WPW症候群に合併しやすいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
WPW症候群は、心房と心室を異常な電気伝導路(副伝導路、ケント束)でつなぐことにより、リエントリー性の不整脈、特に発作性上室性頻拍(PSVT)を最も高頻度で合併します。このPSVTの多くは、正常な房室伝導路と副伝導路を使った房室回帰性頻拍(AVRT)です。突然の頻脈発作が特徴的です。心房細動の合併も少なくありませんが、WPW症候群によって直接的に誘発される代表的な頻拍としてはPSVTが挙げられます。
選択肢ごとの解説
- 1. WPW症候群が直接的に心室頻拍を誘発することは稀です。心房細動がWPW症候群に合併した場合に、副伝導路を介して心室に頻回に伝導され、非常に速い心拍数となり、心室細動へ移行するリスクはありますが、WPW症候群に「合併しやすい」不整脈としては、発作性上室頻拍がより一般的です。正しくは:WPW症候群は心房細動を合併した際に、副伝導路を介した急速な心室伝導により、心室細動へ移行するリスクを高めますが、直接の心室頻拍は稀です。選びやすい理由:副伝導路の存在が、心拍が非常に速くなる状態(頻拍)と関連するため、重篤な頻拍である心室頻拍も合併しやすいと考えてしまう可能性があります。また、心房細動合併時のwide QRS tachycardiaが心室頻拍と誤認されることもあるかもしれません。混同注意:WPW症候群に合併する心房細動が、副伝導路を介して心室に高頻度に伝導された結果生じるwide QRS tachycardia(ときに心室細動に移行しうる)と、純粋な心室頻拍とを混同するかもしれません。
- 2. WPW症候群の患者では、発作性上室頻拍に次いで心房細動の合併も少なくありません。しかし、最も典型的に合併し、直接的な頻拍の原因となるのは発作性上室頻拍です。正しくは:WPW症候群は発作性上室頻拍の次に心房細動の合併も多い不整脈ですが、最も頻繁に観察される不整脈は発作性上室頻拍です。選びやすい理由:WPW症候群の合併症として心房細動が非常に重要で、そのリスクが強調されるため、これを最も合併しやすいと考えてしまうかもしれません。特に、副伝導路が存在することで心房細動時の心室伝導が速くなり、危険度が増すという点で注目されます。混同注意:WPW症候群における心房細動の危険性(心室細動への移行リスク)の高さと、単純な合併頻度の高さを混同する可能性があります。
- 3. WPW症候群に心房粗動が合併することもありますが、発作性上室頻拍や心房細動と比較すると頻度は低いです。正しくは:WPW症候群に心房粗動が合併する頻度は、発作性上室頻拍や心房細動に比べて少ないです。選びやすい理由:心房細動と同様に、心房から発生する頻拍性不整脈であるため、同様に合併しやすいと考えてしまうかもしれません。混同注意:心房細動と心房粗動は同じ上室性不整脈の範疇であり、WPW症候群と関連する上室性頻拍の一部と考えてしまうかもしれません。
- 4. WPW症候群は副伝導路(ケント束)の存在により、心房から心室への伝導が通常経路(房室結節)以外にも生じ、心拍が速くなるリエントリー性頻拍を特徴とします。房室ブロックは心房から心室への電気信号の伝導が障害される状態であり、WPW症候群とは病態が異なります。むしろ、WPW症候群は伝導が促進される病態と考えるのが自然です。正しくは:WPW症候群では副伝導路により心房から心室への伝導が促進されるため、房室ブロックは合併しにくいです。選びやすい理由:不整脈の分類としてブロック系も存在するため、漠然と不整脈の一種として選択肢に入れてしまうかもしれません。あるいは、心臓の伝導系に異常があるという点で、何らかのブロックも関連があるのではないかと推測してしまうかもしれません。混同注意:心臓の電気伝導系の異常全般と、WPW症候群特有の伝導路の異常を混同する可能性があります。
- 5. 正解。WPW症候群の最も典型的な合併症であり、多くの場合、副伝導路(ケント束)と正常房室伝導路を使ったリエントリー回路によって引き起こされる房室回帰性頻拍(AVRT)です。突然発症し、突然停止する特徴を持ちます。
国試ポイント
WPW症候群の病態生理とそれに伴う特徴的な合併症(特に不整脈)に関する知識が問われています。副伝導路の存在がどのような不整脈を引き起こすのか、そのメカニズムを理解しているかが重要です。
混同注意
WPW症候群に合併する様々な不整脈(心房細動、心房粗動、発作性上室頻拍など)の中で、どれが最も頻度が高いか、またはWPW症候群の直接的な病態と密接に関連しているかを区別することがポイントです。特に心房細動は臨床的に重要度が高いため、発作性上室頻拍との混同が生じやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、WPW症候群の心電図の特徴や、合併する不整脈に対する治療法の選択(例:心房細動合併時の薬剤選択における注意点など)が問われる可能性があります。また、デルタ波の意味や、PSVTの種類(AVRT vs AVNRT)の区別も重要になるでしょう。
関連知識
WPW症候群の心電図所見(P-R時間短縮、デルタ波、QRS幅延長)、副伝導路の分類(顕性WPW、潜在性WPW)、リエントリー回路のメカニズム(順行性AVRT、逆行性AVRT)、合併する心房細動の危険性(心室細動への移行リスク)、治療法(カテーテルアブレーションなど)についても合わせて学習することが推奨されます。