態、および各アゴニストが関与する血小板表面受容体の混同。
国試ポイント
血小板無力症における血小板機能検査の異常パターンを問う問題です。特に、ADPなどのアゴニストによる凝集能の低下と、リストセチンによる凝集能の正常を区別できるかが重要です。各血小板機能検査がどの受容体や経路を評価しているかを理解している必要があります。
混同注意
ベルナール・スーリエ症候群(GP Ib/IX/V欠損)やフォン・ヴィルブランド病(VWF異常)との鑑別。これらの疾患ではリストセチン凝集能が異常となります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、血小板無力症の病態生理(GP IIb/IIIa異常による凝集障害)を正確に把握し、各血小板機能検査が評価する内容(粘着、凝集、放出など)と、それに特異的なアゴニスト(ADP, コラーゲン, リストセチンなど)の対応関係を理解しているかを確認します。
関連知識
血小板機能のステップ(粘着、活性化、凝集)、血小板表面受容体(GP Ib/IX/V、GP IIb/IIIa)、各アゴニスト(ADP、コラーゲン、リストセチン)が関与する経路、およびそれぞれの機能異常を呈する疾患(血小板無力症、ベルナール・スーリエ症候群、フォン・ヴィルブランド病)。