血中濃度モニタリングを必要としないのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
血中濃度モニタリング(TDM)は、治療域が狭く、個人差が大きく、効果と副作用の判断が血中濃度と相関する薬剤で特に必要とされます。アスピリンは一般的に治療域が広く、副作用が比較的早期に自覚されやすいため、通常TDMは実施されません。一方、ジゴキシン、タクロリムス、テオフィリン、リチウムはいずれも治療域が狭く、個体差が大きいためTDMが必須または推奨される薬剤です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。アスピリンは、一般的な鎮痛・解熱用途や低用量での抗血小板薬として広く使用され、治療域が比較的広く、重篤な副作用発現前に中毒症状が自覚しやすいため、通常は血中濃度モニタリング(TDM)の対象とはなりません。効果や副作用は臨床症状で判断されます。
- 2. ジゴキシンは強心作用を持つ薬剤であり、治療域が非常に狭く、中毒量と治療量が近接しています。また、腎機能による排泄変動が大きく、電解質バランスによっても作用が影響されるため、TDMが必須とされます。正しくは:ジゴキシンは治療域が狭く、腎機能による排泄変動が大きいため、TDMが必要な薬剤です。選びやすい理由:TDMが必要な薬剤の代表例として挙げられるため、誤って選択肢として選んでしまう可能性は低いでしょう。混同注意:治療域が狭い他の薬剤(例:フェニトイン、ワルファリンなど)と混同することはないでしょう。
- 3. タクロリムスは免疫抑制剤であり、臓器移植後の拒絶反応抑制などに用いられます。治療域が非常に狭く、過少では拒絶反応のリスク、過多では腎毒性や神経毒性などの重篤な副作用のリスクが高まるため、TDMが不可欠です。正しくは:タクロリムスは治療域が狭く、重篤な副作用があるため、TDMが必要な薬剤です。選びやすい理由:TDMが必要な薬剤として認知されているため、誤って選択肢として選んでしまう可能性は低いでしょう。混同注意:他の免疫抑制剤(例:シクロスポリン)と同様にTDMが必要な薬剤として理解されていれば混同しません。
- 4. テオフィリンは気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療に用いられる気管支拡張薬です。治療域が狭く、個人差が大きい代謝を受けるため、過量になると消化器症状、不整脈、痙攣などの重篤な副作用を起こす可能性があるため、TDMが推奨されます。正しくは:テオフィリンは治療域が狭く、重篤な副作用があるため、TDMが必要な薬剤です。選びやすい理由:喘息治療薬として広く知られていますが、TDMが必要な薬剤であることを見落とすと誤答につながる可能性があります。混同注意:TDMが不要な喘息治療薬(例:吸入ステロイド、β2刺激薬など)と混同する可能性があります。
- 5. リチウムは躁病や双極性障害の治療に用いられる精神安定剤です。治療域が極めて狭く、中毒量と治療量が近接しており、腎機能によって排泄が大きく変動するため、TDMが非常に重要です。中毒症状として神経症状や消化器症状が現れます。正しくは:リチウムは治療域が極めて狭く、腎機能による排泄変動が大きいため、TDMが必要な薬剤です。選びやすい理由:TDMが必要な薬剤として代表的なものであり、誤って選択肢として選んでしまう可能性は低いでしょう。混同注意:他の精神科治療薬(例:SSRIなどTDMが不要なものが多い)と混同する可能性がありますが、リチウムはTDMが必須の代表例として記憶されているはずです。
国試ポイント
治療薬物モニタリング(TDM)の対象となる薬剤と、その必要性の根拠(治療域の狭さ、個人差、副作用発現と血中濃度の相関など)を理解しているか問う問題です。代表的なTDM対象薬を覚えているかどうかが鍵となります。
混同注意
TDMの対象となる代表的な薬剤(ジゴキシン、フェニトイン、テオフィリン、リチウム、シクロスポリン、タクロリムスなど)と、対象とならない一般薬(アスピリン、アセトアミノフェンなど)の区別が曖昧だと誤答しやすいです。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、選択肢にTDMが不要な一般的な薬が含まれていないか、あるいはTDMが必要な代表的な薬がきちんと識別できているかを確認する必要があります。特に、治療域の狭い薬や代謝・排泄に個人差が大きい薬に注目して判断します。
関連知識
TDMが必要な理由:治療域が狭い、有効血中濃度と中毒血中濃度が近い、薬物動態学的個人差が大きい、中毒症状が非特異的で自覚しにくい、薬物相互作用の影響を受けやすい、腎機能や肝機能によって排泄・代謝が大きく変動する。TDMの目的:適正な薬物投与量の設定、副作用の回避、薬効の最大化。