パラフィン包埋に用いられる硬パラフィンの融点に最も近いのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
一般的に組織のパラフィン包埋に使用される硬質パラフィンは、融点が56~60℃程度のものが標準とされています。この温度範囲のパラフィンは、組織への浸透性が良く、冷却時に適切な硬さを持ち、病理組織標本の薄切に最適な物性を提供します。選択肢の中では58℃がこの範囲に最も近い(そして代表的な値である)ため、正答となります。
選択肢ごとの解説
- 1. この温度ではパラフィンが十分に硬化せず、組織を適切に支持できないため、薄切が困難になります。一般的な病理組織標本作製には不向きな柔らかさです。正しくは:組織を適切に支持し、薄切できる硬度を得るためには、より高い融点が必要です。選びやすい理由:低温での融解を好む場合や、他の試薬の融点と混同する可能性があります。混同注意:軟パラフィンや、人体に近い温度と混同するかもしれません。
- 2. この温度のパラフィンはやや軟らかく、非常に薄い切片を作成する際や、硬い組織の包埋では十分な支持力が得られない場合があります。一般的には標準的な硬質パラフィンとしては融点が低めです。正しくは:より適切な硬度と安定性を持つためには、もう少し融点が高いパラフィンが望ましいです。選びやすい理由:軟パラフィンや、組織への浸透性を重視するあまり選択される可能性があります。混同注意:軟パラフィンや、特定の研究目的で使われる特殊なパラフィンの融点と混同するかもしれません。
- 3. 正解。一般的な組織のパラフィン包埋に用いられる硬質パラフィンは、通常56℃~60℃程度の融点を持つものが標準的です。この温度範囲のパラフィンは、組織への良好な浸透性と、切片作成に必要な適度な硬度と弾力性をバランス良く提供します。
- 4. このように融点が高いパラフィンは非常に硬く、組織への浸透が悪くなる傾向があり、また薄切時にパラフィンが砕けやすくなるため、一般的な組織切片作成には不向きです。特に硬い組織(骨など)に限定的に使用されることはありますが、標準ではありません。正しくは:組織への浸透性と薄切性を考慮すると、もう少し融点が低いパラフィンが適切です。選びやすい理由:より硬い組織の包埋には硬いパラフィンが良いという発想から選ばれる可能性があります。混同注意:特定の特殊な研究用パラフィンや、過度に硬い組織用のパラフィンと混同するかもしれません。
- 5. この融点を持つパラフィンは極めて硬質であり、組織への浸透性が著しく低下し、また薄切が非常に困難になります。一般的な病理組織標本作製に用いられることはほとんどありません。正しくは:組織への損傷を防ぎ、適切な薄切を可能にするためには、はるかに低い融点が必要です。選びやすい理由:硬い組織にはより硬いパラフィンが必要だという極端な考えから選ばれる可能性がありますが、実用的ではありません。混同注意:特殊な工業用途のパラフィンなど、医療用途以外での高い融点のワックスと混同するかもしれません。
国試ポイント
パラフィン包埋の基本知識として、使用されるパラフィンの適切な融点範囲が問われます。特に硬質パラフィンの一般的な融点(56-60℃)を正確に理解しているかが重要です。他の試薬の融点や、軟パラフィンとの区別も問われることがあります。
混同注意
軟パラフィン(融点45-55℃程度)の融点、融解や凝固の温度、あるいは他の組織処理試薬(例:脱水剤や透明剤)の性質と混同する可能性があります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、問題文が「硬パラフィン」または「一般的な病理組織用パラフィン」と明記されているかを確認し、軟パラフィンや特殊な目的のパラフィン(例:骨組織用)の融点と区別できるかがポイントとなります。また、パラフィンの融点が高い場合と低い場合、それぞれ組織処理にどのような影響があるかを説明できるようにしておくと良いでしょう。
関連知識
パラフィン包埋の目的は、組織を固定し、薄切に適した硬度と形状を与えることです。パラフィンの融点が低すぎると、パラフィンが柔らかすぎて切片が作りにくく、室温で変形しやすくなります。逆に融点が高すぎると、組織への浸透が悪くなり、組織が熱変性する可能性があり、また切片が硬すぎて割れやすくなります。適切な融点範囲の選択は、組織への浸透性、薄切性、組織の保護、室温での安定性などを総合的に考慮して行われます。