ABO血液型検査を行ったところ、オモテ検査B型、ウラ検査O型で判定保留となった。最も考えられるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
ABO血液型判定において、前方反応(オモテ検査)は赤血球上の抗原を、後方反応(ウラ検査)は血漿中の抗体を調べます。B型であれば、前方反応でB抗原が陽性、後方反応で抗A抗体が陽性となるはずです。しかし、このケースでは前方反応がB型であるにもかかわらず、後方反応がO型(抗A抗体、抗B抗体ともに陰性)と判定されています。これは、B型の患者の血漿中に存在するはずの抗A抗体が検出されなかったことを意味します。この「抗体の欠損」または「検出不能」の原因として、不規則抗体(特に自己抗体など)が血漿中の抗体と反応して偽陰性を示す場合が考えられます。不規則抗体は赤血球検査に影響を与え、凝集反応を阻害したり、見かけ上の抗体欠損を引き起こしたりすることがあります。
選択肢ごとの解説
- 1. B亜型の場合、前方反応でB抗原が弱く検出されるか、後方反応で抗B抗体が弱く出現することが考えられますが、前方B型、後方O型という明確な不一致は通常示しません。B亜型は、抗原発現が弱い、または抗体産生が弱いことで不一致を生じますが、ウラ検査でO型(抗A抗体、抗B抗体ともに検出されない)とはなりません。正しくは:B亜型では、前方反応が弱陽性、後方反応で抗Aや抗B抗体が検出される場合がある。選びやすい理由:血液型の亜型は不一致の原因となり得るため、選択肢として考慮されやすい。混同注意:B亜型と後天性B型、または不規則抗体の影響による不一致は異なる症状を示すため、混同しやすい。
- 2. cisAB型は、A抗原とB抗原が同時に弱く発現する特殊なAB型であり、前方反応ではAB型、後方反応では抗A抗体、抗B抗体ともに陰性(O型)を示すことがあります。しかし、本症例では前方反応がB型とされており、cisAB型の特徴とは異なります。正しくは:cisAB型は、前方反応でAB型と判定され、後方反応はO型となることが多い。選びやすい理由:特殊なABO型は不一致の原因となるため、選択肢として考えられやすい。混同注意:ABO型の特殊なタイプとして、亜型やcisAB型は不一致の原因となるが、それぞれ特定の反応パターンを示す。
- 3. 後天性B型は、A型の患者に大腸菌などの感染症が起きた際、A抗原の一部がB抗原と類似した構造に変化し、前方反応でAB型またはB型として誤認されることがある状態です。しかし、後方反応では本来のA型として抗B抗体が検出されるため、後方反応でO型となることは考えにくいです。通常、後方反応では抗B抗体が陽性となります。正しくは:後天性B型では、前方反応でB抗原が検出されるが、後方反応では抗B抗体が検出されることが多い。選びやすい理由:不一致の原因として知られているため、選択肢として選ばれやすい。混同注意:後天性BとB亜型は、前方反応でB抗原が検出される点では似ているが、後方反応のパターンが異なる。
- 4. 白血病、特に骨髄性白血病などの血液疾患では、ABO抗原の産生が低下し、前方反応で抗原が弱く検出されることがあります。また、抗体産生能が低下して後方反応で抗体が弱く検出されたり、検出されなかったりすることもあります。しかし、「前方B型、後方O型」という特定のパターンを直接的に引き起こすわけではありません。むしろ、抗原・抗体ともに弱くなるなど、より一般的な反応の減弱が見られます。正しくは:白血病では、ABO抗原や抗体の発現が弱くなることがある。選びやすい理由:血液疾患が血液型検査に影響を及ぼすことは事実であるため、関連性があるように思える。混同注意:白血病などの疾患が血液型判定に与える影響は、抗原・抗体発現の「弱化」であり、この問題の「不一致」とは少し状況が異なる。
- 5. 正解。前方反応(オモテ検査)は赤血球上の抗原を、後方反応(ウラ検査)は血漿中の抗体を検出します。この設問では、前方反応でB型、後方反応でO型とあります。これは、患者の赤血球がB抗原を持っている(B型)にもかかわらず、患者の血漿中に本来B型では持たないはずの抗A抗体も抗B抗体も検出されていない(O型として反応)ことを示しています。B型の患者血漿中には抗A抗体が存在するのが通常です。後方反応でO型と判定されたということは、本来B型にあるはずの抗A抗体が検出されなかったことを意味します。このような場合、自己赤血球に対する抗体(不規則抗体)が存在し、それが検査用A型またはB型赤血球に反応して凝集を阻害したり、または抗A抗体の活性を打ち消したりすることで、後方反応が誤ってO型と判定される可能性があります。特に自己抗体が血漿中の抗体と反応することで、偽陰性(抗体が検出されない)となることがあります。正しくは:不規則抗体が血漿中に存在すると、後方反応で抗体との干渉が起こり、本来の型とは異なる結果、特に偽陰性となることがある。選びやすい理由:他の選択肢も血液型不一致の原因となりうるが、特定のパターンとは合致しない。混同注意:不規則抗体は、自己赤血球または同種赤血球に反応するため、前方反応と後方反応の両方に影響を与える可能性があるが、特に後方反応での見かけ上の抗体欠損を引き起こすことがある点で、この問題のパターンに合致しやすい。
国試ポイント
ABO血液型検査における前方反応と後方反応の意義、および不一致が生じた際の考えられる原因を理解しているかが問われています。特に、不規則抗体が検査結果に与える影響を正確に把握することが重要です。
混同注意
各選択肢は血液型不一致の一般的な原因として知られていますが、それぞれ特定の反応パターンを示します。この問題の「前方B型、後方O型」という組み合わせに最も合致するのは不規則抗体の影響です。他の亜型や後天性B型も不一致の原因ですが、その反応パターンはこの設問とは異なります。
次に同じ論点が出たら
この患者に対して次にどのような追加検査を行うべきか(例:DAT、不規則抗体スクリーニング、抗体同定、吸着・解離試験、ABO亜型検査など)。
関連知識
ABO血液型検査の原理、各血液型の抗原・抗体組成、ABO亜型(A1、A2など)、cisAB型、後天性B型、白血病などの血液疾患が血液型検査に与える影響、不規則抗体の種類(自己抗体、同種抗体)とそれらが検査に及ぼす干渉について理解しておく必要があります。