透過型電子顕微鏡標本作製に使用しないのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
透過型電子顕微鏡(TEM)用の超薄切片作製には、通常ウルトラミクロトームが用いられます。テトランダー型ミクロトームは、主に凍結切片を作製する際に使用される機器であり、TEM標本作製には適しません。他の選択肢は、TEM標本作製過程において、超薄切片の作製やその前段階の確認、支持体として実際に使用されます。
選択肢ごとの解説
- 1. ガラスナイフは、超薄切片を作製する際の包埋ブロックのトリミングや、特定の状況下での超薄切に使用されます。正しくは:透過型電子顕微鏡標本作製において、ガラスナイフは超薄切片作製の前段階でブロックの形を整えるために使用されることがあります。選びやすい理由:ナイフという名称から、より精密なダイヤモンドナイフが必要で、ガラスナイフは使わないと誤解する可能性がありますが、トリミングなど前処理には使用されます。混同注意:超薄切片そのものの作製に使用されるダイヤモンドナイフと混同し、ガラスナイフは使われないと判断してしまうかもしれません。
- 2. グリッドメッシュは、電子顕微鏡で観察する超薄切片を載せるための支持体であり、必須の器具です。正しくは:透過型電子顕微鏡標本作製において、グリッドメッシュは超薄切片を乗せて観察台に設置するために不可欠です。選びやすい理由:特殊な名称から使用目的がすぐに連想できないかもしれませんが、電子顕微鏡の観察台に直接切片を置くわけではないため、支持体は必要不可欠です。混同注意:光学顕微鏡のスライドガラスとの違いが明確でないと、その必要性を理解しにくいかもしれません。
- 3. ダイヤモンドナイフは、透過型電子顕微鏡用の超薄切片(50〜100 nm程度)を作製するために使用される、非常に硬度が高く切れ味の良い刃です。高精度な薄切には不可欠です。正しくは:透過型電子顕微鏡標本作製において、ダイヤモンドナイフは観察に耐えうる極めて薄い切片を得るために必須の道具です。選びやすい理由:高価なイメージがあるため、特殊な場合のみの使用と思われがちですが、TEMでは標準的に用いられます。混同注意:光学顕微鏡で用いるミクロトームの刃(使い捨てメスなど)と混同し、その特殊性を認識できないと誤解する可能性があります。
- 4. トルイジンブルー染色液は、透過型電子顕微鏡用の包埋ブロックから、電子顕微鏡観察に先立って光学顕微鏡で観察するための半薄切片(0.5〜1 µm程度)を染色するのに用いられます。これは電子顕微鏡で観察する部位を選定する際に重要な工程です。正しくは:透過型電子顕微鏡標本作製において、トルイジンブルー染色液は、電子顕微鏡観察前の半薄切片の観察に用いられ、目的部位の確認と選定に役立ちます。選びやすい理由:電子顕微鏡は染色せずに観察するという知識から、染色液は使わないと判断しやすいですが、前処理段階の半薄切片観察には使用します。混同注意:電子顕微鏡での観察自体は非染色であることを、前段階の確認作業と混同しやすいです。
- 5. 正解。テトランダー型ミクロトームは、主に凍結切片を作製するために使用されるミクロトームで、透過型電子顕微鏡用の超薄切片作製には使用されません。TEM用の超薄切片作製には、ウルトラミクロトームが使用されます。正しくは:テトランダー型ミクロトームは、特に凍結組織の切片作製に用いられますが、透過型電子顕微鏡観察のための超薄切片作製には適していません。選びやすい理由:「ミクロトーム」という名称から、何らかの切片作製に用いられる器具であることは正しい認識ですが、その種類と用途までを正確に把握していないと、誤って選択してしまう可能性があります。混同注意:ウルトラミクロトームやロータリーミクロトームなど、他の様々な種類のミクロトームとその用途と混同しやすいです。特に、凍結ミクロトームの一種であるテトランダー型ミクロトームを、透過型電子顕微鏡用のミクロトームと誤解する可能性があります。
国試ポイント
透過型電子顕微鏡標本作製における各工程と使用される主要な器具・試薬の知識が問われています。特に、様々な種類のミクロトームの名称とその用途の区別が重要です。
混同注意
各種ミクロトーム(ウルトラミクロトーム、ロータリーミクロトーム、凍結ミクロトーム、テトランダー型ミクロトームなど)の名称と、それぞれで作成される切片の種類や適応疾患、観察法(光学顕微鏡、電子顕微鏡)の組み合わせ。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、各検査法の標本作製に使用される特徴的な器具や試薬の名称と、その役割を正確に区別できるかを確認します。特に、光学顕微鏡と電子顕微鏡、またはパラフィン包埋と凍結切片といった基本的な区別を問う問題が予想されます。
関連知識
透過型電子顕微鏡標本作製の手順(固定、脱水、包埋、トリミング、半薄切片作製と光学顕微鏡観察、超薄切片作製、染色、観察)。光学顕微鏡標本作製との違い。